第21話 悪役令嬢の独占欲、鬼武蔵の嫉妬暴走、そして姫武将たちの狂気訓練
◆吉法師姫、独占欲が《《本気》》で加速する。
鬼武蔵が恒興と利家をボコり倒し、草原に二人の屍が転がった頃……。
吉法師姫は、俺の腕をつまみながら、ふっと笑った。
その笑みは――
覇王の笑みではなく、悪役令嬢が“本気で好きな男を囲い込む時”の笑みだった。
「竹千代……。あんた、今日ちょっと調子乗りすぎじゃない?」
「えっ……。俺、何もしてないんですけど!?」
「してるわよ! 鬼武蔵に近づかれて……。嬉しそうにしてたじゃない?」
「してないしてないしてない!!」
吉法師姫は俺の袖をぎゅっと掴む。
その指先は震えていて――怒りではなく、嫉妬と独占欲の震えだった。
「竹千代は……アーシのもの……。他の姫武将に触られるの……。嫌なのよ?」
「ひっ……!」
鬼武蔵がビクッと震える。
恒興と利家は地面で泣きながら叫ぶ。
「姫さまぁあああっ!! それは本気で怒ってるやつぅうううっ!!」
「竹千代、逃げろぉおおおっ!! 殺されるぞぉおおおっ!!」
吉法師姫は、彼らを冷たい目で見下ろした。
「黙りなさい。竹千代はアーシの丁稚で……。アーシの子狸で……。アーシの玩具なの……。勝手に触らないで?」
「玩具って言ったぁああああああっ!!」
俺は泣きそうになった。
(いや……。この人……本気で俺を囲い込む気だ……)
◆鬼武蔵、嫉妬の狂気がさらに暴走する
吉法師姫の独占宣言を聞いた鬼武蔵は――顔を真っ赤にしながら、拳を震わせた。
「姫さま……うちだって……竹千代のこと……」
「ん?」
「守りたいんだよ!!」
「ひぃっ!!」
鬼武蔵は俺の肩を掴み、ぐいっと引き寄せる。
「竹千代! 今日の稽古、うちが全部相手してやる!! 姫さまに負けねぇ!!」
「いや、勝負するな!! 俺を巡って争うな!!」
吉法師姫は、鬼武蔵を睨む。
「鬼武蔵……あんた、竹千代に触りすぎよ?」
「ひっ……! す、すみません姫さま!!」
「竹千代はアーシのもの! 触るなら……アーシの許可を取りなさい?」
「許可制なの!? 俺、許可制なの!?」
鬼武蔵は真っ赤になりながら叫ぶ。
「姫さま!! うちだって……竹千代を守りたいんです!! 尻揉まれたのは許してねぇけど!!」
「それは事故だぁぁぁぁぁ!!」
吉法師姫はふっと笑った。
「ふふん……いいわ……。鬼武蔵、竹千代を守りたいなら――
アーシより強くなりなさい?」
「なっ……!! 姫さまより強く……!? それは……無理だぁぁぁぁ!!」
「じゃあ諦めなさい?」
「うぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」
鬼武蔵は草原に倒れ込んだ。
(いや……この二人の嫉妬、怖すぎる……)
◆姫武将三人、狂気の《《竹千代いじめ訓練》》開始
吉法師姫は、俺の背中をぽんと押しながら言った。
「た、竹千代……。今日の訓練は――《《姫武将三人による竹千代いじめ》》よ?」
「いじめって言った!! 今いじめって言った!!」
吉法師姫は悪役令嬢スマイルで言い放つ。
「強くなりたいなら、まずは……いじめられなさい?」
「いや、教育方針が狂気!!」
◆佐々成政(泣き虫令嬢)編
成政は涙目で俺に抱きついてくる。
「ご、ごめんなさいぃいいいっ!! でも姫さまが……やれって……!」
「泣きながらタックルするなぁぁぁ!!」
成政は泣きながら俺を押し倒す。
「ひぃいいいいいいっ!! 竹千代君、痛かったらごめんなさぃいいいっ!!」
「痛いよ!! めっちゃ痛いよ!!」
吉法師姫は満足げに頷く。
「成政、いいわねぇ……。泣きながら攻撃するの、可愛いわよ?」
「褒めるな!! 褒めるところじゃない!!」
◆毛利新介(勝ち気姫武将)編
新介は拳を構え、目を輝かせる。
「竹千代君!! 今日こそ勝負だ!! ぼくが一番槍だ!!」
「いや、槍持ってないだろ!!」
「拳が槍だ!!」
「意味わからん!!」
新介は本気の突きを繰り出す。
「うぎゃぁあああああああああっ!!」
吉法師姫は拍手する。
「新介、いいわねぇ~。竹千代をボコるの、上手になったじゃない?」
「褒めるな!! 褒めるところじゃない!!」
◆服部小平太(元気姫武将)編
小平太は笑顔で突進してくる。
「竹千代くん!! 遊ぼう!!」
「遊びじゃないだろ!! これ訓練だろ!!」
「遊びだよ~! えいっ!」
小平太は俺を軽々と投げ飛ばす。
「ぎゃああああああああああああ!!」
「竹千代くん、軽いね~!」
「軽いって言うなぁあああっ!! あんたらよりも年下だから当たり前だろうぅうううっ!」
吉法師姫は満足げに笑う。
「小平太、いいわねぇ。竹千代を投げるの、楽しそうじゃない?」
「楽しそうじゃない!! 俺は楽しくない!!」
◆吉法師姫、狂気の総評
三人にボコられ、俺が草原に転がると――
吉法師姫は、満足げに言った。
「ふふん……竹千代、今日も最高だったわ~! やっぱりいじめられると、可愛いわねぇ?」
「可愛いって言うなぁあああああああああっ!!」
吉法師姫は俺の頬をつまむ。
「竹千代……。あんたはアーシのものなんだから……。もっと強くなりなさい?」
その瞳は――
悪役令嬢の狂気と、少女の恋心が混じった危険な光だった。
俺は震えながら思った。
(この人……本気で俺を育てる気だ……。そして囲い込む気だ……。逃げられない……)
尾張の草原に、今日も戦国ラブコメの狂気が響いていた。
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