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【透視チート】会社をクビになった俺、ダンジョン配信でバズって人生逆転する  作者: 音有五角
第二章「ネオファンキング、誕生」

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推しと初デート 3/3

「あ! あれ、可愛い~」


 帰り道。ゲームセンターの窓から、偶然UFOキャッチャーの景品を見た朝日がそう言った。

 気になるらしいので、2人で店内に入り、台を見る。

 トラのぬいぐるみである。サイズは結構大きく、小型のワンコぐらいはありそうだ。


「ほしいの?」


「ほし~。トラちゃん可愛い~」


 推しとの初デート。

 自然体でいようと思ったが、やっぱり、良いところは見せたいと思った。

 そしてそれは、今だと判断。


「獲ってあげるよ」


「え!?」


「UFOキャッチャー得意なんだ。昔ハマっていた」


 その話自体は嘘じゃなかった。景品を獲るのが趣味だったのだ。

 影山はさらに恰好つけて、100円玉を入れていく。


「い、いいの?」


「任せて」


 そして――地獄が始まった。





 クレーンはかこん、とぬいぐるみを掴まず上がっていく。

 アームがクソザコすぎて、どう頑張っても上がりすらしない。


「か、影山さん、もう辞めた方が……」


「大丈夫。次こそいけるから」


 ちゃりんちゃりん。

 100円玉をさらに投入してしまう。


「あああ、ま、まずいって、影山さん。もう3000円も消費してるよ!」


「大丈夫。次こそいけるから」


「さ、さっきもそれ聞いたよ!?」


「大丈夫。次こそいけるから」


「BOTみたいになっているから!」


「金はある。探索者でいっぱい稼いだんだ」


「明らかに動揺してるよ! 影山さん、お金持ちを誇示するキャラじゃないのに、財力をアピールし始めている!?」


 やがて6000円を消費した。

 3本爪のクレーンゲームで、いわゆる“確率機”だ。

 重要なのはテクニックではなく、運。

 いくらかお金を導入すると、クレーンの設定が自動的に変換されてアームの力が強くなり、景品をゲットできるという仕組みだ。

 いくらで獲れるのか……というのは、設定した人のさじ加減となる。

 法律に触れるので獲れない、ということはないが、いくらかかるかはわからない。なので、クレーンゲームの熟練者は避けがちなタイプの台だ。

 影山が、6100円となるプレイへ挑戦。

 なんとしても、トラを朝日へプレゼントしたい。そう考えていた。


「あ!」


 朝日が声を上げた。

 三本爪のクレーンが、トラを掴み――上に上がったのだ。

 影山がガッツポーズをとる。


「よし!」


 が、その瞬間――朝日が、くしゃみをした。


「くしゅん!」


 可愛らしい声だが、大きめなくしゃみで、頭を縦に振った。

 おでこがごつん! とガラスに当たり、台が揺れる。

 その震動により、クレーンがトラを離してしまった。


「「あ」」


 2人の声が重なる。

 トラは無常にも、ほとんど元の位置へと戻ってしまった。

 朝日が涙目になる。


「あわわわ~! ごごごご、ごめんなさい!」


「いや……まあ、いいんだ。プレゼントできないのは、ガッカリだけど……」


(朝日ちゃんらしいなぁ……)


 朝日がミスをしたり、ポンコツになるのは、配信者時代から知っていた。

 そして一連の騒動を見ていた若い男の店員が、かなり頑張っていたので持ち帰ってください、と特別に中からトラを1つ取り出してくれた。


「あ、ありがとうございます!」


 朝日がトラを受け取る。

 店員は頭を軽く下げて、去っていった。

 朝日はぎゅううう~~~~、とトラを抱きしめる。


「影山さん、ありがとう! がお~」


「助かります」


「助かります?」


(がお~助かるって話です)


 ただのファンである。


「帰ろうか、朝日ちゃん」


「うん! トラちゃん、大事にするね~」


 2人はタワマンまで、帰路を共にしたのであった。

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― 新着の感想 ―
アシストならあり得るけどそのまま渡す事は無いやろ
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