まさかのホラー配信
『ヒェッ……』
『怖い怖い怖い』
『なんだこの笑い声!?』
『キモい』
『やだ、ニキ様~><』
『(゜∀゜)アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ↑↑↑↑↑↑↑』
『なにわろてんねん』
『音デカすぎてびっくりした』
『こわいよ~』
「ニキさん、背後に反応が!」
「後ろ?」
鼓膜を直接揺らすような、バカでかい音量の笑い声で、怖いと言うよりは驚くタイプの脅かし方だが、相変わらず大してビビっていない、落ち着いた様子の影山が振り返る。
ズブぶぶぶっ、と湿った音と共に、床からゾンビが生えてきた。
体長は先ほどよりも大きく、3メートルほど。同じゾンビだが皮膚の色が赤色で、人体模型のような見た目をしており、薄気味悪さが増している。
顔に目はないが唇だけがあり、ニヤニヤ笑っているのが、不快な印象をさらに強くさせていた。
「さっきより大きいな」
「い゛ひっwwwww ひいっひひひいいいいいいwwwwwwwwww ひゃひゃっ、ひゃっ、ほっ、ほっ、ほっ、アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!」
『テンションに差がありすぎて草』
『バカうるさくて草』
『いや普通に怖いんだけど』
『きゃ~、ニキ様~><』
大きなゾンビが、ドスドスと地響きを立てながら前へ駆ける。
右拳、右足の蹴りと、素早い動きで格闘攻撃を放ってきた。
影山は後ろへ下がり、回避しながらショットガンを放つ。
魔力の散弾がゾンビに降りかかり、バチバチ! と弾けるような音が放つも、皮膚にほとんど傷がつかない。
「お? お? お? wwwwwwwwwwww ひゃひゃひゃひゃひゃ! あへっ、あひっ、あはぁぁぁぁぁぁあああああああああ~~~~~~~~~~↑↑↑↑↑↑↑」
効いてませんけど? 大丈夫ですか? と、煽るかのように首を傾げながら、蹴りとパンチを放ってくる。
その一撃はどちらも強力で、ぶんっ! ぶんっ! と重みのある音を放っていた。
当たったら必殺級であろう、かなりパワフルな体術だ。
影山の靴が光り、加速したスピードで空を飛び、ゾンビと距離をとる。
ゾンビは再び首を傾げた。
「おほ? んおぉぉぉ? おっ? おっ?」
ん? どしたん? なにするんですか? と、言っているかのようであった。
先ほどのゾンビと違って、感情豊かだ。
『あの散弾が効かないだと!?』
『さっきのやつよりかなり強いぞ』
『てか、なんだこのゾンビの挙動は』
『怖いってか不気味だぞ』
空を飛んだ影山は、カードリッジをベーシックマガジンへ切り替える。
そして透視スキルを起動した。
デカゾンビの大ダメージ付与は腹、右肩、左肩。
先ほどの耐久力を見ると、この3つに当てないと仕留めきれないのかもしれない。
空を飛んで距離をとりつつ、まずは右肩を狙う。
動き回るゾンビに1発目は外すも、2発目に命中。
光の弾丸は、ゾンビの右肩を深くえぐった。
「wwwwwwwwww きききっ、ぎぎいぎぎぎっぎぎぎぎぎい!!! あっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!」
爆笑しているが、ダメージは確実に入っているのがわかる。
続く3発目は、ゾンビの左肩を見事に射抜いた。
ゾンビは口元をにやつかせながら、大きくジャンプ。
その跳躍力は影山の元へとたどり着くほどの勢いがあった。
しかしあえて避けようとせず――前へ向けて飛行。
飛行もかなり練習を積んだ。空中で剣を振り、“線”を斬るイメージは何度も重ねた。
その練習通りに。ゾンビに先制を許さず、カウンターによる必殺を狙う。
「――そこだ!」
ウォールブレイカーを握りしめ、すれ違いざまに素早くゾンビの腹を一閃した。
「あっ……ひゃ……」
ゾンビの笑い声が止み、ボトン! と、地面に落ちる。
着地した影山は落下したゾンビを観察した。
その赤い体が光となって、魔石を残し消えていく。
『――影山 光のLVが19へ上昇しました。HP+35 MP+12 攻撃+13 防御+14 魔力+13 精神+14 俊敏+19』
影山 光 LV18→19
HP 299→334
MP 122→134
攻撃 118→131
防御 134→148
魔力 119→132
精神 132→146
俊敏 209→228
『やったあああ!』
『ナイス!』
『っ!?』
『また上昇値上がってないか……?』
『なんや俊敏+19って』
『宝箱開けよう!』
『宝箱!』
『急かすなって、今倒したばっかりなんだから』
影山は流れが強くなるコメント欄を聞きつつ、宝箱へと近づく。
ぱかり、と中身を開けると――再び、正体不明の指輪が入っていた。
銀色の指輪で、輪っかの中心は盾の形になっていた。
「アクセサリーですね。ただ、どんな力があるかわかりません」
『うーむ、またおあずけかぁ』
『また封印系じゃないといいけどね』
『たしかに』
『鑑定結果が楽しみ……』
「あの。ニキさん、ここのフロアに出口ってありそう?」
と、ここで朝日がそんなことを問いかける。
影山はうーん、と首を傾げた。
「さっき戦った時は、それっぽいのなかったけど。探してみる」
透視スキルを起動し、壁を見つめる。
時刻は18時。
出口がなかった場合は……再び、この長い迷路の道を引き返すことになる。
それだけは避けたかった。
絶対に。




