無限に狩れるのは気持ちいいゾイ!
『えぇ……』
『ニキさん、壊れちゃったですぅ……』
『バトルジャンキーに目覚めてて草』
『ニキ様……?』
その後の影山はタトゥー・バジリスク(仮)を2体倒しては罠を押し、倒しては押し、倒しては押し……と、延々繰り返した。
実際、効率は良い。
移動の手間もなく、ボタンを押すだけでモンスターが出てくるのだ。
しかし間髪入れずに、休みも入れずにソロで延々、トラップを押してモンスターを狩る配信映像は、中々に異様な光景であった。
一言も喋らず、表情も変えないのが、なおさら狂人っぽく見える。
あまりにも集中しすぎて――19時まで狩りが続いた。
おかげで、レベルアップは一気に二つ上昇した。
『――影山 光のLVが11へ上昇しました。HP+17 MP+8 攻撃+9 防御+10 魔力+9 精神+10 俊敏+14』
『――影山 光のLVが12へ上昇しました。HP+21 MP+10 攻撃+10 防御+11 魔力+10 精神+11 俊敏+15』
影山 光 LV10→12
HP 104→142
MP 43→61
攻撃 34→53
防御 42→63
魔力 35→54
精神 40→61
俊敏 88→117
「に、ニキさん! さすがにもう切り上げた方がいいかと!」
「はっ!?」
意識を取り戻した影山が、はっとする。
『夢中になりすぎ(笑)』
『ニキ、バトルジャンキーだったのかぁ』
『ちょっと狂気なニキ様も素敵♥』
『わりとちょっとどころではなかった気が……』
『レベル上がったね』
「そうですね……あ、また上昇値が少し上振れてます」
影山がステータス画面を見せながら言った。
『上昇値、全部二ケタは草』
『成長率バグってるだろ』
『ニキ、やっぱり人間じゃなかったのか……』
ユーマ『配信終わって、今来たんだが……なんで上昇値全部二ケタ……? なに俺、フォロワー数もステータスも新人に抜かれるの……?』
『ユーマやん』
『ドンマイ』
『ユーマ、今日は酒奢るわ』
以前助けてくれた、同じネオ・ファンタジア所属ならしい冒険者からコメントが投げられている。
そういえば、こういうことは初めてであった。
「ユーマさん、この前はありがとうございました」
ユーマ『それはいいんだが……新人が怖い……』
『へこんでて草』
『恐れてて草』
『ユーマも強いやんけ』
『まあ、ニキのポテンシャル高いからな』
『でも、ニキはちゃんと努力もしてるし』
『そういうとこ好感もてるよね』
『ニキさんはかっこいいし可愛いし強い人です♥』
ユーマ『人柄も良いのかよ。もう顔ぐらいしか勝ち目ねぇか……』
『え?』
『ん?』
『お?』
『むしろ一番勝てないところでは』
ユーマ『うっせ! ちくしょうが!』
『ていうかユーマ、あわよくばコラボしようとしてるの見え見えだぞ』
『露骨です』
ユーマ『別にいいだろ! 強制はしてねーし! ビックウェーブに乗りてぇだろ!』
『否定しないのね(笑)』
影山も少し笑いつつ、通路の方へ移動し、ウォールブレイカーを構えた。
「上の方に“点”が見えていたので、脱出します」
透視スキルを起動し、天井を破壊。
崩落を避けて通路奥で待機し、砂塵が薄れた瞬間――靴に魔力を流し込み、影山はふわりと浮かび上がった。
飛行。
軽やかに、迷いなく、一直線に地上へ。
ユーマ『飛行!? そんなS級素材、支給されねーぞ!』
『ブラックバードを狩ったからね』
ユーマ『っ!?!?!? あれって狩れるのか……?』
ユーマ『俺の5年間は……いったい……』
出口に着く頃には、ユーマの魂は半分抜けていた。
影山は、そんな彼らに向けて小さく頭を下げる。
「今日もありがとうございました。明日はもう少し普通にやります、多分」
その照れた笑顔に、チャットは一斉に沸き立った。




