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髪を切りにいこう

 コメントの指摘が気になったので、髪を短くしようと考えた。

 ただ1つ、気になることがある。

 ダンジョンに潜り初めてから、体に変化があったのだ。


(レベルアップで稀に容姿が整うらしいけど、俺がそうなるとは……身長も少し伸びたし……)


 原型はあるものの、新しい顔・容姿はどうにも恥ずかしかった。

 短くするのは、少し勇気がいる。

 商業施設の中にある、近所の床屋へ行った。

 1000円カットのお店だ。

 店内はガラガラで、待ち時間なしで席に座ることができた。

 店員は若い女の子だ。黒髪ショートカットで、活発そうである。


「今日はどうなさいますか?」


「短めで……」(ボソボソ)


 陰キャな影山は、床屋が苦手だ。

 店員が髪を切っていく。

 徐々に明らかになる影山の顔に――店員は、頬を赤らめて手を止めた。


(どうしたのだろうか……)


「はっ!? す、すいません」


 そして店員は、やたらと質問をするようになった。


「お仕事はなにされてるんですか?」


「今は探索者です……」


「趣味はなんですか?」


「配信を見ることです……」


「私も配信者さん好きですよ~。どんな動画見るんですか?」


(あさひちゃんのことを言うのは、なんか恥ずかしいな……)


「えっと……色々……」


 人見知りを発動する。

 影山はあまりしゃべらないタイプの店員の方が好きだ。

 そしてカットが終わり、店員さんの「お疲れ様でした。また来てくださ~い」という声を受けながら、お店を後にする。


(疲れたな)


 陰キャにとって、美容院は少し疲れる場所だ。

 学生の頃は1人で知らないところに入れなかったり、お店の店員に声をかけられなかった、というレベルだったので、これでも成長した方であった。





 配信4日目。慣れた様子で、影山はいつも通りダンジョン配信を開始した。開幕のあいさつはないが、オープニングからコメントがものすごい勢いで流れる。


『ごめん。誰?』


『どちら様?』


『イケメンで草』


「髪をバッサリ切りました」


『こんな顔してたんか』


『女性視聴者増えそう』


『絶対切った方がええんやんけ』


「いや、違うんです……レベル上がったら、顔と体が少し変わったんですよ」


『最初の方は、レベルで見た目変わるらしいね』


『個人差あるし、変わる人はかなり珍しいんだけどな』


『壁破壊ニキは変わるタイプなのね』


『いいなぁ』


『知り合いが何人か探索者はじめたけど、全員フツメンのままだった』


『俺もイケメンになりたい』


(恥ずかしいな)


 影山は逆に恥ずかしかった。

 彼は目立つのが苦手だ。


「それじゃ、進みます」


 練習中のガンブレードを手に取り、歩みを進めた。

 目指すは、隠し通路だ。


『イケメン化で忘れてたけど、昨日はお手柄でしたね!』


『さすがです』


『DQNを素手で無力化した動画、出回っているよ』


「……え?」

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