これって、デートみたいじゃないか?
休日の朝、クッカが少し困ったような顔で話しかけてきた。
「ご主人様、あの……フライパンのテフロン加工が、そろそろ限界でして……。」
「あー、そうか……。」
確かに最近、ちょっと焦げ付きやすかった気がする。
「じゃあ、買いに行くか。」
自然とそう答えて、財布をポケットに突っ込む。
それから数十分後、気づけば──
俺は街のショッピングモールで、女の子たちに囲まれて歩いていた。
⸻
「わぁ、すごいですね……!」
カジュアルなワンピース姿のネムが、嬉しそうに雑貨屋のウィンドウを覗き込んでいる。
「……あの……これ……いいなぁ……。」
小さな声で呟きながら指差したのは、
ふわふわの柔軟剤と、香りのついたリネンスプレーのセット。
「……お願い、してもいいですか……?」
小さく上目遣いで見つめられ、心臓が少し跳ねた。
シトリは白いブラウスにデニムのショートパンツ姿で、
「……あっ、あれ……座布団、欲しいです……!」
と、少し恥ずかしそうに手を挙げて言った。
その横には、「低反発クッション」「おしゃれなラグマット」のコーナーが並んでいて、
なるほど、椅子としての快適さを求めてるのか……と妙に納得してしまう。
クッカは淡い黄色のカーディガンに、シンプルなスカート姿で、
「わぁ、この木べら、すごく可愛いですね……!」
とキッチン雑貨コーナーで目を輝かせていた。
「あと、このお鍋も……! これなら煮込み料理がもっと美味しくできそうです……!」
熱心に選ぶその姿が、妙に生活感に溢れていて、
一瞬だけ「これって普通の彼女とのデートみたいだな」と思ってしまう。
そしてリブリアはシックなシャツワンピース姿で、
無言で文房具コーナーを見つめていた。
「……これ……欲しい。」
と手に取ったのは、おしゃれなしおりと、真鍮のブックスタンド。
「お前、ブックスタンドいるのか……?」と問いかけると、
リブリアはほんのり頬を赤らめ、
「……私、本棚なので。」と小さな声で答えた。
⸻
「…………。」
人混みの中で、ふと自分が置かれている状況を俯瞰する。
普通のカジュアルな服を着た、年頃の女の子たちに囲まれて、
一緒に雑貨を見たり、商品を手に取ったり、
「これ、可愛いね」「これ似合うかな?」なんて話をしたり。
──これ、どう考えても、デートじゃないか?
そんな言葉が心の奥に浮かび上がったけれど、
「いやいや、違うだろ! これは買い物!フライパンを買いに来ただけ!」と必死に頭を振った。
だけど、
ふとクッカが「ご主人様、今日は来てくださって嬉しいです」と微笑み、
シトリが「また一緒に来たいです……」と小さな声で呟き、
ネムが「ご主人様、またお出かけしましょうね!」と笑い、
リブリアが「たまには悪くないですね……」と口元を緩めたその瞬間。
胸の奥が、じんわりと温かくなった気がした。




