迷路に苦戦
トラップの張り巡らされた通路を何回か進んでいると、あることに気がつく。
「帰る時もここを通らないといけないのか……」
ぼそりと、影山はほふく前進しながら呟いた。
彼の頭上には、ジジジジジ、と魔力のレーザーが複数発射されている。
『そういやそうね』
『ダルいわ』
『めんどくさいね』
『喋りながら罠潜らないでw』
「よいしょ」
立ち上がり、迷路をグルグルと進む。
朝日があっ、と声を上げた。
「待って。この床、他と見た目は変わらないけど、すごい粘着性があるよ」
「粘着性?」
「足が床にくっついちゃうの」
他の床と見た目を一緒にいている辺り、この隠しルートの性格の悪さが伺える。
靴へ魔力を送り、飛行でネバネバじゃないところまで移動した。
『戦いもないし、映えないダンジョンやな』
『退屈』
『といって油断すると、こういう罠を食らう構造か』
『迷路はめんどくさい』
念のため、たまに壁を透視スキルで確認。
すると、偶然にも一か所、真っ直ぐ伸びる通路の壁に“線”を見つけた。
他と変わらない壁だというのに。
「そいや」
影山は迷路の中の壁を破壊する。
音を立てて壁は崩れ、新たな小部屋への穴が開かれた。
『そいや?』
『どうして急に祭りはじめたの』
「なんとなくです」
室内は四角で、真ん中には宝箱が置かれている。
ついに報酬かと、退屈気味であったコメント欄が湧いた。
『きたあああああ』
『隠し部屋の宝箱は勝ち確』
『wkwk』
「え、えっと……二キさん……」
朝日が言いづらそうな声を出す。
「どうしたの」
「すごく意味ありそうな宝箱に見えるけど……ミミックだって」
「……」
影山は透視スキルを発動し、ベーシックマガジンの弾丸で速攻撃破した。
ミミックはなにも出来ず、破壊されて体が魔力となり、消えていく。
『なんだよ、このクソ迷路』
『マジ今回クソゲーなんだが』
『前みたいな狩りスポットもないしね』
『もしかして外れルート?』
「ありえない話ではないですね……」
壁を破壊して隠し部屋から出た後、じっと竜の指輪を見る。
いまのところ、なにも変化はなかった。
「でも、ゴールは気になります」
『ここまでめんどくさいと、逆にね』
『竜の指輪の封印が解かれるとか』
『悪魔○喚プログ○ムを貰えるとか』
『メガテ○感だいぶ薄れたけどね』
しばらく進むと、今度は落とし穴が検出された。
影山は落ちないようにしつつ、穴は気になるので、右足だけ伸ばして該当する床を踏む。
瞬間、バコンっ!!! という音と共に、床が開いた。
影山は右足を引っ込め、しゃがんで穴を見る。
朝日がドローンを近づけ、ライトで奥を照らした。
穴の底には銀色の鋭いニードルが、いくつも突き出ている。
ゾっとした。うっかり落ちたら、全身を串刺しだ。
「遠くは解析できないから、怖いね……」
「私が先導して、常に解析するね」
「うん。頼んだ」
(影山さんを守らないとっ)
朝日はモニター越しに、むん、と気合を入れた。
「いつもありがとね」
影山は何気なく、礼を言った。朝日はかあああ、と頬が赤く染まる。
「こここ、こちらこそっ。えっと、頑張ります!」




