新たなる隠しルート
いつも通り配信を開始した。
ここ最近はちゃんとあいさつをするようになったので、開始早々に視聴者へ向けて口を開く。
「こんにちは。今日もよろしくお願いします。デストロイ」
『おはよう!』
『待ってた』
『???』
『初見です。よろしくお願いします』
『透視の人だ!』
『指輪つけている』
『鑑定結果どうだった?』
(初見コメ、やっぱり増えているな……そういえば、今朝見たらフォロワー60万人だった)
急速に視聴者が増えている時期なので、初見の人も多いのだろう。
開始したばかりだが、接続数は29002であった。
「鑑定結果は出ましたが、封印状態なので効果はないです。呪いなどもないそうなのでご安心を。デストロイ」
『封印か。なんだぁ』
『まあ、しょうがないね』
『ぐぬぬ、お預けか』
『?????』
『その喋り方はなに』
『なぜニキは定期的におかしくなるのか』
『とりあえず話は聞こう』
「ユーマからキャラをつけた方がいいとアドバイスをもらいました。デストロイ」
『あいつか……』
『余計なことを』
『騙されてるよ』
『まあ、たまにいるけどね、そういう冒険者』
『ニキ様、やめて』
『普通がいいなぁ』
かなりの不評であった。
「わかりました……戻します」
「ふふふ、ニキさんったら……」
朝日が笑ってしまう。
『オペちゃんも母性溢れる笑声である』
『ニキ様素直♥』
『数字伸ばしたいのね』
『もうすでにエゲつない勢いですがそれは……』
『というか、今日もここなのね』
『このDランクダンジョンはボスも倒したのに?』
『弾幕ゲーもクリアしたしね』
『レベル上げ?』
『例の狼狙いか』
『まだ狩られてないっぽいよね。目撃情報も出ないけど』
「エクストラ・モンスターもありますけど、あんまり隠し通路の確認をしていないので。狩りをしつつ、壁や床を見ていきます」
『りょ』
『他にもあるのかな』
『二キ様、ファイト♥』
こうしてその日の配信を開始した。
道中のワイルドボアを狩りつつ、床やダンジョンにそびえる茶色の高い壁を見つめる。
そして今度は、その壁に“線”を見つけた。
「よいしょ」
軽い声でウォールブレイカーを振り、透視スキルで壁を破壊。
壁はズドドドドドド、と大きな音を立てて崩れ、ドーム型にぽっかり穴が開いた。
『おおっ』
『隠しルートきた!』
『これが噂の壁破壊か……』
ドローンがここから先は未開のルートだと、警報を発する。
朝日も表情を引き締めた。
「ニキさん。この先、魔力の濃度が上がっているから、気をつけてね」
「うん……というか、ここって。大丈夫なのかな」
影山は目の前に広がる光景に、震えた声を出した。




