第31話 寝所に火縄銃スタンドが設置され、翌日も火縄銃訓練は修羅場
◆吉法師姫、竹千代の寝所に「火縄銃スタンド」を設置
その夜……
俺が煙まみれで寝所に戻ると――障子がまた勢いよく開いた。
「竹千代、入るわよ?」
「ひぃっ!? 吉姉さま!? また来たの!?」
吉法師姫は、今度は 火縄銃スタンド を抱えていた。
「今日からここ、火縄銃も置くわね?」
「置くなぁああああああっ!! いくら吉姉さまがライフルが好きだと言っても寝所に銃置くな!!」
吉法師姫は当然のようにスタンドを設置し、火縄銃を丁寧に並べた。
「竹千代……。あんた、今日の訓練で煙まみれになってたでしょ?」
「なってました!! 死ぬかと思いました!!」
吉法師姫は俺の布団に潜り込み、肩に頭を乗せながら言う。
「だから……。いつでも火縄銃の練習ができるようにしてあげたの」
「吉姉さま~! 優しさの方向がおかしい!」
吉法師姫はふっと笑う。
「竹千代……。あんたはアーシのものよ?」
その声は、覇王でも悪役令嬢でもなく……。
まあ、いつもの通りで、完全に独占欲の塊だった。
俺は心臓が止まりそうになった。
(尾張……怖い……。でも……なんか……嬉しい……。これ……完全に同居+武装じゃん……。戦国ラブコメじゃん……)
俺は今日も満足、極楽気分で睡眠した。
◇◇◇
◆翌朝:火縄銃訓練、また地獄
翌朝……
俺が寝不足でふらふらしていると――吉法師姫が火縄銃を肩に担いで、元気よく現れた。
俺がこのひと、本当にタフだなと思えば。
「竹千代、今日も火縄銃よ?」
「今日も!? 昨日も死にかけたのに!? 俺、死ぬ!!」
吉法師姫は悪役令嬢スマイルで告げる。
「安心しなさい! 昨日より煙が少ないわよ?」
「少ないだけで危険!!」
そこへ姫武将ハーレムが集まる。
◆成政、泣きながら竹千代に抱きついて告白未遂3回目
成政は火縄銃を抱えて震えていた。
「ひぃいいいいいいっ!! 火縄銃こわいですぅうううっ!! 竹千代君~!!」
「いや、成政! 銃口こっち向けるな!」
成政は泣きながら俺に抱きつき、火縄銃の銃口が俺の胸に向く。
「竹千代君を守るために……。撃ちますぅうううっ!!」
「守るために撃つな!!」
火縄の火が銃口に近づき――
《ボッ!》
煙が上がる。
「ぎゃああああああああああっ!!」
俺が不発弾でも絶叫をあげると。
成政は泣きながら叫ぶ。
「竹千代君~!! わた……わたし……。す……す……す……」
「す……?」
「す……す……す……す……」
「また言えてない!!」
成政は顔を真っ赤にして叫ぶ。
「す……す……す……き……!!」
「3回目ぇええええええっ!!」
成政は泣きながら地面に倒れた。
しかし、吉法師姫の銃口が、成政に向けられていた。
◆新介、竹千代を守りすぎて慶次と衝突
新介は火縄銃を片手で構え、慶次を睨む。
「慶次!! 竹千代君に近づくな!! ぼくは撃つぞ!!」
「撃つな!!」
俺が新介を諫めても。
慶次は火縄銃を二丁持ちし、豪快に笑った。
「竹千代!! 今日も弟分として鍛えてやる!!」
「弟分にするな!!」
新介は慶次の前に立ちはだかる。
「竹千代君はぼくの専属の一番槍だ!! 弟分じゃない!!」
慶次は笑う。
「じゃあ兄貴分でもいいぞ!!」
「意味わからん!!」
二人は火縄銃を構えたまま衝突した。
《ドンッ!》
《ドンッ!》、《ドンッ!》
地面が爆ぜ、煙が舞う。
二人共、撃つのが下手で命拾いをした。
◆鬼武蔵、嫉妬で火縄銃の反動を素手で受け止める
鬼武蔵は火縄銃を構え、顔を真っ赤にして叫ぶ。
「竹千代!! 昨日も今日も姫さまと寝たんだろ!! 嫉妬したんだぞ!! 反動を素手で受け止めるんだぞ!!」
「受け止めるな!! 銃が壊れる!! マジで高いんだぞ! この時代の火縄銃は!!」
鬼武蔵は火縄銃を撃ち、反動を素手で受け止めた。
《ドンッツツツ!!》
地面がえぐれた。
「ぎゃああああああああああっ!!」
絶叫を吐く俺は、また煙まみれになった。
◆小平太、火縄銃を使った新しい《《遊び2号》》を発明
小平太は火縄銃を持って跳ね回る。
「竹千代くん!! 新しい遊び思いついたよ!!」
「嫌な予感しかしない!!」
小平太は火縄銃を地面に向けて撃ち――
《ドンッ!》
地面が跳ね上がり、俺が吹っ飛んだ。
「ぎゃああああああああああっ!!」
小平太は、俺がテンプレ通りに、絶叫をあげる姿を見て、満面の笑み。
「竹千代くん!! 《《火縄銃トランポリン》》だよ!!」
小平太は俺に、満面の笑みをくれる。
「遊びじゃない!! 俺の命が軽い!!」
だけど俺は、いつも奴に吠えていた。
◆恒興と利家、火縄銃の煙で毎日泣く
恒興と利家は煙の中で泣き叫んでいた。
「もう嫌だぁあああっ!! 煙で目が痛い!!」
「昨日も今日も煙!! 毎日泣いてる!!」
鬼武蔵が火縄銃を構えて叫ぶ。
「お前ら!! 竹千代に近づきすぎだ!! 離れろ!! 撃つぞ!!」
「撃つなぁああああああっ!! 俺たちは男同士で、世間話と尾張のアイドルたちのことで会話をしているだけだ!!」
「はぁああああああっ! アイドルだぁああああああっ! アーシがいるのに、アイドルとか、つまらないことを言うから。ぶっ殺してやる!」
鬼武蔵は、俺の言葉を聞き、帰って怒りだしました。
◆草原は煙と悲鳴と修羅場で満ちた
火縄銃の煙が草原を覆い、姫武将たちの悲鳴と怒号がいつも響き、俺は煙まみれで転げ回り、恒興と利家は泣き叫び、鬼武蔵はいつものように嫉妬で暴走し、新介は慶次と衝突して喧嘩し、成政は泣きながら俺のおもちゃになると告白未遂し、小平太は新しい遊びを発明し、慶次は馬鹿の一つ覚えのように二丁持ちで暴走し――
吉法師姫は火縄銃を肩に担ぎ、悪役令嬢スマイルで今日も告げる。
「ふふん……竹千代、いいわねぇ~。こんなに争われるなんて、幸せ者じゃない?」
「幸せじゃないです!! 死ぬ!! 俺死ぬ!!」
吉法師姫は満足げに頷いた。
「でも……竹千代~。あんたはアーシのものよ~。わかっている?」
俺は煙の中で倒れながら思った。
(尾張……怖い……。でも……なんか……楽しい……。これ……完全に戦国ラブコメじゃん……。修羅場ハーレムじゃん……。そして今度は銃じゃん……。こんな生活が長く続くといいな……)
尾張の草原に、今日も戦国ラブコメの狂気が響いていた。
◇◇◇
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