編成のお時間
冬季大演習を第三軍で行うむねはナンブ・リュウゾウからイズモ・ダイスケを経由して、中央のアーサー王子に上申された。
よって数日の間をおいて返事が来る。
よきに、と。
開催に相応しい場所として、イズモ領地があげられた。
兵員の宿をまかない食をまかなうとなれば,やはりそれ相応の領地となる。
ちなみに指揮官としてアーサー王子もお越しになるとのことだ。
王子が来られるとなれば、やはり男爵子爵領地では不備が出るだろう。
各領主も納得の采配だ。
訓練内容は全体の行軍、そして陣形の素早い形成。
そして射撃技術の向上、弓矢の集中運用。
もちろん突撃と白兵戦……つまり剣槍技術の習得である。
各個に訓練をする項目もあれば、全体で訓練する項目もある。
予定では一週間ほどの期間を考えなければならない。
イズモの窓口と綿密に連絡を取り合い、訓練内容や地形について習熟する。
忍びたちの情報もあったので、まだ見ぬ演習地、宿の様子などがすでにめをつぶって思い描けるほどになっていた。
しかしひとつだけ困ったことがある。
ナンブ兵士すべてを連れてゆく訳にはいかないのだ。
そんなことをしたら街も山も道という道が雪で埋まってしまい、ナンブ領が機能しなくなってしまうからだ。
そうなると三〇〇人すべては連れていけない。
やはり隊長クラス、あるいは剣の上手槍の上手を選抜することになる。
その辺りはクサナギ先生とシロガネ・カグヤにまかせる。
ナンブ領地からは一〇〇人ほどの参加としたい。
その一〇〇人に戦闘概要を理解してもらい、それぞれの部隊を指揮してもらうことを目標とする。
そして私には今ひとつ仕事があった。
それは演習地の確定である。
演習地は、実際に帝国軍と会敵が予想される場所に似た場所を選択しなければならない。
山岳部ならば山を選び、平地ならば平地を選ばなくてはならない。
つまりそれは敵軍がいつ、どのように動き出し、どこを通ってくるのかを予想しなければならないということだ。
忍びたちから情報を収集、分析する。
旧ゼブラ国奥地、他国との国境に川が流れている。
そしてその川の東西にはだだっ広い平原が。
諸国連合同士の合戦はこの平原が戦場となるだろう。
互いに身を隠すものの無い平原。
草原ではない。
凹凸も少なく、身を隠す樹木さえ乏しい平原である。
石コロもよくよく転がっているらしい。
忍びの情報によるとこの一帯、あまり草の丈も高くはないそうである。
さて鉄砲隊にとってはうってつけのこの平原。
しかし次に問題となるのは諸国連合の中で、ワイマール軍がどこに配置されるか? である。
もしも最左翼最右翼に配置されるならば幸い。
敵陣の端から潰して、敵に目一杯の打撃をくれてやることができる。
しかし、いま現在ワイマール王国はドルボンドを飲み込んで、大国となってしまった。
そうなると端っこという訳にはいかないだろう。
センター中央、ど真ん中の布陣となる。
そうなると一点突破か?
いや、ワイマール先鋒第三軍に機動力は無い。
とにかく鉄砲を撃ちまくり、帝国のを痛打するのが上策だろう。
一軍二軍の騎士たちはジレるであろうが、そこは我慢してもらいたい。
いや、もしも焦燥感に耐えかねて勝手な突撃などしようものなら、背後から撃ち殺す! くらいの脅しはかけておかなくてはならない。
イヤラシくイヤラシく、遠間からチクチク刺しながら敵の弱体化を謀る。
これこそが帝国軍殲滅の足がかりだ。
敵の鉄砲隊はキララ鉄砲で全滅させる。
騎士が出てきたなら鉄砲と弓だ。
槍兵がファランクス陣を敷いてきたなら……もちろん鉄砲と弓で応戦する。
しかしもう一手、飛び道具が欲しい。
何か良いものは無いかと思案。
鉄砲とか矢とか、そういった値段の張るようなものでは困る。
そこでクサナギ先生に相談。
「それならば投石がいいぞ。一に鉄砲ニに弓矢。三に投石とある」
なるほど、それならばスリングという兵器がある。
もちろん安価だ。
それに石コロならば、そこいら中にころがっている。
というか川原のそばだ。
平原であろうとも普通に拾えるはずだ。
よし、掃いて捨てるほどある雪を握って石に見立て、スリングの稽古をさせてみようか。
これには鉄砲隊が活躍している最中、暇で暇で仕方のない槍兵抜刀隊を当ててみることにする。
明日の更新はお休みさせていただきます。雑記帳の方で『僕の心の中の鬼将軍』を製作中ですので、悪しからず。




