第2話 プロローグ(遠い過去の甘い思い出?)(2)
「えっ! 本当に竹千代?」
僕の思い出の勝気で麗しい少女は、一応武家の姫さまだから、僕の熱い決意の言葉に最初は驚き、やがて嬉しそうに僕へ尋ねてきた。
そんな彼女に、幼い僕はこう答えた。
「うん、本当だよ、吉姉さま」
あの時の僕は自分の胸を威勢よく『ドン!』と叩き、男らしさを麗しい彼女にアピールした記憶がある。
しかし、僕の麗しく勝ち気な少女へのアピールはこれで終わらなかった。
だって彼女はまだ幼さを残していたが、天女のように大変麗しい少女だった。
だから僕はさらに自分をアピールした。
彼女とは将来契り、夫婦になりたいという夢があったからだ。
「吉姉さまも知っているだろう? 僕の武術の強さは?」
あの時の僕は勇んで彼女に告げ、尋ねた。
幼い彼女は、僕が「はぁ、はぁ」と狸のように尻尾を振る様子を見ていた。
「うん、知っているよ。竹千代の強さは、アーシの家臣である犬千代や佐々、恒興、森可成たちと変わらないくらいの武術の腕があるし、囲碁や将棋も強いから戦術眼も悪くない。──それに竹千代は町のクソガキたちと喧嘩しても強いから知っているよ」と。
いつも麗しい彼女は満面の笑みを浮かべながら、幼い僕の尻尾を振る様子に応えてくれたのだ。
しかし幼い頃の僕は、彼女の褒め言葉を聞いても、若さゆえの未熟さから不満が残っていた。
僕が一目惚れしたのは、国人領主の勝ち気でヤンキーな麗しい姫さまだった。
だが、僕の技量が彼女の馬廻衆や小姓たちと変わらないほどだと言われ、憤怒した。
そう《《あの時》》の僕は年甲斐もなく、鬼のように真っ赤な形相で鼻息荒く叫んだ。
「何を言っているんだ、吉姉さま! 僕の方があいつらより強い。吉姉さまの天下取りは僕がいなければ達成できない。僕さえいれば、斎藤道三や今川義元、武田に北条、弱小の蝙蝠大名浅井や名ばかりの名家朝倉、六角も僕が懲らしめてやる。だから任せてくれれば大丈夫だ!」
《《あの頃》》の幼い僕は本当に怖いもの知らず。
《《あの当時》》の吉姉さまの所領は、僕が今川家から差し押さえられている《《岡崎の所領10万石足らず》》とほぼ同じだった。
それに吉姉さまがいくら一族を統一しても《《28万石前後》》に過ぎないことも、幼い僕には分かっていた。
僕は近代日本の流行りである《《異世界転生者》》だから、彼女の所領の規模を知っていた。
それでも幼い僕は、初恋の美少女に自分が強くてかっこいい男だと思われたくて、大袈裟に振る舞ってしまったのだ。
それでも、あの頃の吉姉さまは僕を大切に可愛がり、まるでおもちゃのように扱ってくれた。
彼女は僕の異世界ファンタジーのラブコメヒロインであり、異世界転生者の僕に好意を抱いていたのだ。
だから僕の強気な発言にも、彼女はこう言った。
「そうなんだ~、竹千代は威勢が良くて立派でカッコいいね~」
《《あの時》》、僕の初恋の令嬢さまは、北欧の美の女神フレイヤ神のように麗しく、性格も似た我儘な姫さまだった。
まあ、《《悪役令嬢さま》》と言う奴だった。
彼女は僕を利用するために、幼いけれど少しばかりエッチな僕へと黄色い声音と甘い蜜のような声で褒め称え、優しく頭を撫でてくれた。
吉姉さまは僕のことをクソ馬鹿狸のエロガキだと思いながらも……。
だから、フレイヤ神のような《《悪役令嬢さま》》の彼女は、さらに僕を利用しようとしてわるだくみを思案して甘い言葉を囁いてくる。
「じゃあ、竹千代がアーシのために生涯牛馬のように尽くし、盾ちゃんになってくれるなら、その都度チュ~してあげるね、竹千代……」と。
あの《《悪役令嬢さま》》は僕が、超がつくほどの《《エロガキ》》だと知っているから。
あの阿保! 吉の阿保は! エロガキだが! まだ純粋だった僕を魅惑的に誘い! 褒美として《《接吻》》を対価に利用する提案をしてきたのだった。
「えっ! 本当に?」
まだ初心な僕は、吉姉さまの魅惑的な提案を聞いて心から歓喜した記憶がある。
あの時の僕は、まさに天にも昇る気分で、超しあわせだったと思う。
だからこそ、僕は心の底から歓喜したのだ。
まあ、歓喜した僕は異世界ファンタジーやラブコメのお約束通りに行動した。
何を血迷い、狂ったのかは自分でもわからないけれど。
まだ純情だった僕は、吉姉さまの提案を勘違いしてしまい、《《あの時》》、彼女からすぐにキスをしてもらえると思い込んでしまった。
だから僕は阿呆だから、吉姉さまへと「うぅ~」と声を漏らしつつ、自分の唇を尖らせながらル〇ンダイブした。
僕は幼くてもエッチな子狸だから、吉の阿呆を襲い、アイツの肢体を貪ろうとする失態を犯した記憶がある。
まあ、この後僕がどうなったかは、自分でも織田信長に死ぬほど殴る・蹴るかた、僕も余り覚えていないので、みなさんのご想像にお任せする。
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