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会社での違和感
翌朝。
満員電車に揺られて、会社に着いた俺は、
持ってきた参考書籍をデスクに置いた。
「お、準備いいじゃん。」
隣の席の後輩が、何気なく覗き込んできたそのとき。
「……ん? これ、なんかほんのりいい匂いしますね?」
「えっ?」
思わず顔を上げると、後輩が首を傾げて本をひらひら仰いでいた。
鼻を近づけると──
ほんのり、淡い花のような香りが漂ってくる。
それは確かに、昨日リブリアから本を抜き取ったときに感じた、あの香りだった。
「…………。」
変な汗がにじむ。
「いや、気のせいだろ。たぶん新品だから。」
無理やり笑いながらごまかす俺に、
後輩は「そうっすかね~?」と肩をすくめて、何事もなかったように戻っていった。




