Cランクダンジョンの洗礼
遺跡型ダンジョンのマップは複雑な構造となっている。
そのため、オペレーターによるサポートが必須だ。
地図がないと、あっという間に迷子になる。
「ニキさん。左の曲がり角を進んだ先に、3体の反応あるから、気をつけて」
「左……?」
曲がり角は右である。
影山は左の壁をガン見した。
「み、右っ。間違えた!」
「はい」
(ありがとうございます。そしてこれからも間違えてください)
『いつも通りで草』
『オペちゃん基本優秀だけど、たまにこうなるよね(笑)』
『壁破壊ニキが戻ってきたぜ』
『左の壁ガン見して煽ってて草』
『致命的なことはすんなよ』
『ニキの命預かってんだからしっかり』
辛辣なコメントも流れる。
正論といえば正論だ。
「うぅ……すいません……」
(しょんぼりする推しも尊いし可愛さ爆発)
謝る朝日に影山は癒されつつ、通路を進む。
そして現れたのは、2体の盾・槍持ちのリザードマン。
その後ろには、弓を持ったリザードマンがいた。
弓を持ったリザードマンはどことなく丸っこくて、目つきが柔らかく、やや女性的な見た目をしている。
メスなのかもしれない。
「グルっ!」
リザードマンが素早く矢を放つ。
影山はそれを横に飛んで回避しつつ、リザードマンへ距離を詰める。
盾・槍持ちのリザードマンも前へ出るも、影山はハイパーブーストと透視を起動し、素早く盾を砕く。
「「グルルルルっ!!!」」
2体共怒ったかのような声を上げ、槍を両手で持ち、積極的に攻撃をしかけてくる。
透視スキルが時間を迎える。
影山は後ろへ下がり、回避に専念した。
(クールタイムまで回避に専念するか……それとも、ショットガンも使って攻撃もしていくか)
迷っていた、その時である。
リザードマンの矢が影山の右足に命中した。
ぐさり、と骨に金属が当たるかのような、鋭い激痛が走る。
「うぐっ!?」
驚くべきことに、連携して矢を当てに来ていた。
リザードマンが急にしゃがんだと思ったら、そこから矢が飛んできたのだ。
ギリギリまで攻撃が見えなかったので、判断が遅れた。
前衛に集中して、後衛への注意力が散漫になっていたのも原因だろう。
そして被弾した隙を逃さず、槍持ちのリザードマンが武器を突き出す。
MP消費がまずいが、影山は再びハイパーブーストを起動し、後ろへ勢いよく下がった。
槍の先が眉間の前までよぎる。
間一髪で回避し、大きく距離をとる。
『ヤバい』
『ニキ様、危ないヤダ><』
『3体はキツいか』
『さすがリザードマン。動きが上手い』
『矢の軌道上にいたのに、しゃがんでかわすとかマジかよ』
「に、ニキさん! 足が……!」
朝日も思わず、声を上げる。
影山はスモークマガジンへと切り替え、地面に向かって撃つ。
白煙が瞬く間に広がり、視界が白くなった。
リザードマン達が困惑して辺りをキョロキョロする。
隙だらけではあるが、影山の右足には矢が突き刺さったまま。
(うっ……まだ戦いたいけど、死ぬわけにはいかない)
ここは冷静になり、影山は戦場から下がっていく。
壁破壊ニキチャンネル初の、逃亡となった。




