第2話 プロローグ(遠い過去の甘い思い出?)(2)
「えっ! 本当に竹千代?」
勝気で麗しい幼き姫さまが、僕の熱い決意に目を見開いた。
武家の姫だからこそ、その驚きは本物だった。
「うん、本当だよ、吉姉さま」
僕は胸をドン!と叩き、男らしさを全力アピール──
まだ幼いけど、心は燃えていた。
だが、これで終わりじゃない。
彼女はまるで天女のように麗しく、僕の心を掴んで離さなかった。
「吉姉さまも知ってるだろ? 俺の武術の腕前を」
息を切らしながらも、狸のように尻尾を振る僕を、彼女はじっと見つめていた。
「うん、知ってるよ。犬千代や佐々、恒興、森可成と同じくらい強いし、囲碁や将棋も強いから戦術眼も悪くない。それに町のクソガキ相手でも負けないからね」
満面の笑みで応えてくれる彼女に、僕の胸は高鳴った。
でも、幼い僕は満足できなかった。
彼女の褒め言葉は嬉しいけど、俺はもっと強い男だと証明したかった。
「何言ってんだよ、吉姉さま! 俺の方があいつらより強い。天下取りは俺なしじゃ無理だ。斎藤道三や今川義元、武田に北条、弱小の蝙蝠大名浅井や名ばかりの名家朝倉、六角も俺が懲らしめてやる。任せてくれれば大丈夫だ!」
幼い俺は怖いもの知らず。
僕の所領の規模も知っていたけど、そんなの関係なかった。
初恋の美少女に強くてかっこいいと思われたくて、大袈裟に振る舞っただけだ。
それでも、あの頃の吉姉さまは……。うぅ、ううう、俺を大切にしてくれた。
まるでおもちゃのように可愛がってくれたんだ。
彼女は俺の異世界ファンタジーのラブコメヒロインで、俺に好意を抱いていた。
「そうなんだ~、竹千代は威勢が良くて立派でカッコいいね~」
北欧の美の女神フレイヤのように麗しく、我儘で高飛車な悪役令嬢さまだった。
彼女は俺を利用しようと、甘い声で褒めて頭を撫でてきた。
「じゃあ、竹千代がアーシのために生涯牛馬のように尽くして盾ちゃんになってくれるなら、その都度チュ~してあげるね、竹千代……」
俺が超エロガキだと知っているからこその、悪役令嬢の策略。
まだ純粋だった俺は、その甘い囁きに心を奪われた。
「えっ! 本当に?」
初心な俺は歓喜し、まるで天に昇る気分だった。
だが、俺は勘違いしてしまった。
「うぅ~」と声を漏らし、唇を尖らせてル〇ンダイブ。
幼くてもエッチな子狸の俺は、吉姉さまの肢体を貪ろうとして大失態を犯した。
その後どうなったかは、織田信長の尾張の悪役令嬢さまに死ぬほど殴られ蹴られたことだけ覚えている。
あとはご想像にお任せする。
◇◇◇




