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隠し通路を進む

『は?』


『え?』


『なんだ今の……』


 影山は、ぽっかり空いた穴を凝視(ぎょうし)した。

 その奥には、まっすぐ伸びる通路――だが、色が違う。

 赤黒く、湿ったように光り、こちらの階層とは明らかに空気が重い。

 体の奥へ響くかのような、重い圧力だ。


「……通路が見えます。隠し通路です」(ボソッ)


 コメント欄が一斉に爆発する。


『いやいやいや!?』


『言い方軽すぎる!!』


『隠し通路です(※世界的発見)』


『ボソッと歴史変えるのやめてくれ』


『心臓に悪いわ』


 影山は首を傾げる。


「隠し通路って、そんなにすごいんですか?」


 言われてみると、推し配信者“あさひチャンネル”でも、この現象は見たことがない。


『すごいどころじゃない』


『先行した自衛隊が見落としているエリアの発見は、大事になる』


『協会が動く案件』


『そして壁壊したら通路が出たなんて、前例ゼロ。ガチで世界初』


『何者なんだこいつ』


『進むならマジで気をつけろ』


 影山が小さくうなずいた瞬間――ドローンのライトが赤く点滅し、AI音声が警告を発した。


『警告。マップに存在しない座標を検知。これより先は未開エリアです。退却を推奨(すいせん)します』


 コメント欄がさらにざわつく。


『こんな機能あったのかよ』


『初めて見た』


『協会、管理したがり問題』


『無断で入ったらどうなるんだ?』


『詳しい人、解説頼む』


『本来は協会に通報する義務がある。ただし任意』


『そんな義務を守ってる探索者はほぼいないんだよなぁ』


『ロマンには勝てん』


『いや待て。ロマンで死ぬぞ。危ないから、通報の義務があるんだろ?』


 AIがさらに追加警告を重ねる。


『警告。魔力濃度の急上昇を検知。解析――ここより先はランクDエリア。推奨レベル10以上』


 コメント欄が再び加速した。


『はい、終わった』


『まだレベル2だよな?』


『じゃあDランクは無理だ』


『逃げろ!』


『戻れ!』


「え? ダメなんですか?」


『当たり前だろ(笑)』


『ちょっと不満そうな声やめて(笑)』


『ソロでレベル10帯は無謀』


『引き返せ!』


 しかし影山の脳裏に、先ほどのアドバイスがよぎる。


(格上と戦える……絶好の機会なのでは)


 その瞬間――ズゴゴゴゴゴゴゴッ、と地面が揺れた。


『なんだ!?』


『壁! 壁見て!!』


『塞がってる!!』


 振り返ると、崩れた土壁が巻き戻しのように元へ戻り、あっという間に穴が塞がった。

 揺れが止んだ直後――天井の影が、ゆっくりと広がった。

 次の瞬間。ぼとんっ、と黒い巨体が落ちてきた。

 全長2メートル超。紫の縦線が体表に刻まれ、八つの脚が地面をつかむように着地する。

 空気が一段と冷えた。


「シャアアアアアッ!!」


 鋭い威嚇が、辺りに響き渡る。クモが放つ殺気に、息苦しくなる。

 影山は一歩下がり、ボソッと呟いた。


「……強そうだ」


 そして、まだ素人感の残るファイティングポーズを取り――静かに、戦闘態勢へと移行した。

本作の閲覧ありがとうございます。


もしここまでの内容がよろしければ、★★★★★評価・ブックマークをいただけると、とても助かります!


何卒、よろしくお願いします!

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