罠を突破していく
朝日が送ってきた解析データを確認しながら、影山はマップを素早く把握していく。
この先は、赤い線が点々と浮かぶ土壁と土の天井が続き、細長いトンネル状の通路になっていた。
携帯をアイテムボックスにしまい、ウォールブレイカーを手に立ち上がる。
「では、行きます」
『復活はやっ!?』
『ニキ様、休んで~!』
(たしかに、ちょっと体は重いけど。問題はない)
『罠、大丈夫なん?』
「観測されているトラップは、すべて先ほどと同じタイプの触手です。問題ありません」
『お、おう……』
『むしろあんなのが続く方が絶望なんだが』
あの触手は、岩壁すら溶かす猛毒を持つ。
特殊装備とステータス補正があっても、まともに食らえば即アウトだ。
影山は無言のまま、スタスタと歩き出した。
その落ち着きに、コメント欄がざわつく。
そして――わずか十メートル進んだところで、壁から触手が二本、左右同時に飛び出した。
針を発射しようと、触手が仰け反った瞬間。
バァン! パンッ! と、触手が弾け飛んだ。
『は?』
『え?』
『今、魔力弾飛んだよな……?』
『もう撃ってたってこと!?』
画面には、透視スキルを発動し、目にも止まらぬ早撃ちで“点”を撃ち抜いた影山の姿が映っていた。
「早撃ちは、かなり練習しました」
『おおおおおお!』
『動き見えんかった』
『達人で草』
『ガンブレードで精密早撃ちってどういうこと……』
「……罠だからか、回避行動を取らないのが助かりますね」
『かっこよすぎる♥』
『さすがニキ』
影山は歩きながら、次々と罠を起動させ、同じように早撃ちで破壊していく。
事前に罠の位置を把握できているため、銃口を向ける方向も頭の中で組み立ててから対処できる。
「ニキさん、曲がった先は3本だよ」
「わかっている」
本数が増えても、影山の早撃ちは乱れない。
まるで達人がプレイする、シューティングゲームのような正確さだった。
だが、油断はできない。
安定しているとはいえ、失敗は即死に直結する。
『すっげ……』
『ニキもオペちゃんも強すぎる』
影山は隠されたダンジョンの通路を進み続ける。
朝日は再び“エリア・アナライザー”を起動し、解析を更新した。
「ニキさん、この直線は一気に走り抜けて、すぐ右の曲がり角に入った方がいいよ」
「了解」
警告された直線に差し掛かった瞬間――天井から7本の触手が一斉に生えた。
影山は迷わず走り抜ける。
高い俊敏で駆け抜ける速度は速く、上から降り注ぐ針は一つも当たらない。
右の曲がり角へ飛び込むと、触手は動きを止めた。
影山が通った土床は、じゅうううう、と音を立てて溶けていく。
『ひえええええ』
『ナイスぅ!』
『オペちゃんもナイス!』
『生きててよかった……』
「ふふん、私、すごいでしょ~。やっぱり天才だよね~。我ながら才能が怖いなぁ」
(朝日ちゃんは褒められるとすぐ調子に乗るところも推せますありがとうございます)
データを確認すると、しばらく罠のないエリアが続いていた。
だが、朝日の表情には緊張が走っている。
その指先は、わずかに震えていた。
「影山さん。この先をしばらく進むと――強力なモンスターの反応があります」
第二章のタイトルを「壁破壊二キと強欲な魔女」へ変更しました。
よろしくお願いします。




