バトルジャンキー影山
タトゥー・バジリスクの悲鳴が、罠フロアに延々と響き渡った。
「ケェェェッ!?」
「ギャァァァァァ!!!」
「シャァァァァァ!?」
ついには3体同時に相手するようにもなり、影山はずっと無言&無表情でタトゥー・バジリスクを狩り続けた。
普通にやるとか言ったわりには、以前と同じ。
むしろより狂気が増していた。
しかし影山としては、べつに狂っているわけではない。
集中して、楽しんでいるのだ。
(ああ、戦うって楽しいな)
戦えば戦うほど、脳汁が止まらない。
コメント欄が流れていくが、前回とは様子が違う。
『無言でバンバン狩っていくの、強者感エグい』
『惚れた』
『二キ様、素敵♥』
魔石は回収しきれなくなり、床に置きっぱなしとなる。
もったいないが、レベル上げ優先だ。
ちなみに魔石はダンジョン内で1時間ほど放置すると、消える仕組みになっている。
そしてタトゥー・バジリスクを危なげなく、19時までひたすら狩り続けると――さらなるレベルアップをした。
『――影山 光のLVが14へ上昇しました。HP+24 MP+10 攻撃+11 防御+12 魔力+11 精神+12 俊敏+15』
影山 光 LV13→14
HP 165→189
MP 71→81
攻撃 63→74
防御 74→86
魔力 64→75
精神 72→84
俊敏 132→147
「よし。レベルも上がったので、そろそろ戻ります」
『レベルアップおめ!』
『上がるペース早いなぁ』
『てか、長時間やるんだね』
『完全にハマってるなぁ……』
影山は宣言して、罠フロアを抜け出し、ダンジョンの地上へと戻る。
移動しながらも、ふと辺りをキョロキョロ見渡す。
「このダンジョン、今はエクストラ・モンスターが出ているみたいで。金色の狼だそうです」
『マジか』
『金色!?』
『派手な見た目やなぁ……』
『エクストラねぇ。危ないからな~……』
『あー、ユーマが狙っているやつか』
『本当にいんのかな』
『まあ、幻のまま終わるなんて、ザラだからね』
「そうなんですか?」
『かなりレアだからね』
『遭遇は中々に難しい』
(そうなのか……)
しかし金色と言われると、なんとなくすごそうなので、運よく遭遇したいところであった。
「それじゃあみなさん、お疲れさまでした」
出入り口へ到着すると、影山はそうあいさつをする。
『おつ~』
『今日もありがとう!』
『オペちゃんもお疲れ様』
「おつかれさまです! これからも二キさんをよろしくお願いしますね~」
『二キ様にとっても癒されてます 430円』
『これからも応援するぜ 500円』
『無言で狩りまくるのかっけぇです 280円』
『ウォールブレイカーレプリカ、良かったです。ありがとう。 310円』
『大好きです♥ 10000円』
『初期から見てます。二キのおかげで前向きになれました。感謝です。 15000円』
「いつもスパチャありがとうございます……どうも……ガンブレードの購入も、本当にありがたいです」
最後の方にはいくつかスパチャが投げられて、配信を終了する。
ここ最近はいつもこの調子で、こんなに人からポンポンお金をもらっていいのだろうかと、逆にソワソワした。
☆
出入り口でドローンを回収しようとすると、朝日が慌てたように告げてきた。
「そ、そんなに熱心に、勉強しなくて大丈夫だよ」
「なにが?」
「配信者の、こと」
「そうなの? 情報は必要だよ。ユーマが教えてくれなかったら、エクストラ・モンスターのことを知らないままだった。最新の現場のこととか、ちゃんとリサーチすべきなんだ」
「う、うぅ……」
「どうしたの?」
(女性配信者とか、影山さんの話してるんだよ~! 月見 兎だけじゃないの~!)
影山はどうしても人気が出てしまうのだ。
容姿は文句なしのハイレベル。
話題のガンブレード販売の売れ行きなどから、経済面も圧倒的。
モテないわけがない。
「そ、そういうのも私がやるから! ね!」
「えっと……うん……?」
あまり納得していないが、朝日の勢いがすごいので、つい返事をしてしまう。
朝日は重いため息をついた。




