悪夢っぽい迷路
土壁の中と思えない、独特な雰囲気のダンジョンであった。
赤い天井と赤い床。壁は銀色で、景色が蜃気楼のようにゆらゆらと揺れている。
まるで目の前の光景が、幻であるかのようだ。
『なんだこれ』
『具合悪い時に見る夢かな?』
『なんか、アレっぽいよね』
『とぅとぅとぅ~♪、とぅとぅとぅ♪、とぅとぅとぅ~♪、とぅとぅとぅ♪』
『○ガテンかな?』
『すぐにけせ』
『メガテ○だとしたら、話しかけたら仲間になるのかな』
『???』
『なんかわからんが、不気味だぞ』
「……中へ踏み込むの、ちょっと勇気がいりますね」
影山が恐る恐る、中へ足を踏み入れる。
しかし不気味なだけで、すぐになにかが起きるわけではなかった。
移動して探索していく。
通路は分岐していて、右や左にと別れている。
そうして進んでいくと、行き止まりに当たった。
『迷路か』
『進むのに時間かかるやつ』
『エリア・アナライザー使おう』
「うぅ……残念ですが、今回のは解読が難しいですね。まるで解析されるのを拒むかのように、複雑な魔力波が妨害します。近くのモンスターやトラップを解析するまでが限界です」
『マジか』
『絶対に道に迷わせようとする意志を感じる』
『中々に性格悪そうなダンジョンだなぁ……』
「ニキさん。マッピングはしておくので、その都度方向を言うね」
「頼んだ」
『オペちゃん間違えないようにね』
『ちょいちょいやってるからね』
「だ、大丈夫ですっ」
視界が不気味に揺れる室内は歩いていると夢を見ているような気分になる。
しかも進めど進めど同じ景色なので、少し気が滅入ってくる。
『なんか不安になる絵面だな……』
『怖い』
『ホラー配信かな?』
「そんな縁起でもないこと言わないでください……」
マッピングしながら進んでいくと、朝日が魔力を探知した。
「そこを右に曲がった先に、モンスターの反応があります」
「来たか」
『どんなやつが来るのか……』
『ニキ様、気を付けて~!』
曲がり角を曲がると、朝日の言う通りに敵がいた。
片手剣と盾を持った、スケルトンである。身長は2メートルほどで中々に大きく、ガタガタ、と骨同士がこすれる音を立てながら、こちらへ接近してくる。
『スケルトン!?』
『やっぱりホラーだった』
影山は透視スキルを起動し、胸の中央に大ダメージ付与を確認。
しかしその前に、盾の中央にある“線”を狙った。
だが、そう思って間合いを詰めようとした瞬間、スケルトンが俊敏な動きで片手剣を振るう。
「……」
「っ!?」
予想以上に早い動きに影山は慌ててバックステップ。
接近してきた動きは遅かったので油断したが、案外動きにキレがある。
影山はカウンターを警戒しつつ、盾へ向けてウォールブレイカーを一閃。
バゴオオオオオっ! と、盾は真っ二つに斬られた。
「そこだ!」
そのままガードが緩くなった胸元へ向けて、ガンブレードを横払い。
大ダメージ付与の“線”をとらえ、スケルトンの胸骨が砕けた。
ガタガタガタ、と連鎖するように骨が崩れ、消えていく。
後に乗ったのは一本の骨と、魔石であった。
『ナイス!』
『骨も少し残るのか』
『良いドロップなのかな』
「似た個体はあるようですが、やはりデータベースと一致しないスケルトンです」
「了解。もう少し進んでみよう」
まだ迷路は半分も探索が終わっていない。
長い探索になりそうだが、オリハルコンのようにすごい物が出てくる可能性もある。
影山はドロップアイテムと魔石を回収した後、ドンドン先へ進んでいった。




