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【透視チート】会社をクビになった俺、ダンジョン配信でバズって人生逆転する  作者: 音有五角
第一章「ダンジョン配信者、影山 光」

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初のコメントがつく

 スライムが消えた後には、ドロップアイテムとして掌サイズの丸い魔石が現れる。残念ながらスライムの魔石は1個100円しか値がつかないのだが、銭でも拾っていきたいところ。スキルでしっかりと回収しつつ、ふう、と息を吐いてその場に座り込んだ。


「疲れた……」


 心臓はまだドクドクと高鳴り、呼吸は乱れている。

 恐怖と楽しさと疲労が入り混じった興奮状態だ。

 正直なところ。スライムは初心者向けモンスターだと、甘くみていた。

 しかしきちんと気を引き締めないと、十分に危険な相手である。


(でもやってみると、案外、面白いもんだ)


 戦いへ意識を集中させ、生を実感するのは気持ち良い。

 社畜時代では感じられなかったことだ。

 脳から分泌されるアドレナリンがたまらない。

 全身へ気持ち良く、水のように染み渡っていた。


『初見です。はじめまして。見たところ初心者さんなのに、たった2回の斬撃でスライムを撃破。すごいです、初期ステの攻撃力が高いんですか?』


 スピーカーを内蔵したドローンが、コメントを無機質な音声で読み上げた。

 文面から察するに、AIではなく人間の視聴者のようだ。

 収納スキルでアイテムボックスに入れた携帯を取り出す。

 アプリを確認。接続数は“2”となっていた。

 増えている。信じられない。影山は驚いた。


「攻撃力は1です」


 すぐさま『え?』と返ってきた。


『かなり低い攻撃力なのに、短時間でスライムを撃破したということですか!?』


「……そう、なりますね」


 あれは短時間だったのだろうかと、影山は疑問であった。

 本人としては、しっかり手間がかかった気分だ。


『私の初心者時代の話いいですか』


「……どうぞ」


『3人でスライム狩ってました。あいつらって初心者向けなのに、耐久が高いです。何回も、何回も殴らないと、倒せなかった。攻撃力1のソロなら、もっと時間と手間がかかるはずですよ!』


「そうなんですか」


『しかもスライムって、HPが低くなると逃げ出すんですよ。油断すると全てが無駄になるので、苦労しました。それをソロであっさりはありえない。強力なスキルでもあるんですか?』


(この人、コメント打つの早いなぁ)


 タイピングが普通ぐらいの影山は、そんなことをぼんやり思った。


「スキルを使ったら、刃が入りましたね」


『なるほど。なんのスキルですか?』


「透視っていう、ユニークスキルです。敵の脆い部分が見えます」


 しばらくの間、コメントが無言で静まる。


『モンスターによっては弱い部位とか、弱点はあります。ですが、脆い部分なんて初めて聞きましたし、少なくともスライムにはなにもないはず』


「え。でも、そういうスキルなので……」


『信じがたい。でも、スライムを早く倒したのは事実ですもんね。フォローします。この強さのカラクリが気になります』


 どうやら“脆い部分”なんてものは、本来の戦いには存在しないようだ。

 しかしなんとなく、事前情報でそんな気はしていた。

 協会のアプリでモンスターのデータを見ることができる。一部モンスターに欠点の部位はあっても、“脆い部分”という記載はどこにもなかったのだ。


(本来は存在しないものが見え、なおかつ効果がある。あの“線”はスキルが作り出した、弱点付与ということか?)


 そして影山の攻撃力は最弱の1。でも、線に当てれば耐久力の高いスライムを短時間で倒せた。

 ステータスの低さをカバーできるのだ。

 期待できるスキルなのかもしれない。


(探索者、面白いかも。少なくとも、前の仕事よりはワクワクする)


 まだ始めたばかりなので、断言はできない。だが、初戦闘の興奮と、透視スキルへの大きな期待が今後のモチベーションにつながっていった。


「勉強になります……」


『いえいえ。配信、見させてもらいます。ちなみに、録画って大丈夫でしょうか?』


「えっと、ご自由に」


(なぜ録画……? 男1人の地味な絵面なのに)


 影山は疑問であったが、ナイフをにぎり、よいしょと立ち上がる。

 スライムを狩るべく、移動開始だ。

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