迷路もトラップまみれ
次の日。配信を開始すると、フォロワー80万人を突破したお祝いコメントが流れた。
『80万人突破おめ!』
『一日で20万も伸びているねぇ』
『これは100万人いくね』
『これからも応援するぜ!』
『80万人突破記念 8000円』
「スパチャありがとうございます。これからもがんばります」
『ちょっと絡んでいるユーマ、抜かされたね』
『今、どんな気持ちなんだろ』
ユーマ『切ないです。でもおめでとう』
『さらっといるの草』
ユーマ『まあ、この後配信予約入れているから、ダンジョン行くけどさ……』
『またテンション下がってる(笑)』
『元気出せって』
「ユーマさんも、ありがとうございます」
短い雑談を終えて、昨日と同じ迷路へと入る。
壁破壊をするたびに、コメント欄が湧くのは面白かった。
『生で見れた!』
『すげぇなぁ……』
『切り抜きの方だと、海外のコメントとかも書かれているよね』
朝日のナビゲートの元、迷路を進んでいく。
やがて辿り着いたのは、レーザートラップのごとく、紫色の魔力の光線が真っ直ぐに交差する、トラップエリアであった。
エックス、T字……様々な形がある。
『うわぁ』
『またトラップか』
『迷路の上にこれかよ』
「くぐれない感じでもないので、進みます」
「に、ニキさん、気を付けてね。かなり高密度の魔力だから、当たったらまずいと思う」
「了解」
そう言いながらも、影山はこういうタイプのものに度胸があるのか、案外ためらいなくスイスイ進んでいく。
コメント欄の方がヒヤヒヤしていた。
『ちょっとは止まれって!』
『今、背中かすりそうだったぞ!』
『勇敢で草』
『でも、雑に見えてちゃんと回避できてんだよなぁ……』
『ニキの飲み込みの速さはどこから来てるんだ』
そうして、進んだ先は――行き止まりであった。
壁に向かって透視スキルを起動しても、なにもない。
「行き止まり……みたいだね」
朝日が気まずそうに声を上げる。
『草』
『うざすぎぃ』
『ミミックいたら「はい、ざんね~ん!」とか煽りそう』
『これは台パン案件』
はあ、と影山がため息をつく。
「あれを戻るのか……」
「こ、今度からは、トラップエリアは私が先を見てくるよ。行き止まりじゃなかったら、二キさんが進む形で」
「わかった」
『オペちゃんドローン当たったらオモロいな』
『当たるなよ、絶対に当たるなよ!』
『バチンっ!』
「当たりませんっ」
影山がトラップをひょいひょい回避して進みつつ、朝日のドローンがその後に続いた。
『なんでさっきより進むの早いんだ……』
『ニキ、元アスリートですか?』
「違います。社畜です。サラリーマンなめんな(?)」
『意味わかんなくて草』
『社畜かぁ』
『最近のサラリーマンはすげぇなぁ』
『こんな俊敏な社畜いてたまるか……』
『俺も脱サラしてーわ』
『仕事辛い……』
『ハァ……』
「俺は応援してます」
トラップエリアを抜けた。
結果、来た道を戻っただけだが。




