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身もだえる王室

とにもかくにも、王室が動きを見せているのは確かである。

国王としては第一王子を平穏無事に玉座につけたいと考えているようだが、第二王子がそれをさせまいと画策している。

そして第一王子に関しては、現在のところ子をなすことができぬ不能状態。


しかし流れからすれば第二王子が玉座につく可能性が今のところ大である。

では何故国王は第一王子を、そこまでして玉座に推したいのか?

第二王子を玉座に据えるにはそれなりの理由が必要だからだ。


まさか第一王子の御子息がスタンダップしない寝たきり状態とは言えまい。

もちろん何かに理由をつけて第二王子を玉座に座らせることは可能だ。

しかし野に下った第一王子がいつまでも独り身となれば、事が露見するのも時間の問題であろう。


血も涙もないことを言うならば、そんな第一王子さっさと殺しちまえよ、となるのだが人はそこまで非情にはなれないようだ。

まして血肉を分けた我が子ならば。

変なところで「人間」が出てしまっている。我が王室は。


王族というものはとにかく血を残す、つまり子供を作るのが最大の仕事のはずだ。

それだというのに第二王子を推挙できないでいる辺り、やはり王室としては弱すぎる。

とはいえ第一王子も世継ぎとして身の回りを固めている。


学生時代からの御学友たちはすでに要職にある父親たちの下で働き、将来の大臣、あるいは貴族として仕事を学んでいる最中だ。というか、世代交代はいつでも来いというスタンバイの状態である。

それをご破算には、簡単にはできないだろう。


やはり第一王子が王位を継ぐのが正しい。

そしてなんとかお世継ぎを拵えていただきたいものだ。

しかしその重圧が、彼を追い詰めてより深い不能の泥沼へと引きずり込むのだ。


さまざまな秘薬の投与、食事療法がなされるが第一王子に回復の兆しは見られない。

そりゃそうだ、性的不能の原因は気鬱にあると私も聞き及んでいる。

精神的な重圧や過去の体験が彼を不能にさせているのだ。


正直に言えば、第一王子はもう玉座に座ることはないだろうと思う。

ならばここは第一王子を見限って、第二王子が玉座に座った場合を考慮すべきなのではないだろうか?

例え第一王子の機能が回復しても、第二王子が玉座につかせないかもしれない。

そう考えていると、第一王子のもとに豊穣の香りする娘が現れた。

忍び情報である。


ランダ公爵の娘、マリアである。

お嬢さまらしくマリアはどこかトボけた……もとい、おっとりしたところのある娘で、第一王子にのんびりと接触していた。

これが国王最後の一手らしい。


この娘をあてがって、それでも不能というならば致し方なし。

第二王子へと乗り換えるしか無いと考えたようだ。

マリアはおっとりとした娘と言ったが、性格穏やかでのんびりした性格が容姿に現れているそうである。


どこか母性あるとでも言おうか、忍び情報ではあるがそのにくたいは女性らしく丸みを帯び、男子ならば誰でもむしゃぶりつきたくなるような肉体美も備えていたそうだ。

まあ、肉体美というならばウチのアヤコも携帯型肉体美というか、チンチクリンのくせにくびれるべきところはくびれて出るべきところは出て私を魅了して止まないのだが。

してそのマリア、夏も近い時期に第一王子の元を訪ねたそうである。


サマードレス、つまり露出の高い女性美、というか豊穣の実りであるたわわな胸を強調する服装でだ。

このときいわゆる、奇跡が起こった。

平素から不能の第一王子を包み込むような、全肯定するようなマリアであるのに加えて、質感ヘヴィなバストを強調してきたのだ。


王子がよみがえった。

長き眠りより覚めた毒蛇はいまにも毒液を吐き出しそうなほどに屹立したのだ。

調子のいいもので、などと言うなかれ。


蘇生の喜びは不能に陥った者にしか分からない。

閉ざされた扉が開かれて可能性の光が差すのである。

息せき切って王子は国王に申し出た。


「父王よ、私はマリアと婚姻します!」


「なんとした!? それほどまでにランダが一子を気に入ったか!?」


「左様! 彼の娘ならば我が王家も子孫繁栄をお約束できるとお約束できます!」


「よみがえったか! これは天晴!」


王室にわかに活気づく。

婚約もまだというのに、王城は祝賀ムード一色となった。

国王は婚約の段取りに入る。


ここで焦りを覚える者が一人。

もちろん第二王子だ。

よもや兄王子の機能が回復しようとは、夢にも思っていなかったのだ。


そこで一計を案じる。

そうだ、第一王子が回復さえしなければ、第二王子も殺意を抱くには至らなかったはずだ。

しかし次期国王は自分だと吹聴して回っていた。


金や力もすでに集まっている。

なんとかしなくては、今度は自分の身が危ういのだ。

第一王子に対する殺意が湧く。


というか、どうしても死んでもらわなくてはならなかった。

酷い話であるが、玉座に座るということはこういうことなのである。


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