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【透視チート】会社をクビになった俺、ダンジョン配信でバズって人生逆転する  作者: 音有五角
第一章「ダンジョン配信者、影山 光」

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その陰キャ、職員を守りヒーローになる

 3体のブラックドックとの対峙は、戦いの練習として良い刺激となった。

 戦いの視野を広げ、多くの思考を重ね、1体1体処理をしていく。

 3体に襲われるのはやはり脅威(きょうい)だが、力まず、冷静に立ち振るまえばそこまで苦戦しなかった。

 ガンブレードでの、透視スキルの精度は斬撃ならば7、8割程度の確率で当てられる。

 毎回急所とまではいかないが、その場合は柔軟(じゅうなん)に他の部位を狙ったりしていた。

 射撃に関してはまだ自信がないので、集団戦では使用頻度は少ない。

 透視スキルではなく、牽制(けんせい)や間合いをとられた時に撃っている程度だ。

 だが、全体としては非常に調子が良い。


『サクサク敵倒せるな……』


『魔物は硬いから、もうちょっとグダるはずなんだけどね……』


『普通は前衛がひきつけて、後衛が魔法ぶち込むからね』


『やっぱり面白い!』


『爽快感あるなぁ』


『敵がモブキャラのようだ……』


「ふう。なんか、目が疲れます……」


『大丈夫?』


『まあ、戦い方的にそうなっちゃうだろうね』


 透視スキルの影響なのか、“線”と“点”を注視するからか……原因ははっきりとわからないが、目がものすごく疲れた。デスクワークの後のようだ。

 夕方の5時を迎え、影山はダンジョンの出口へと向かった。

 そして配信アプリを切ろうと携帯を取り出す。


「今日はここまでにします」


『おつ』


『またね』


『次回も楽しみにしてます!』


 最終的に、接続数は4230となっていた。

 回を重ねるごとに増えている。


(うーん。不思議だ……)


 影山の好きなあさひチャンネルは同接30、40ぐらいだ。

 完全に過疎配信である。

 彼にとっては、この差が不思議でしょうがない。





「はああああっ!? なんであーしらが免許停止なわけ?」


 受付でトラブルが発生し、揉めている。

 誰かと思えばあの時の、迷惑系配信者4人組であった。さすがにトランクス男は、服を着ている。

 対応しているのは影山も会ったことがある、あの(ひげ)のイケオジだ。


「以前にも迷惑行為に対して、警告をしました。それにも関わず、また迷惑行為をし、さらには他の探索者を危険な目にあわせた」


「あーしらは配信邪魔されたんだけど! 獲物の横取りされたのはこっち!」


「いいえ。映像の解析から、あなた達のパーティーの迷惑行為と判断しました。納得がいかないようでしたら、裁判で争いますか?」


「……」


 裁判という言葉に、怯んだかに見えた。

 しかし実際は、そうではない。

 ギャルは腕を組み、後ろの3人組へ目くばせ。

 瞬間、3人組の男達はアイテムボックスから――剣、槍、ガントレットと各々の武器を取り出し、それを机へ向けて振り下ろした。

 ずどおおおおおんっ!!! という音と共に、受付の机が歪む。

 辺りに戦慄(せんりつ)が走った。


「きゃああああ!」


「な、なんだ!?」


「探索者が暴れだしたぞ!」


 職員達は慌てふためき、パニック状態へ。

 危険な状況。イケオジも腰を抜かし、尻もちをついた。

 職員達は一応ステータス持ちだが、基本的にはダンジョンへ潜ったことがない者達で構成されている。

 よって、武器も持っていない。 

 戦闘経験もほぼゼロだ。


「ひゃっはー!」


「オラオラぁ、調子に乗ってんじゃねーぞ! こっちのバックには〇〇組がいんだよ!」


「わからせてやるぜぇ!」


「パクられるぐらいでビビるタマじゃねーんだよ!」


「まずはテメーからだ、オッサン! 歩けねぇ体にしてやるぜ!」


 男達が下品に中指を立てながら、受付の中へ乗り込もうとする。


(短絡的すぎるだろ……)


 DQNの罪はどんどん重くなっていく。

 もう人生は詰んだだろう。

 しかし興奮のあまり、人を殺しかねない勢い。

 ケガ人――否。最悪は、死者が出てしまう。


(職員達を守らないと!)


 葛藤もなしに、影山はすぐに動いた。

 走りつつ、透視スキルを起動。青く光った瞳で、3人の“点”を見た。

 大ダメージ付与は避ける。殺さず、生け捕りが理想だ。


 【後頭部】 全身をコントロールする司令塔。スタン付与。


(よし。無力化できる、これを狙おう)


 運が良いことに、影山との位置関係的にも、彼らはちょうど背中を向けている。

 高い俊敏を活かし、3人へ近づく。正確な動きで、1人ずつ後頭部へチョップした。

 力はそんなに入っていない攻撃。

 だが、その効果は絶大であった。


「がはっ!?」


「ぐふっ!?」


 どすん、と直接脳を掴み、揺さぶられるような衝撃。

 3人共、その場でがっくりと膝を崩した。

 両手の感覚も薄くなり、金属音を立てながら武器を床へ落とす。

 一瞬にして、戦闘不能だ。


「てんめっ、あの時の陰キャ……!」


「俺達になにしやがった! う、うごけねぇ」


「なにが起きているんだよ、これ!?」


 ギャルがポカンと口をあける。あまりに早い展開に、ついていけていない。

 影山がじっと睨む。するとようやく危機を察知し、両手を上げた。

 本当は小心者なのか、それとも仲間がいないとなんにも出来ないタイプなのか、その体はカタカタと震えている。


「ヤバ……こ、こーさん、します」


「少しでも動いたら、彼らと同じことをします。一歩も動かないでください」


「は、はい。す、すいません」


 ギャルは涙声だ。そして実際にしくしくと、涙を流し始める。


「で、でも、あーし、武器出してないから。こ、ここまでするつもりは、あーしはなかったし。ご、ごめんなさい」


(泣けば許してもらえると思ってそうだな……)


 実際、そうなのだろう。見た目は可愛らしいのだから。

 影山は無視して、職員へ向き直る。


「彼らはしばらく動けないので、安心してください……」(ボソボソ)


 小さな声。だが、関係ない。職員には影山がヒーローに見えた。

 なにせ一瞬にして、騒動(そうどう)鎮圧(ちんあつ)させたのだ。

 おお、やった、ありがとう、と様々な歓声が上がる。

 影山は、腰が抜けたイケオジに手を伸ばした。

 イケオジはその手を取り、震える足で立ち上がる。


「助かりました。本当に、助かりました」


「いえ」


(なんとかなってよかった……)


 影山はふう、とため息をついた。

 職員達も「ありがとうございます!」と改めて礼を言ってくれる。

 すごい量の感謝だ。胸が大きく高鳴る。


(お、俺がみんなを助けたんだよな……危険なのに。こんな思い切ったこと、出来るようになったのか)


 自分でも驚きの行動だ。

 そしてイケオジは怒った様子で、動けなくなった男3人と、降参するギャルを睨む。


「君達は警察へ突き出す! 業界に二度と戻れると思うな!」


 その怒声に、四人は何も言えず、ただ頭を垂れた。

 業界というか、二度と社会へ戻ってほしくない人種だ。





 探索者速報掲示板


 50 名前:名無しさん

 【速報】壁破壊二キ、暴れたDQNを素手で無力化【お手柄】


 こいつ強すぎるだろ。本当にレベル3で、ステータス平均以下か?


 〇〇〇.WP7


 51:名無しさん

 これ支部の監視カメラ映像じゃね? なんで流出してんの?


 52:名無しさん

 職員のリークだろ


 53:名無しさん

 DQNざまぁ。刑務所行ってこい


 54:名無しさん

 武器を出してなかったからとはいえ、ギャル逃れてんの腹立つ

 絶対この女、捕まってから「あたしは止めようとした」とか言うだろ


 55:名無しさん

 >>54

 めっちゃ泣きながら言ってそう。想像つく。


 56:名無しさん

 >>54

 カメラに対して背を向けているから推測だけど、手上げている時、泣いていると思う。


 57:名無しさん

 女だから泣けば許してもらえる、って思ってそう


 58:名無しさん

 >>57

 こいつら他にも迷惑行為しているから、ギャルはそっち方面で詰めていこう

 配信だとこいつ主導なんだよね


 59:名無しさん

 許せない。協会は全力でこいつらを訴えていこう


 60:名無しさん

 デバフ付与できるようになったから、無力化も余裕


 61:名無しさん

 お見事。ファンになったわ


 62:名無しさん

 壁破壊ニキ、ヒーローすぎる


 63:名無しさん

 職員めっちゃ感謝してるだろうな


 64:名無しさん

 次の配信も楽しみ

本作の閲覧ありがとうございます。


もし内容がよろしければ、★★★★★評価・ブックマークをいただけると、とても助かります。


何卒、よろしくお願いします!

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こんにちは。 正しいことを即座に実行…カッコいいぜ影山くん!
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