スキルストーン
『やったー!』
『ナイス!』
『8888888』
『アトラクションみたいなボスだったな』
『かなり厄介だったね』
『ニキ様、お疲れ♥』
『おじさんピカピカすごかったー』
『ネオファンキング! ネオファンキング! 700円』
『ネオファンキング! ネオファンキング! 500円』
『ネオファンキング! ネオファンキング! 3000円』
ユーマはドローンへ向かって剣を上げた。
「うぇえええええい! 俺が頂点とる男、ネオファンキングだ! よろしく!」
『ネオファンキング! ネオファンキング!』
『昔のノリみたいw』
『なっつ』
『ユーマやってたなぁ、キングコール』
『Cランク突破ごときで慢心するな。トップを名乗るならAランクからだ』
『↑水差すなよ、お前。空気読め』
『ただのCランクじゃないんだよなぁ』
影山は少し引いていた。
(俺には無理なファンサだな……)
『リディアにゃんお疲れ!』
『がんばってたにゃ!』
『今回は当たらなかったけど、エイム上手だったニャ 3000円』
「……スパチャでイジられている……にゃあ♪」
リディアが顔を赤くしながらも、ボソボソ呟き、猫のポーズをとる。
影山はちゃんとその瞬間を見逃さなかった。
(意外とノリノリなのでは……)
朝日の操作で、影山の元にドローンが近づく。
「えっと、ニキさんもなにか言う? コメント欄、賑やかだよ?」
『おなしゃす』
『オペちゃんナイスパス』
『朝日ちゃんもお疲れ様です』
『今回大変でしたね』
「ありがとうございます! ニキさんをこれからもサポートします!」
『ニキ様可愛い♥ 大好き♥ 8000円』
『ニキのファンサに期待 500円』
『無理しなくてええんやで、そういうの苦手なんだから』
影山はじー、とドローンを見た。
「これからも、いっぱい破壊します」(ボソボソ)
『おいw』
『壁の話だよね?w』
『ボソッと破壊宣言すなw』
『テロリストかな?』
「こういうの苦手です」
「ご、ごめんね、迷惑だったよね」
朝日が謝り、影山は少し慌てた。
「いや、怒ってないよ。朝日ちゃんはなにも悪くない。ただ、苦手だって、伝えただけ」
「あっ。それならよかった」
『ニキらしくてええよ』
『むしろこのキャラが好きなんだよなぁ』
『静かなのがよき』
『ユーマの視聴者とは、みんな違うからね』
『一説によると似た性格の視聴者が集まると言うしね』
『ウインクはタブーだが、ファンサはねだられるよ』
『みんなニキが好きだからね』
「そうですか」
改めてそう言われると、照れた。
コメント欄とはいえ、嬉しい気分になる。
「キラキラな若人達、宝箱が落ちているぞ」
と、年長者のマモルが落ち着いた様子で、そんなことを教えてくれた。
サボテンが消えた場所には、宝箱が落ちている。
隠し通路を1つ突破した報酬に違いない。
まずはオペレーターに解析してもらい、呪いの類がないか確認。
「ニキさん、危ない魔力は検知されなかったよ。中身も問題ないと思う」
「じゃあ、開けよう」
宝箱を影山が開ける。
瞬間――中から、六角柱の形をした虹色の石がふわりと浮かび上がってきた。
「なんだ?」
ユーマが首を傾げる。
虹色の石は強い光を放った瞬間、砕けて蒸発するように消えていった。
そして4人の脳内へ、システム音が鳴り響く。
それは新たなスキルが、1つ付与されたという通知であった。
マモル→HP自動回復
5秒に1回、HPを自動で10%回復する。
リディア→MP自動回復
5秒に1回、MPを自動で10%回復する。
影山→状態異常耐性 LV9
あらゆる状態異常に対して耐性を得る。
『スキルストーン!?』
『ランダムでスキルが追加される激レアアイテムやんけ』
『市場に出れば、1個ウン千万すると言われるスキルストーンか』
『いやいや、スキルストーンは銀色では?』
『しかも勝手に使用されたんたが』
『てか、対象は1人だけのはず』
『パーティー全員へ付与されるスキルストーンってことか』
『豪華』
『自動使用だから、売れないのか……』
『対象人数によっては、とんでもない値段になるぞ』
「スキル追加……良いですね」
影山は純粋に喜ぶも、ユーマはなぜか微妙そうな表情であった。
「みんな良さそうなスキル引けてるな……」
「ユーマくんはなんのスキルだったんだ?」
マモルの問いかけに、ユーマは肩をすくめた。
ユーマ→幸運 EX
運に恵まれることがある。
「多分、ハズレだな。運なんて、大体のRPGでは微妙な扱いだぜ」
『探索者的には微妙か』
『レアスキルだけどガチでハズレです』
『幸運ほしい』
『じゃあ俺にくれ』
『高額スキルストーンで渋スキル引くのはあるある』
『幸運でパチンコ当ててやる』
『ワンチャン大当たりではない?』
『持ってる配信者いるけど、効果を実感したことがほぼない』
『女運良くなるね』
『女運悪かったからええやん』
「うっせーぞ、お前ら」
と、ユーマがコメント欄とじゃれ合っている時であった。
ゴゴゴゴゴゴゴ、とダンジョンが揺れた。
「地震?」
影山がそう言った後、朝日が焦った声を上げる。
「た、大変です! ダンジョン内の魔力回路が、急激に変化! 広範囲に渡ってフロア、通路のトゲがトラップ化します!」




