輝いていた頃
ここ最近のユーマの配信は、人が少なくなり始めていて、接続数は4150まで落ちていた。
原因は明らかで、出もしないエクストラ・モンスターを延々と追いかけているからだ。
『もう出ないって』
『あれから情報も出てないんだよ』
『あんなクソ目立つモンスターなのに情報1つだけとか、おかしい』
『幻みたいなエクストラ・モンスターだったんだよ』
『諦めろ』
「いーや、まだ諦めねーよ」
『ムキになってんな』
『昔を取り戻したいのかね』
『まあ、全盛期は勢いあったからね』
『ネオファンキング時代かぁ』
(その通りだよ。俺はまだ、“もってる”って信じてんだよ)
平原を歩きながら、ユーマは思う。
ネオファンキング……いや実際は、もっとフォロワーが多い人はいたし、レベルももっと上がいた。
だけど当時のユーマは、勢いのある探索者であった。だから将来的に、トップに立てるのではないかという期待があったのだ。
高いルックスに、才能を感じさせる戦闘センス。
それに加えて珍しいモンスターに運よくめぐり合ったりと、なにかを“もって”いた。
「あの頃は良かったよなぁ……」
つい、口にしてしまう。
『昔のが楽しかった?』
「まーな。けど、ちょっと調子には乗ってたかもな~。結構、配信あるあるだと思うぜ?」
NTRされたユーマだが、ユーマ自身に原因がないわけではなかった。
ユーマは欲望を素直に言うタイプで、配信でたびたび“探索者で一番モテて、一番金持ちになりてぇ”と発言していた。
軟派なタイプのキャラで、冗談半分で女の子を口説くことも多い。
それに加えて波に乗っていて、なおかつイケメンだったので、ちゃんとモテていた。
ただ、浮気をしたことはない。。
しかしそういった要素が、付き合っていた彼女の不安や嫉妬の積み重ねに繋がった。やがてつけこまれて、長期的なチョメチョメでもってNTR……というわけだ。
なんともリアルというか、生々しいタイプである。
調べてみると、有名なカップル系動画配信者で似たようなケースがあるらしく、仕方ないのかもと割り切る気持ちも生まれた。
『NTRのことかい』
『浮気してないんだから、向こうが悪いけどね』
『ユーマをキープしながらはよくない』
『匂わせとか散々してたじゃん、あいつら』
『しかもデキ婚だし』
「いやまあ、あいつのことは庇っていないが」
『庇ってるよ』
『ユーマの言い分はわかるし、良い所だけどね……』
『前とは変わって、女性嫌いになって、パーティーもコラボも少なくなって、明らかに引きずっているやん』
『みんなお前が心配なんやで』
「うぐっ。なんかありがてーような、なさけねーような……まあけど、サンキューな。あーあー、エクストラ・モンスターでねぇかな! 派手なイベントが欲しいぜ!」
あの時からずっと、過去に縛られているような気がしたのだ。
フォロワーの数だって、当時を取り戻せていない。
なにか勢いのつくイベントに辿り着いて、再ブレイクしたい。そうすることで気持ちを切り替えたい。
それがユーマの心情であった。
『空』
『なんか、光ってない?』
『上、上!』
「あん? なんだよ……って!?」
ごおおおおおお、という轟音と共に空に金色の魔法陣が浮かぶ。
瞬間――そこから、金色の大きな狼が飛び出した。
どすん、と大きな地響きと共にその全容が明らかになる。
威風堂々とした気高い金色の毛並み。美しいクールな顔立ち。鋭く大きな牙と爪。
その全長は3メートルを超えていた。
「き……キタァァァァ!」
ユーマは歓喜の声を上げた。




