弾幕ゲーが始まる
『ついにか』
『レベル上がったしね』
『どんなやつがいるのか……』
『また宝箱あるのかな』
『オリハルコンの次は一体なにがあるんだ……?』
「たしかに、報酬が楽しみです」
雑談をしつつ、ボスフロアのある扉の前に立つ。
中央に触れると、ゴゴゴゴゴ、と扉が横へ開いていった。
「ニキさん、気をつけてください」
「うん」
朝日の言葉にうなずきつつ、前へと進んだ。
広々とした、円状のフロア。
その中央に、赤茶色の太い6メートルほどの木が生えていた。
トレントに雰囲気が似ているが、四肢はない。
魔物だが、木の見た目をしている。
そしてトレントは赤い目を見開くと――樹冠から、赤いリンゴのような球体を、弾丸のごとく大量に発射した。
10、20――いや、それどころではない。100を超えるリンゴが、影山を押しつぶそうとするかのように、広範囲に飛んできた。
「っ、なんだ……!?」
慌てて横へ走り、回避する。
初見なので、行動パターンもわからない。
ドローンで解析した朝日も、案の定だが告げる。
「データにないモンスターです!」
大量のリンゴは、床に、壁に当たると赤い魔力を放ちながら爆発する。
飛び散った砂が、影山の体に降りかかった。
爆風も襲いかかり、肌を軽く焼く。
しかし痛がる暇はない。
ガンガン発射されるリンゴは休みなく、怒涛の勢いで押し寄せてくる。
まるで弾幕ゲーのような密度だ。
押し寄せてくる攻撃の隙間を縫うように、走り抜けていくしかない。
「っ、透視スキル――起動!」
両目に青白い光が灯る。
ガンブレードを構え、ベーシックマガジンで射撃を試みる。
大ダメージ付与は、木の真ん中――トレントの中央に、3つあった。
前と右後ろ、そして左後ろに“線”が縦に伸び、その中心に“点”がある。
とてもではないが、近づくことは不可能。
危険が多すぎる。
遠距離で“点”を撃ちぬくことを狙った。
「そこだ!」
走りながら、“点”へ向けて引き金を引く。
弾丸はリンゴに当たらず、真っ直ぐに“点”へ命中。
トレントは全身をブルブルと震わせ、オオオオオオ、と鳴き声のような高音を発した。
「よし、これなら……うおっ!?」
真横にリンゴが通り、思わず声が出る。
弾幕ゲーは油断が命取りだ。
『○方かな?』
『さすがにそこまでじゃないが、マジの弾幕やん』
『恐ろしすぎる』
『地上のトレントとは似て非なる存在やん』
『当たった時の爆発エグいぞ』
『直撃はヤバい』
しかし影山は高い俊敏を活かし、巧みにリンゴを回避しながら、射撃で反撃もする。
爆風の衝撃にかすることはあっても、直撃はない。
そして2回目の透視で――見事に、2カ所目の大ダメージ付与に成功。
残るは正面のみ。
トレントは大きな声を上げた後、その体の色を紫色に変えた。
「っ!? なんだ……?」
一瞬、リンゴの発射が終わったかと思ったが――すぐに、次の弾幕が襲いかかる。
次は紫色のリンゴで、先ほどよりも高密度であった。
「に、ニキさん、これじゃ回避できるルートがないです! 上へ!」
「わかった!」
まだ練習中でマスターしたわけではないが……靴へ魔力を送り、空を飛ぶ。
弾幕を上下左右に散らすことで、その密度を一気に減らすことに成功。
飛行を交えれば、そう回避に苦労はしなそうであった。
しかし問題なのは、まだ飛行を使いこなせていないこと。
体への負担も強い。長時間の使用は避けたいところだ。
「これで決める……」
3回目の透視スキル。
空を駆け、紫色のリンゴを回避しながら――トレントの正面へ。
射線がほぼ真っ直ぐになったところで、ガンブレードを構える。
そして引き金を引いて、“点”を撃ちぬいた。
「オオオオオオ!!!」
巨木が痙攣し、弾幕がぴたりと止まる。
紫の光が霧散し、トレントの巨体が崩れ落ちるように消えていった。
「……よし」
影山は地上へ着地し、ふう、と息をつく。
爆風の熱がまだ肌に残っている。
弾幕を回避し続けるという、神経のすり減る戦いであった。
『――影山 光のLVが16へ上昇しました。HP+26 MP+10 攻撃+11 防御+12 魔力+11 精神+12 俊敏+15』
『――影山 光のLVが17へ上昇しました。HP+28 MP+10 攻撃+11 防御+12 魔力+11 精神+12 俊敏+16』
影山 光 LV15→17
HP 215→269
MP 91→111
攻撃 85→107
防御 98→122
魔力 86→108
精神 96→120
俊敏 162→193




