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ムダ話

抜刀隊、槍兵といった白兵戦戦力に投石兵器を装備させる。

そのアイデアを持ち出すと、ナンブ・リュウゾウは「ほう」と感心したように目を細めた。

鉄砲、弓矢に続く第三の飛び道具が気に入ったようである。

しかも白兵戦要員は唸るほどいるし、投石兵器ならば安価で数を揃えられる。


「しかしヤハラどの、それならばナンブ領だけの独占ではもったいない。各男爵子爵家に知らせて、早急に数を揃えさせた方が面白いぞ?」


「心得ました。すぐさま手配をします」


そうだ、ナンブ兵は三〇〇〜一〇〇〇人の兵を見込めるが、それでも第三軍全体となれば三倍〜十倍の規模となる。

三〇〇〇もの一斉投石となれば、これはもうただではない。

最新鋭の銃の話をしていて、石コロを投げつける話になると、読者諸兄は落胆するかもしれない。


しかし現実に読者サイドの世界では「成田闘争」とか「全学連」といった戦いの歴史があり、お金の無い若者たちは角材や投石で暴れ狂ったそうである。

さらに余談。

そちらの世界にはスポーツチャンバラなる競技があるそうだが、これは得物が触れただけでも一本とする競技だそうで。


スポーツチャンバラと聞くと一見軽い気持ちの競技にしか聞こえないだろうが、その理念は殺伐とした「実戦」に基づくものと聞く。

つまりスポーツチャンバラの得物はすべて本身の刀、槍を想定しているという。

だから軽く触れただけでも致命傷として一本を宣せられるそうだ。


歴史上においても幕末の英雄坂本龍馬が寺田屋で遭難したとき、受けた手傷は指だけだったそうなのだが、動脈を斬られていたので出血が夥しく、救助されたときには瀕死の状態だったそうだ。

話をスポーツチャンバラに戻す。

この競技の創始者が件の成田闘争で警察サイドに属していた方と聞く。


誤読か真か、いまとなっては分からない。

しかし雑誌に発表された取材記事によると、投石により屈強な機動隊員(それこそ柔道の高段者、剣道の高段者といった猛者)たちがバタバタと倒されていたそうである。

警察柔道、警察剣道などといったら、それこそ日本の柔道剣道を代表するような超人たちの集まりだ。


それが握り拳大の投石により倒されているのである。

石を投げつけるという一見原始的な戦闘方法がどれだけ有効か。

これで御理解いただけたであろう。


それが三〇〇〇もまとめて飛んでくるのである。

もはや兵器としか言いようがない。

酷い言い方をすれば、これこそまさに女子供でも大の大人をぶっ倒す戦い方、のひとつと言えよう。


すでに乗り気ということは、ナンブ・リュウゾウ、投石の有効性に気がついているということだ。

ちなみにマンガ家故水木しげる先生が子供の頃、子供たちのケンカは集団で戦争のように行われ、石を投げつけ合うところから始まったそうだ。

さらに言うなら、その当時のケンカの様子はマンガ家どおくまん先生の傑作「暴力大将」の序盤で読むことができる。


戦前というのは、子供たちも大変なワイルドっぷりだったのだ。

さらに面白おかしく話すならば、現在でこそ柔道も剣道もスポーツ少年団なる組織によって、誰でも気軽に始めることができるが、そうした組織が生まれる前の武道格闘技などというものは兵隊さんやお巡りさん。

そうでなければ三度の飯よりケンカ好きというような連中が、町中のケンカだけでは飽き足らず道場入門してケンカまがいに稽古していたとか。


戦後もしばらくの間は、やはりワイルドだったのだ。

ちなみに作者はそれよりもずっと後の世代。

梶原一騎アニメの主人公を見ても「なんでこの人たち、こんなにツッパラかってんだろ?」と首をかしげていた世代である。


時代の変化によって、人は男子は変わるものである。

さて、大演習のための下準備はこんなところであろうか?

あとは人数を揃えて宿などの手配をしなければならない。


その辺りは忍びたちにも手伝ってもらおう。


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