ユーマチャンネルの新たなメンバー、1人目
影山は部屋へ戻ってから、ユーマの配信を見ていた。
彼は基本、午後からのスタートだ。そのため、配信開始から視聴できた。
カメラに映るユーマが、視聴者へ向けて明るく声をかける。
「おっす~。さっそくだが、今日から一緒にパーティー組むかもしれない、マモルさんだ。よろしくお願いします!」
「昨日づけでネオファン専属になった、マモルだ。ユーマチャンネルみなさん、お見知りおきを」
紹介された男、マモルの年齢は46。身長は180前半と高い。黒髪のショートヘアで、顎髭を短く伸ばしている、渋めなイケオジという雰囲気であった。
2人がいるのは、Cランクダンジョンだ。遺跡型のダンジョンで、灰色の石壁と石床が通路として広々と伸びている。
『2人候補いるっていってたけど、1人はマモルさんかよ!?』
『マジか』
『誰?』
『しらね』
『勢いあったけど、まだ日が浅いし、大手ではないかも』
『冒険を始めるのに、年齢は関係ない! ってコンセプトのアレか』
『エレメンツと契約解除したって言ってたけど、ネオファン来たのか』
マモルはエレメンツという中堅企業と専属契約を結んでいた。
しかし彼のパーティーメンバーは年齢もあって続々と引退していき、やがて1人になり、エレメンツと契約解除をした。
その後色々あってネオファンと契約し、メンバー候補としてユーマの名が上がった……という流れだ。
ちなみに前回のマモルのチャンネルは、フォロワー30万人。
そこそこの有名人であり、Cランクダンジョンへ潜っていた中堅冒険者だ。
マモルはカメラの前で、簡単に自己紹介をしていく。
「コメントで少し出ているが……前のパーティーでは“高年齢でも冒険者は始められる”をテーマに、アラフォーの新人だけでパーティーを構成していた。だが……まあ当然、みんな年だったからな。色々あって、散り散りになった」
『草』
『まあ、ですよね』
『シンプルに引退とかもいたな』
『マモルさん、辞めてなかったのか』
『やっぱ40代の冒険ってキツいの?』
「人によるだろうな。俺はまだまだやれるし、もっと上を目指しているよ。日々成長を感じている」
『マモルさんよろしく!』
『うーん』
『ネオファンにふさわしいのかねぇ。落ち目なんじゃないの?』
『それ思った』
『ユーマって、長いブランクあって全盛期よりかなり落ちてるけど、かつてはネオファンキングって呼ばれてたのよ』
『ユーマにふさわしいとは思えない』
コメント欄の空気が悪くなる。
しかしマモルはこうなることを想定していたようで、慌てずに対応した。
「今はまだ、ユーマくんに不相応な冒険者であると自覚している。結果を残すための努力はするし、足を引っ張るようなら辞める覚悟で挑むつもりだ」
ユーマがフォローに入った。
「まあまあ、お試しだし、そうカリカリするなって。大体、今の俺はえり好みできる立場じゃねーっての」
『りょ』
『ネオファン契約維持できるといいねぇ』
『地雷感あるな』
『コメントはごちゃごちゃ言うな』
『ユーマ達が決めたことなんだから、見守ろうや』
微妙な空気感のコメント欄に、このまま雑談しても良くならないだろうと思ったユーマは、話を切り替えた。
「うし。じゃあ、マモル先生。さっそくダンジョン探索といくか!」
「ああ……先生?」
「なんとなく先生っぽいからよ。すっげー年上だし」
「まあ、なんでもいいが。前衛は任せてくれ。マモルという活動名通り、守りには自信がある」
「タンクか。りょーかい。んじゃ、俺は少し後ろに下がって、魔法でダメージソースになるとするか」
そんな話合いをしつつ、ユーマとマモルはダンジョン探索を始めた。
(ユーマ、ファイトだ)
影山は内心で、ひっそりと応援している。




