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【透視チート】会社をクビになった俺、ダンジョン配信でバズって人生逆転する  作者: 音有五角
第三章「新パーティー結成」

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男達の飲み会 前編

 夜。華金で賑わう駅近の街中を、影山は歩いていた。

 実はユーマに、金色の狼を倒した打ち上げをしようと誘われていたのだ。


(ためらいなく、すぐに飲みに誘うなんて……俺とは違う人種だ……)


 そんなことを思ったが、嫌じゃなかったので、了承して今日その会場へ向かうことになっている。

 6階建てのビル。その2階のテナントで開かれているお店であった。赤い暖簾の下がる引き戸を開けると、若い男性の店員が元気な声で「いらっしゃいませー! 何名様ですか?」と接客してくる。


「下澤さんの予約です」


「わかりました! ご案内しますね!」


 ユーマの本名は“下澤 優馬”と言うらしい。

 個室型の飲み屋なので、影山は店員に4名用のテーブル席へと案内された。

 黒い引き戸をあけると、ユーマとマモルの2人が対面で座っていた。


「よう!」


「どうも」


 ユーマのあいさつに軽く答え、彼の隣に座った。

 そして対面のマモルが、あいさつをした。


「はじめまして、マモルだ。打ち上げにお邪魔して、申し訳ないな」


「いえ……よろしくお願いします……」


 ユーマとマモルはビールを頼み、影山は酒を飲めないのでウーロン茶を頼む。

 そして食事は豚しゃぶ鍋を注文した。薄切りの豚肉、白菜や水菜、長ねぎといった野菜ときのこ、豆腐を乗せた器と、だしの効いた湯が沸騰する鍋が運ばれてくる。

 湯気に乗った昆布だしの上品な香りを感じながら、ユーマはジョッキを上げた。


「うし! マモル先生とのコラボ、金色の狼討伐とか、色々含めてお疲れ様ってことで、かんぱーい!」


「乾杯……」


「乾杯」


 影山はさっそく、箸で豚肉と白菜を入れた。湯につけて熱をじっくりと通し、肉から赤みが消えて白と灰色へ変わっていく。

 豚肉と白菜をポン酢の入った器の中へと半分ほど入れて、味をしっかりと染みこませた後、口の中へと運んだ。

 じゅわり、と肉汁の旨味とポン酢の鋭い酸味が広がっていく。噛むとシャキシャキと白菜が鳴って、肉と共にその美味しさを高め合った。

 美味い。影山はすぐさま、次の肉と野菜を投入した。

 そしてその間、マモルとユーマはくびくびビールを飲んでいる。

 ユーマはかー、と喉を鳴らした。


「休み前の華金に飲むビール! 美味いぜ!」


「俺達の仕事、曜日関係ないのでは……」


「うっせ、ニキ。こういうのは気分が大事なんだ」


「そうか」


「俺さ、社会人ってやったことねーんだよ。だから、ニキみてーな元社員ってのは、ちと憧れるんだよな」


「そんなキラキラしたものではないが……」


 つい、言ってしまう。

 社員といってもピンキリだ。キラキラしている人もいる。

 しかし影山はクソ会社の社畜だったので、本人としてはドロドロ時代だったのだ。

 だが、ユーマは肩をすくめた。


「探索者……つまり、配信者しかやったことねーからよ。ほら、そういうやつって、なんか常識ねー発言とかして、炎上したりするだろ?」


「そうなのか」


「そうだよ。で、実際、社会常識ねーかもって思うことは、自分でもあってさ。常識あるやつって羨ましいんだよ。まあ、ないものねだりなんだけどよ」


 うむ、と黙って話しを聞いていたマモルが小さくうなる。


「たしかに。2年間も休むのは、サラリーマンじゃありえない話だな」


「ぐほっ!? ぐ、ぐぅ……思い出しちまう……“クソザコメンタル”“NTRにしてもダメージでかすぎて草”とかネタにされていたことを……! ちくしょう! どうせクソザコメンタルだよ! あいつが子供の写真とかSNSに上げているの見て、まだ気にしてるレベルだよ! ビールおかわり!」


 店員を呼んで、早くも2杯目に手をつける。

 なんだか、しれっとすごいことを言っていた気がした。


(そんなに引きずるものなのか……)


 影山はなんともいえない気持ちになった。

 ユーマの元彼女は探索者を引退したが、今もSNSなどで発信を続けている。

 当然、波紋を呼んでおりコメント欄は荒れ気味だ。


『例の件がよぎるなぁ』


『子供が可哀想』


『せめて表舞台からは引退するべきでは』


『なぜ、SNSに上げる。金になるからって、モラルゼロかよ』


『あの時のカー○ックスで出来た子かな?』


『そのスクープ写真はフェイクだっての』


『お幸せに! 肌綺麗で素敵なママさんです!』


『可愛い! そして素敵な旦那さん! いつまでも、お2人を推し続けます!』


『例の件をいつまでも持ち出して、今も叩かれ続けているの、かわいそう……。2人は反省しているのに! ストレス溜まっている人が多いのかな? 私は応援してます!』


『こんなゴミでもファンがいる事実』


『この女アパレルブランドとか立ち上げてるんだっけ』


『粗大ごみ女の商品を買うなよ。わけわからん。企業も群がるな』


『さらに言うと数字獲れるからって、大手雑誌の専属モデルとして起用されてる』


『ファンのコメ欄バカばっかで地獄やん』


『ごめん。マジでこんなやつのどこがいいの?』


『NTRした旦那もしれっとユーマの元パーティーで活動してんの腹立つ』


『結婚してたわけじゃないんだからええやんってファンの過去コメ、マジうぜぇ』


『元パーティーメンバーも受け入れてんじゃねぇよ。ユーマの気持ち考えろ』


『ネオファンは2人を専属契約解除したのにね。NTR旦那をパーティー入れたら意味ないやん』


『この女、新しく買った高級車の写真上げてたね』


『はぁ……なんでこんなやつが稼げる世の中なの?』


『叩かれて当然なのになぁ……』


『インフルエンサーって、非常識なやつばっか』


『日本終わったわ』


 ユーマの元カノ、そしてNTRした男は“炎上系インフルエンサー””炎上系探索者”として話題を呼んでいた。

 昨今の有名人らしいといえば、らしい稼ぎ方をしている。

 まともじゃない奴が金持ちというのは、よくある話だ。

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