100万人突破
あともう一度だけ、Dランクダンジョンの隠し通路が他にないか見たら、別のダンジョンへ移ろうと考えた。
そしてこの日のダンジョン配信は、開始早々に目で追いきれぬほどの勢いで、コメントが流れていく。
『フォロワー100万人突破おめでとう!』
『さすがの勢いだよなぁ』
『888888』
『受けとれぇぇい、壁破壊ニキ! 1000円』
『壁破壊ニキを見るのが最近の楽しみです。もはや生活の一部なので、これからもよろしくお願いします。 7000円』
『初期からずっと応援してます。メンシプ開設予定はないですか? 700円』
『切り抜きから来ましたが、もうファンです! 期待してます! 500円』
『お顔も声もスタイルも全てがタイプです♥ 3000円』
『ニキ様だいすき、ずっとずっとだいすき♥ 10000円』
「ありがとうございます。こんなにたくさん……助かります。メンシプはないと思います……色々と恥ずかしいので……」
メンシプとなるとお金をとるので、しっかりとそれ専用の活動をしなくちゃいけなくなる。
ダンジョン配信は有料配信禁止なので、どうしても雑談配信などが題材になるだろう。
加えてメンバー限定のスタンプ配布、とかそういうのを用意することになる。
影山としては、“壁破壊二キ”のキャラクターイラストがこれ以上バラまかれるのに、まだ羞恥心がある。
正直、待機画面やアイコンなどのイラストでも、自分の分身と考えると恥ずかしいのだ。
ただ、1つ思うことはあった。
「こうやってスパチャなどで、みなさんにお世話になっているので。なにかの形で、返せたらなと思っています」
『ええんやで』
『元気に配信してくれれば』
『ニキは将来の探索者業界を支える人間なんやで』
『なおすでにトップクラスの模様』
『まだレベル10代だし、さすがにトップは言い過ぎじゃね』
『ニキくんの写真集出してください♥ お姉さん絶対に買います♥ 15000円』
「嫌です。でも、スパチャありがとうございます。レモンさん……前にも投げてくれましたよね、いつもお世話になっています」
『きゃあああ、覚えてくれた♥ 元気でいてくれたら、それでいいからね♥』
(ファンサ要求してきた人だから、印象に残っている……)
『昨日の骨はどうだった?』
『指輪気になる』
「昨日の骨は、合計で270万円になりました。高級ポーションのエキスになるそうです」
『わーお』
『たっか』
『マジかよ!?』
「で、指輪なんですけど。鑑定結果が出ました。なので、今日から装備しています」
左手の人差し指には竜の指輪。
中指に、昨日手に入れた盾の指輪をつけた。
『かっこいい』
『似合っているよ♥』
『どんな効果?』
「とりあえずステータスで見てもらった方が早いと思うので、こちらをどうぞ」
鑑定後なので、レベルと同じでステータス表記が出来る。
セブンス・シールド
全ステータス20%上昇。スキル“セブンス・シールド”を発動できる。
スキル「セブンス・シールド」
指輪から魔力で形成する盾を発生させる。1秒につき1MP消費する。
『全ステUP!?』
『しかも20%か……』
『ステ上昇のアクセサリーってだけでも、100万以上するのに』
『ウン千万は余裕でする性能なんだよなぁ……』
『さらにスキル付与というオマケつき』
『片手盾みたいな感じ?』
「そうですね。これです」
影山は指輪に魔力を送り“セブンス・シールド”を発生。
丸いラウンドシールドの形をしており、サイズは大きい。胸の辺りで指輪をかざしているのだが、縦のサイズが影山の足元ギリギリまで届いている。
『おお』
『いざという時の守りに使えるね』
『こりゃまた一気に強化されたな』
そうして昨日の収穫を報告し、まだ見ていないエリアに隠し通路がないか確認する。
しかし床にも壁にも、該当するものはなかった。
時刻は15時。影山はよし、と頷いた。
「……ここのダンジョンでも色々なことがありましたが。隠し通路はなさそうですね。次回の配信で、別のダンジョンへ移ります」
『振り返れば、壁破壊は弾幕ゲーと○ガテン迷路か』
『色々あったねぇ』
『昨日のゾンビ怖かった><』
『ニキ様~♥』
「エクストラ・モンスターと出会えなかったのは、残念ですが……」
と、視聴者と感慨にふけっていたときだ。
朝日が緊迫とした声を上げる。
「――ニキさん! 救難信号をキャッチしたよ!」




