本を入れるだけだから、変な声を出すな!
「ふあぁ……ぽかぽかで気持ちいいですぅ……♡」
窓際の床に、ふわふわと寝転んでいるネム。
柔らかそうな髪が陽の光に透けて、
まるで猫が丸くなって日向ぼっこしてるみたいだった。
ふんわりとした笑顔で、
「ご主人様も一緒にどうですか?」なんて無邪気に言ってくるけど、
さすがに俺は遠慮しておくことにした。
「……さてと。」
寝転がるネムを横目に、部屋の隅に積み上がった本の山を見つめる。
最近の買いすぎた参考書、ビジネス書、雑誌。
放置していたせいで、結構な量になってしまっていた。
「……整理しなきゃな。」
腰を上げ、ひとつひとつ手に取っていく。
ページの端が少し折れたのや、ブックカバーが外れかけたのも混ざっている。
「これ……どこに入れよう。」
自然と目が向いた先には──リブリア。
彼女はいつものように背筋を伸ばし、制服の裾を整えながら、
少し不安げな顔で、そっとこちらを見ていた。
「……本を入れるだけだからな。」
そう言いながら、俺は恐る恐る手を伸ばし、
リブリアのスカートのあたり──ストライプ模様に並んだ背表紙のすき間へ、
本をそっと差し込む。
その瞬間。
「っ……あぁ……♡」
小さな吐息が、耳元でふわりと響いた。
肩がピクリと震え、頬がほんのり赤く染まるリブリア。
目を閉じて、長い睫毛が微かに震えている。
「……こらっ、変な声を出すな!」
思わずツッコミを入れる俺に、
リブリアは「す、すみません……」と小さく答え、
でもやっぱり少し震えながら、スカートの端をぎゅっと握っていた。
後ろからは、
シトリが「……ご主人様……」と少し冷たい目で見てきて、
クッカが「あらあら……」と笑いをこらえていて、
ネムは「ご主人様って本当にえっちですね〜」と楽しそうに笑っている。
「…………。」
ため息をつきながらも、俺はそっともう一冊、本を差し込む。
そのたびに、リブリアが「ふっ……♡」と小さく声を漏らし、
その度に俺は「だから、変な声出すなって!」と必死でツッコむ。
──まったく、どうしろっていうんだ、この状況……。




