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未来を語る

「しかしキョウカどの、指南役はすぐにでも調達できようが、教育ともなれば時間がかからないかね?」


ナンブ・リュウゾウ、さすがは剣の上手。

剣士の育成には時間がかかると指摘する。


「もちろんかかりましょうね。ですが時間を超越するような努力をさせる手段もございますのよ?」


「ほう、そこまで人は熱心になるものかね?」


「みちのく屋の商隊護衛団とたぬき商会の護衛団は、〇〇流剣術も門弟を優先的に採用する、とすれば門弟はウジャウジャ。さらに目録以上の使い手は、お手当金が上乗せされるとあれば、それはもうみなさま、可愛らしいくらいに」


このたぬき……結局は金かよ。

しかし学生時代のナンブ・リュウゾウを思い出してみる。

腰間の剣ひと振りをたよりに出世してみせると息巻いていたあの頃。

誰もが「時代錯誤」と笑っていたものだが、今や男爵家の跡継ぎ筆頭。


第四とはいえ王子からの覚えもめでたく、ワイマールにその人ありと肩で風を切っても良い身分となっている。

そうした若者が目の前にニンジンをぶら下げられたなら、猛然と稽古に励むことは確定だ。

いわば今回の話は、「出て来い、第二のナンブ・リュウゾウ!」というスカウトキャラバンだろうか。


「しかしキョウカどの、いくら頑張ったところで次の戦さに剣士は間に合わんぞ?」


「あら、リュウゾウさま。わたくし何も春の戦さで貴重な兵隊さんを消耗しろ、などとは申しておりませんわ。今やワイマール王国は旧ドルボンド領地まで手に入れた、近隣では最も強い国。春の戦さが済んでしまえば、頼もしい味方というのは、途端に目の上のタンコブ。邪魔な存在になりましてよ?」


「さらなる戦さかね?」


「そうなってしまうともはや商いどころではありませんわ。国は疲弊して、やがては倒れてしまうでしょう。もっとも欲に目のくらんだ第一王子さま方は、そのことにまるで目が行っておりませんが……」


急に話が進んだ。

もう戦後の話をしている。

しかし、その辺りのことは私たちも漠然とではあるが、気にはかけていた。


だからアーサー王子を神輿に担いだのである。

もっとも、とイズモ・キョウカは続ける。


「たぬき商会やみちのく屋は、他国とも商いを行っておりますので『商売第一、戦さ二の次三の次』という方針をアピールできる政権が誕生することを切に願っておりますわ」


それこそアーサー王子ではないか?

仮にも美談を謳われ、いささか武勲がありすぎるきらいはあるが、しかしナンブ・リュウゾウがその軍勢の中にあり、ナンブ・リュウゾウはイズモ・キョウカとみちのく屋を手中に収めているのだから。

ナンブ・リュウゾウなりアーサー王子なりが「もう戦さの時代では御座らぬ。ともに商いに励みましょう」と一言告げるならば、周辺諸国も刺激せずに済むだろう。


とにかくワイマール王国はその欲望のままに、変に巨大化してしまっている。

ともすれば、醜悪なまでに肥大化と例えても良いかもしれない。

この事実をどうするか?


頭のおかしな連中は、軍事力を低下させれば他国を刺激せずに済む。とか言い出しそうだが、そんなことをすればたちまち侵略に遭うだろう。

怖い奴を倒して我が世の春を満喫したいだろうし、ワイマール王国が現在ため込んでいる財産も魅力に違いない。

とりあえず大国は大国に相応しい軍事力を保有しなければならない。


そのためには金だ。

大いに商いをして戦さ働きを控え、ため込むだけため込むのだ。

金は力になる。


そして力はまた金を呼ぶ。

そしてどこの国も追いつけないほどの強大な国を建設しなくては、封建社会の中世では生きてゆけないのである。

そう、戦わずして勝つという壇上。

それこそが理想なのだ。


というか、王室にそこまで思慮をしている者がいるのだろうか?

私の見立てでは極めて怪しいものである。

というか王室にもつながりを持つイズモ・キョウカが、こんなところでこんな話をしているのだ。


察して知るべし、である。


明日の更新はお休みします。雑記帳の『鬼将軍冒険譚』を作成するのです!

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