おじさんって年じゃない……
「おっす~。今日もやっていくぜ」
ユーマの緩いあいさつと共に、配信が開始される。
だが、ユーマは進む前に軽いトークを展開した。
「今日はリディアちゃんからみんなへ向けて、重大発表があるっ」
「ん……?」
なにも知らないマモルが首を傾げる。
影山は会話が聞こえていたので、大体察した。
『なになに』
『なんでユーマの後ろに隠れてるの』
視聴者から注目が集まった。
ユーマが横移動し、背後にいるリディアが映る。
「ほいどうぞ、リディアちゃん。かましてやれ」
「――リディアです。今日もダンジョン配信を始める、ニャン♪」
事前に打ち合わせしたのか、わざわざウインクをして、両手で猫のポーズ。
影山とマモルは沈黙。
コメント欄は勢いよく流れた。
『可愛い』
『あら可愛い』
『どうした急に』
『顔真っ赤だが』
『まーたユーマが変なこと吹き込んでいるよ……』
『急なキャラ変は違和感しかない』
『キャラ崩壊やめて』
『ユーマのせいだろ』
『ユーマの趣味だろ』
『ユーマ最低』
『ユーマ謝ろう』
『こら、ユーマ!』
「俺じゃねぇよ!? いや俺だけど、元はお前らだっての! コメント欄が地味だのなんだのって言うから、こいつ気にしてんだよ!」
『そういうことか』
『無理せんでもろて』
『リディアちゃんのままでええんやで』
『まあ、ニキとユーマと比べられるのはキツいよね……』
『クールなリディアが可愛いよ』
『やりたいようにやればいいのさ』
「……ほら、こんなもんだよ。こいつら適当だから、気にすんな」
ユーマが肩をすくめる。
どうやら、最初からこういう風な感じで、話をもっていくつもりだったようだ。
ベテランなので、なんとなくコメント欄がどう動くのか、わかるのだろう。
「あ……はい。ありがとう、ございます」
ユーマへ向けて、安心した笑顔を向ける。
乙女全開の表情で、耳まで真っ赤だ。
瞳はうるうると潤んでいる。
『メスの顔……』
『ユーマめ。罪な男』
『ニキ様、しゃべって~』
『カメラから遠いよ、ニキ様~><』
「え? ああ……」
トークになると、3人から少し離れ気味になる影山であった。
『今日もイケメン♥』
『ニキ人気エグいな』
『無言でもコメントを湧かす男』
『女性ファンさらに増えたよな』
『女イラネ』
『夏休み入ったし、学生も多そう』
『ニキ、増々伸びるな……民度が心配になる』
『おじさんかっこいい~。またあそぼ~』
『いや草』
『おじさん呼び(笑)』
『また遊ぼうってなんだよw』
壁破壊ニキのドローンの音声機能でたまたま聞こえたので、影山は携帯を確認した。
「27歳ですが……」
『若いなぁ』
『おじさんはおじさんだよ?』
『wwwww』
『文体的にキッズっぽいし、そんなもんじゃん?』
『まあ、子供から見ればおじさんかも』
『おにいさんって呼びなさい』
『失礼だよ』
『おじさんだも~ん』
『頑なで草』
『なんかおもろいな』
『てか、キッズってダンジョン配信見ていいのか?』
『親に委ねられてる。まあ、賛否両論だね』
『悪影響だと思う。成人以外は視聴制限かけるべし』
『いや、それを言い出したらネット自体が……』
と、壁破壊ニキのコメント欄は未成年がダンジョン配信を見るのが悪影響か、否かの論争に火がつく。
ユーマはパン、と手を叩いた。
「おし、じゃあ視聴者とのトークはここまでだ。今日もガンガンいくぜ!」
音有 五角です。
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