未練と相談
16時頃。
影山は朝からみっちりと自己鍛錬をこなした後、家で切り抜き動画を見ていた。
素早い編集によって、さっそく昨日の配信の切り抜きがアップロードされている。
マモルもリディアも、病院で検査を受けて異常はなかったので、心置きなく休日を満喫できた。
「うむ……ここの朝日ちゃんがかわゆい。しゅきしゅき。だいしゅき~~~」
と、推しに大歓喜していると、携帯が鳴る。
パーティーのグループチャットだ。
ユーマ『休み中悪いな。ちと相談したいことがあるんだが、みんな時間とれるか?』
(え……なんだろうか)
ユーマがこんな改まるなど、珍しい。
なにか深刻な話なのかもしれな――。
リディア『大丈夫だよ〜〜〜(*^_^*)』
「どちらさまですか?」
思わず声が出た。
しかもものすごい即レスである。
ユーマ『お、返信はえーな。つーか、リディアちゃん、ごめんな』
リディア『なにが〜〜〜???』
ユーマ『切り抜きだよ。その、彼氏とかいたりするか? いたら、謝らないといけねーなって』
(うむ……)
既読が4ついている。
しかし影山もマモルも、文字を打たない。
リディア『いないし、大丈夫★』
ユーマ『そっか。なら良いんだけどよ。てか、キャラちがくね?』
リディア『既読4つついてる〜』
ユーマ『なに!? おいお前ら、見てるならなんでスルーしてんだよ! 俺とリディアちゃんが会話してるだけじゃねーか!』
マモル『それで構わないが』
ニキ『こんにちは』
ユーマ『まあ、いいや。いけんなら、ちょっと集合できるか。色々と報告しねーとだからな』
(なんか怖いな……)
脳裏をよぎるのは、ミカに関する炎上であった。
ニキ『悪い話?』
ユーマ『まあ、明るい話ではねーかな。ミカに関することだ。配信でも触れてねーし、お前らにも相談してなかったからさ』
ユーマ『ただ、もう仲間同士で、勝手に動くわけにはいかないだろ?』
リディア『話聞くよ!』
ユーマ『サンキューな。みんな、いけそうか? 急でわりーけど』
ニキ『おk』
マモル『かまわないよ』
ユーマ『じゃあ、グループ通話できるか』
4人は各々の部屋で、パソコンのグループ通話へ切り替える。
ユーマが最初に喋りだした。
「えっと、ミカ関連のことが、俺の手に負えなくてよ……」
「大前提として、まだ連絡はとりあっている、という認識であっているのかな?」
マモルの問いかけに、ユーマは困った表情を浮かべる。
「うぐ……そうだ」
「どうして、ですか」
リディアの問いかけに、ユーマは答える。
「ずっと、あいつの子供が気になってたんだ。NTRで出来た子供だの、顔も晒されちまってよ……なんか、出来ねーかなって」
「ネオファンは動かせないだろうか。今起きてる誹謗中傷や、殺害予告には対応できる」
影山が言うと、ユーマはこくりと頷いた。
「ちょうど、橘さんから連絡が来たんだ。所属の探索者も関係者だから、対応しますよって。それで、橘さんに後のことは頼んだ。で、そういう話から、お前らに報告だ」
沈黙が降りる。
影山の脳裏には、飲み会の時のユーマがよぎる。
正直、不安定な精神状態なのだと、心配があった。
あの時いなかったが、ユーマをよく見ているリディアはそれを感じとっているのか、なにか言いたそうだ。
しかし言いづらいだろう。
影山は深呼吸をした。
今後一緒に、仲間としてやっていくのなら。
ユーマは一つ、過去を乗り越えなければいけない。
「ユーマ」
「なんだ、ニキ」
「ミカと、その子供。そして君を見捨てた元パーティー。彼らに、未練はないか」




