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【透視チート】会社をクビになった俺、ダンジョン配信でバズって人生逆転する  作者: 音有五角
第二章「ネオファンキング、誕生」

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幕章「元イノファリオ、動きます。」

「1週間の休暇……?」


 とある日の配信を終えた後、影山から告げられた言葉に、朝日は驚いた。


「最近、夢中になりすぎたし。気になることもあるから、たくさん休みをとろうと思って」


「な、なにかあったの?」


(まさか……私に不満がある!? もしそうだったらどうしよう!?)


 朝日は信頼関係を築けてる、という手応えがある。

 だが、所詮は人間同士のやることだ。

 そもそも配信と探索は“仕事”であるのには変わりない。

 なにか不満やストレスを感じるのは、仕方ないと言えるだろう。

 それに心当たりがないわけじゃない。

 朝日はドジっ子なので、プチやらかしはしているのだ。


「実は……」


「じ、実は……?」


「社畜時代、ほとんど休みとれなくてさ」


「うん」


「でも、今は自由に休みがとれる」


「そうだね」


「だから、たまにはいっぱい休もうかなって」


「あ、そうなんだ」


 朝日はほっとした。

 どうやら、社畜時代の反動で休みたいだけのようだ。

 ダンジョンでは高密度に狩りをし、ストイックにトレーニングもする影山だが、プライベートも充実させたいようである。

 そして――朝日は、ドキドキした。


(も、もしかして。ととと、泊まりでデートとか、そういうこと!? きゃー、だめだめっ、まだダメだよ、影山さんのエッチ! 結婚してないし、いやんいやんっ。でも新しい下着でも買いにいこうかな!?)


 1人で盛り上がっている。


「ただ、頼みたいことがあるんだ」


「もう、温泉だなんて大胆――って、あれ? 頼みたいこと?」


「温泉?」


「な、なんでもない。え、なに?」


「休暇を兼任して、より透視スキルを使いこなすためのトレーニングと、靴の飛行機能を中心に道具の調整をしたい。細かいところで、色々意見や気になることがあってさ。朝日ちゃんに頼ってばかりだけど、いいかな」


「あ、う、うん! 調整! そうだよね! がんばろっ! えへへ!」


 微妙にガッカリしつつ、朝日は明るい声を出した。

 そして壁破壊ニキが1週間の休暇を発表すると、SNSを中心に大きな反響を生んだ。


『ごゆっくり!』


『今度は休止じゃなくて、純粋な休暇か』


『1週間か。長いな』


『寂しい』


『ニキ様、待ってるよ~><』


『金持ちだから自由やな』


『女孕ませたから、育休とったのかな』


『またトラブルだろ。社会不適合者多いネオファンだし』


『嫉妬してるやつ湧いて草』


『羨ましいのはわかるが、ニキの好きなようにさせてやれ』


『ニキは元社畜だから、嫉妬の気持ちもわかるんだろうなぁ』


『まあ実際、こんな休みをとれるリーマンはほぼいないし、羨ましい』


『社畜の気持ちもわかるニキは最高だぜ』


『実際、いっぱい休んだ方がいいしな。探索者は毎回命がけ』


『数字求めて配信しまくって、事故るヤツは毎年いるしな』


『いつでも待ってるぞ!』





「みなさんのおかげで、最高のスタートダッシュとなりました! サンキュー! というわけで、かんぱぁぁぁぁぁい!」


「「「「かんぱぁぁぁぁぁい!」」」」


 イノファリオ元社員達は、主に若手を中心に10名集まった。現在はベンチャー企業「冒険イノベーションズ」と名乗っている。

 初動が上手くいった彼らは、ちょっとお高めの居酒屋にて飲み会を開いていた。

 影山の元同僚は、4つ年上の男性社長に酒を注ぐ。


「いやー、社長のアイデアは天才ですね。探索者協会を介さずに、探索者からの直卸でコスト削減するだなんて」


「ははははは、そうだろ。バカみたいな手数料をとる分、探索者と企業の両者に余計なコストが発生する。そこを省くことによって、両者に利益が出るってわけだ。最高のアイデアだろ?」


「我々からすれば安く買い取れるし、探索者にとっても儲けが出る。いやはや、脱帽です! 盲点でした!」


 さらに安く買い取った素材で製品を、受注限定で販売している。

 当然、他社の製品よりも安い値段での販売が実現していた。

 管理・調査する機関や法がない状態での市場参加だ。

 電化製品で例えるならば、経済産業省への許可を省き、販売しているようなものである。

 そして社長は酒を持ち、従業員へ向けて言い放った。


「あの冴えないチー牛のせいで会社が潰れちまったが、この事業は絶対に成功する! ネオファンに勝つ! 俺達がトップだ! そしてあいつを見返してやろうぜー!」


 同僚はにやりと笑った。

 影山をチー牛と呼び、自己主張も少ないから、仕事の無茶ぶりなどをしてイジっていた過去を思い出す。


(へへへ、やっぱりあいつは負け組で、俺達みたいな1軍が成功者なんだ!)


 従業員達は酒を手に、大いに盛り上がった。


「「「「えいえい、おー!!!!!」」」」


 飲み会は深夜まで、長く続いた。

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