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スライムの召喚魔導師  作者: じぱんぐ
ルイゼンハルト
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1

 変化というものは、唐突に訪れる。

 唐突に訪れず、徐々に、少しずつ、といったものも確かに存在はするだろう。

 だが、やはり変化というのは、唐突に訪れる方がインパクトが強く、記憶にも残りやすい。

 だからこそ事実がどうであれ、人間の意識的には、変化というのは、唐突に訪れるものなのだ。


 例えばそれが、今まで出来なかったことができるようになったり、自称魔王の側近が空からやってきて、母の病気を治してくれたり、といったプラスなことがあれば。

 逆に、突然改造された元人間がアスタールに放たれ、大量虐殺が行われたり、その化け物(元人間)がサラナ村にまで来てしまったが、村の変人たちに洗脳されたのか村に馴染んでしまい、化け物がサラナ村に住みつくことになって、少しホラーっぽくなってしまったり、とかマイナスなこともある。


 そして今回は、アスタールの魔法学校にある管理棟5F、校長の部屋という場所で、俺の人生に影響する、所謂(いわゆる)"唐突な変化"が訪れようとしていた。


「それで、この手紙は一体何なんですか?」


 俺は手の内にある、手紙をひらひらと揺らす。これは、つい先日家に送られてきた手紙で、宛先は魔法学校から。

 しかも、その手紙をよく確かめてみると、なんと2通あったのだ。


 一つは俺ので、もう一つは、リアナのである。

 どうやらリアナの住んでいるところが、あの時の手抜き教師のせいで分からず、彼女と交友関係のある俺に仕方なく送っておいた、ということなのだろう。

 これでもし、リアナ宛ての手紙だけであったならば、どうせルイゼンハルトへの推薦の話だろう、と納得出来たのだが、その手紙は何故か俺の分まであったのだ。

 しかも書かれている内容は、ある日付に、魔法学校の管理棟にある、校長室にまで来い、というものだけ。

 不思議に思わない方が変だというものである。


 そして、リアナを連れてここにまで来てみれば、ルシルとフィリーネさんといった見慣れた人たちまでいるし。

 集められた理由が、余計に分からなくなってしまったというわけだ。

 

「あぁ、それはのぅ、今から説明するところだから、焦るでない」


 俺達の対面に座っている校長が目尻を下げて、そう返答を返してくる。

 光沢のある革張りの椅子に腰かけてはいるものの、背筋をピンとしており、露出している肌に染みが少ないところから、そこまで年老いているとは感じさせない。

 髪はすべて白に染まり、少し後退気味なのか(ひたい)がやや広くなっているところは、流石に歳には勝てなかったのだろうか。

 が、そんな年寄りだというのに、魔導師としての腕は相当なものだという。

 グルタウロスを打倒した、ルシルのあの魔法もこの校長が教えたらしいし。


「そんで前置きもなしでいきなり本題に入るが、なんとお前たち4人にルイゼンハルトから推薦状が来ておるんよ。どうだ? 驚いたか?」


「いえ、全く」


 金髪を軽く指で弄びながら、ルシルはつまらなそうに返した。

 普段だと、他人の前では性格(キャラ)を作っている彼女なのだが……レイオッド先生の件で心に酷くダメージを受けた影響なのだろうか。

 普通に素が出ていた。


「……」


 フィリーネさんは、うん。今日も人見知りを発揮して、少しもじもじとしている。彼女は戦闘以外は、本当に可愛らしい。

 戦闘時は……俺よりも頼りになる逞しい人格へと変貌するというギャップがあるものの、やはり可愛い。

 母が『可愛い子は何をしても可愛い』と言っていたが、まさしくその通りであろう。


「そうか、ようやくか……!」


 そうして、ガキのようにワクワクしているリアナ。

 面白いことが好きで、自称魔王の側近ながら、退屈凌ぎに人の住む世界にやってきたという、変わり種である。

 いまだに人なのか、モンスターなのか、よく分かってはいないが、とにかく魔力が凄い人物だ。


 三者三様のリアクションを見てきたが、どれも校長の期待に沿わない反応をしていた。

 そんな中、俺だけが驚いているのだから、少し悔しい。ポーカーフェイスでも練習しておくべきだったか……。


「あんまり驚かないのかぁ……せっかくサプライズっぽくしたのにのぅ」


 がっかりとした表情で顔を伏せる校長。綺麗どころの彼女達が驚いた姿を見てみたかったのだろう。

 期待していた通りのリアクションが返ってこないと、寂しい気持ちになるんだよな。


「それで、なんで俺にも推薦状が来ているんでしょうか?」


 そう、リアナとルシルに推薦状が来るのは、納得できる。彼女らは実践魔法演習で、相当優秀な成績を収めた者たちだ。

 優勝であるリアナはもちろんのこと、ルシルは前の年にも推薦状を貰っているんだとか。

 だがフィリーネさんや俺は、特に目立った功績は見られないが、一体どういうことなのだろう?


「あぁ、それはのぅ、(さき)の事件でグルタウロスとかいう化け物がいたじゃろ? それをたった4人で倒したのが、評価されたらしいのぅ」


「でも、倒したのってこの二人ですけど?」


 そう言って、ルシルとフィリーネさんの二人を指差す。

 まぁ、フィリーネさんは補助をしただけで、殆どルシル一人の活躍によってだけど。


「だから、俺に推薦状が来るってのは考えにくいんですけど……」


 そう残念そうな素振りを見せておいて、心の中ではガッツポーズを取る。

 良く理解出来ない状況下に置かれているのは(しゃく)だが、このまま厄介な二人――ルシルとリアナをルイゼンハルトに送ってしまえば、日常的にメンタルを鍛える日々とも、おさらばだ。


「あぁ、それはお前たちの活躍を見ていた騎士がおっての、そいつらの報告を聞いて、国は推薦状を送ると判断したらしいのぅ」


 ……あの騎士達め。グルタウロスにやられて、気絶していると思ったら、意外と意識があった奴がいたのか。

 黙って自分たちの手柄にしなかった精神は尊敬に値するが、余計なことを……!

 今更、「彼女らのおまけでした」、と言ったところで、国に報告されてしまったからには、騎士たちも簡単には納得出来ないだろうし、そもそもそれでは、彼らの目が節穴でした、と言っているようなものである。

 騎士のプライド、強者のプライドとしては、今更そんなことは言えまい。


「……」


 これ以上は何も言えやしなかった。

 校長はそんな俺の姿を見て、納得したと勘違いしたのか、机の中からなにやら書類を取り出す。どうやら、あれが推薦状とやららしい。


「手紙で直接送ろうとは思ったが、セキュリティ面の問題で手渡しすることになったから。ほれ、さっさと取りに来い」


 立場上の問題で、お前が来いとも言えず、俺たちは校長へと近づき、一人ずつ推薦状を受け取っていく。


「……そういえば、ルシルちゃん、今回は断らないの?」


「あぁ、それね。それはもう終わったことなの……」


 その台詞はどこか哀愁を漂わせるが、単に片思いが終わり、アスタールに執着する理由がなくなっただけに過ぎない。


「俺は断っておきたいなぁ」


「ん? どうしてだい?」


 ぽつり、と呟いた独り言を、リアナに拾われる。本当、どうでもいいところに食い付きのいい奴だ。


「別に、実力が認められたわけじゃないのに、そんなところ行っても恥をかきに行くようなものだろ?」


「それなら君は私をルイゼンハルトとやらを案内するために行けばいいじゃないか」


「何故、俺が案内しなきゃならない……?」


「面白そうだから」


 シンプルに、一言。『シンプル イズ ベスト』という言葉がある通り、大変分かりやすい返答ではあるが、分かりたくない場合はどうすればいいのだろう。


「いやいやいや、"案内"っていうなら、ルイゼンハルトに詳しい奴に頼めよ! それこそ現地調達でさぁ!」


「いやぁ、そこには優秀な人間が集まるんだろう? そんな中、スライムしか召喚できない君が奮闘していく様を見る……どうだ、面白くないか?」


「俺は面白くないな!」


「私が面白ければ、それでいい」


 リアナが結構我儘(わがまま)だってこと、忘れてた。大概、こうしたことはリアナに押されて、仕方なく了承してきたパターンだが、これからは違う。

 俺はあの経験から成長したんだ。挑戦する勇気を得たんだ。さぁ、今こそ活用の時!


「それは無理なんだ――」


「あぁ、いよいよ人が造ったゴーレムとご対面か……」


 見事に無視(スルー)された。リアナめ、俺が見ていないところでスルースキルなんてものを覚えてきやがったか……!!

 このままリアナには黙って推薦状を廃棄したとしても、たぶんルイゼンハルトに腕を引っ張ってでも連れていかれるだろう。

 仕方ない。

 人生には妥協がつきものだ。こんな若い歳で、死にたくはない。

 ……案内ごときで断れば死、なんていう地獄直行ルートがなんで俺限定に引かれているんだろうか。


「はぁ……」


 溜息をついたところで、推薦状に目を落とす。


「ん……?」


 違和感。文章に何やら違和感が存在する。でも、文章的には問題はないし……?


「リアナ、お前の推薦状、貸してくれないか?」


「破ろうって気か? だかなぁ、再発行という手が私に残されている限り、私の負けはない」


「そんなことどうでもいいから、早く」


 少し強引にリアナの推薦状を奪い取ると、自分のと見比べてみる。


「ん? 何か文章にミスでもあったのか? 面白いのなら、私にも見せろ」


 リアナは強引に覗きこんできたが、数秒後その紙面から離れて――盛大に吹き出した。


「あはははははははっ! その結果は予想してなかった。まさに不意打ち、いやこの場合は伏兵の方が正しいかな!」


 元気そうに笑うリアナに対し、俺は逆に落ち込んでいく。

 一応は、予想はしていたさ。確かに書かれている方がよほど現実的かもしれないけれど。

 でも、俺は卵にも満たないかもしれないが、魔導師だ。

 

 なのに、文面には――"騎士"の養育機関から推薦状が送られてきていたのである。

 

 確かに、グルタウロスと戦った時は、盾を使ったさ。

 でも、騎士たちの方もおかしいと思ってくれてもいいじゃないか。魔法学校に所属している奴に、この推薦状を送るってことにさ。

 でも、逆に言えば、これだけ肉体派なのに、魔法学校に通っている俺が、おかしいのだろうか?

 そんなことあるまい。魔法が使えりゃ、へっぽこでも魔導師だ。魔導師が盾を使って何が悪い。

 ここで間違いを認めてしまったら、何かに負けてしまうような気がする。


「フィリーネさん!」


 こうなったら最後の希望だ。ルシルと小声で話しているフィリーネさんに近付いていく。


「……え、えぇと何? クレヴ君?」


「推薦状、見せてくれないか?」


 最後の希望――それはフィリーネさんも同じ文面だということだ。

 弓を持っていたフィリーネさんならば、もしかしたら俺と同じく騎士として推薦を受けているかもしれない、そう思ったのである。

 ここでもし、フィリーネさんも同じ文面だとすれば――あの騎士達は見た目だけを判断したと、そう自分で納得できるからだ。

 見た目で言えば、身体も小さく、ほっそりとしているフィリーネさん。

 この人が、もしそんなところに行ったとすれば、間違いなくそこに通う人たちが不審に思うに違いない。

 仮に行く羽目になったとしても、そこでフィリーネさんに便乗すれば、「俺たち、凄い人のおまけみたいなものなんですよ」、と誤魔化すことが、出来るはずだ。

 何より、この状況では、藁にでも(すが)りたい気持ちでいっぱいなのである。

 身勝手ながら、神様にも祈りたいくらいだ。

 

 恐る恐る推薦状を手渡してくるフィリーネさんに、深いお辞儀をすると、深呼吸をし、文面に目を通す。

 そこには、『騎士』という文字は無く、代わりに『魔法学校』という文字があった。


「何、そんな真剣な表情をして」


 気になったのか、ルシルも顔を寄せるようにして、フィリーネさんの推薦状を覗く。


「別に、何ともないじゃない。アンタのところには、何か変なものでも書いてあったの?」


「あっ」


 文面に気を取られている隙に、ルシルに俺の推薦状を取られる。


「やーめーてー! 見ーなーいーでー!」


 俺はこの日、ルイゼンハルトに行く前に、恥をかいた。







「本当に、行くのね?」


「あぁ」


「寂しく、なるわね……」


 母が少し寂しそうに言うが――顔はリアナの方に向いている。やはり、可愛くない息子よりも可愛い他人と離れることを、残念がっているようだった。


 今日はルイゼンハルトから迎えの来る日。それで俺とリアナは世話になった母と別れの挨拶をしていたのだが。

 図々しい飯泥棒のリアナはというと、


「お世話になりました」


 の一言だけで、散々夕食を食らっていった割に結構薄情な態度を取りやがったのだ。

 だが、母はその言葉を不快に感じなかったらしく、


「じゃあ、これを持っていきなさい」


 と言って、俺には渡さなかったヘソクリを、彼女に与えていた。

 あまりに不公平だと思い、そのことを母に追及すると、


「いいの。シスターちゃんはシャイなところが可愛いんじゃない」


 と、リアナのそっけない態度も、母の中では『内気』だと置きかえられていて、結局俺には1(エギル)すら貰えなかった。

 全く、厳しいのは愛情の裏返しと言われても、俺だったら、「え? そんなもの物語の中だけだろ?」と素面(しらふ)で言える気がする。


「あぁ、そう言えばクレヴ」


 そして散々リアナには話しかけていたくせに、いざこの家を出ようとしたところで、母に呼び止められた。


「なんざんしょう?」


「途中でクリュテに会ったら、母は元気でやってるって、よろしく言っておいてね?」


「アハハ、クリュテ ッテ ダレデスカ?」


 口が上手く回らない。何故だか知らないが、顔の筋肉が急に強張(こわば)ってしまったように思える。


「冗談でもそんなこと言わないの。クレヴ、あなたのお姉さんでしょ?」


「いやだなぁ、俺に姉さんなんているはずないじゃないか!」


「昔は散々べったりだったじゃない。忘れてるなら、随分前に画家さんに描いてもらった家族の絵でも見る?」


「いや、いい」


 俺はその時、自然と拒否の言葉を口にしていた。

 記憶に無いのなら、むしろどんな人なのか、興味が湧くのが普通なはずである。

 でも、何で俺は姉の存在を忘れていたのだろうか。薄情者のリアナと違って、家族のことを忘れるような酷いことを俺がするはずが無いのに。

 そう不思議に思っていると、急に身体が震えだす。

 ……今は暑い時期だというのに、急に鳥肌まで立ってきやがった。風邪をひいた訳でも無いのに、なんだこの寒気は。


「はい、もってきたわよ」


 そうして原因も分からず発生した身体の震えに疑問を持っているうちに、母がその絵とやらを持ってきていた。

 うむ、確かに母と父の若い頃とそっくりな人物が描かれているのが見える。その下には二人の子供がいて……。

 一人は、まだ髪が短かった頃の俺だ。そしてもう一人、俺の隣にべったりとひっついている茶髪の少女を見て――俺の記憶がフラッシュバックした。


「……はっ!?」


 一瞬、気を失っていたような感覚に陥る。そして、それから復活したのと同時に、頭の中では忘れかけていたものを発掘してしまったようだった。


 忘れていた記憶。

 普通なら懐かしいな、ということで恥ずかしいことでも大概は笑って済ませられる。

 

 だが、今回のはそれと全く違う。

――身体が、記憶を取り戻す前に警告していたのだ。わざわざ身体を震わせて、思い出すな、と。


 別に、姉は危険な人物、というわけでは無い。ましてや、怖い人物でもなかった。

 苦手だったのである。それも、凄く、とても。


 今思い出したことと言えば、クリュテという名前と、母似の顔立ち。そして俺よりも一つ上の歳だということと、そしてこの家から出ていった理由。

 あれは確か、俺が何か姉さんに頼みごとをして、そのまま帰ってこなくなったといった感じだった気がする。

 これ以上思い出そうとすると、芋蔓(いもづる)式に記憶が掘り返されそうだったので、ここでやめておいた。

 

「どう? 思い出した?」


「バッチリね……」


 望んでもいない離郷の上に、さらにテンションが下がるトラウマの発掘。思い出さなきゃ良かった。

 いや、考えようによっては、その姉が帰ってきた際に遭遇しなくて済むと考えれば幸運だろうか?

 いやいや、母が俺のいる場所をバラすに決まっている。駄目だ、期待した分、余計にショックだ。


「それじゃ」


「行ってきます……」







 ルイゼンハルト。

 確か、俺たちの国で中心となる都市であり、王族たちの住む城があるところだ。

 アスタールに来ていた馬車に、ルシル、フィリーネさん、ダバル、そしてリアナと共に乗りこみ、揺られること5日。

 ついに、ルイゼンハルトへと到着したのだ。

 アスタールを出た直後は、蘇った記憶のせいで気分が落ち込んでいたものの、馬車が進んでいく度に外の景色が変わっていったおかげで、大分気分が晴れてきた。

 我ながら単純な奴だなぁ、と思ってしまう。


 さて、ここルイゼンハルトだが、やはり田舎のアスタールとはまるっきり街の様子が違っていた。

 習った内容だと、確か身分で住んでいるところが違うんだとか。

 アスタールにはなかったが、他の都市では大体、こうした地区分けはやっているのだという。

 今、俺たちが立っているのは、平民区といって俺たちのような身分の人が暮らす地域らしい。

 そして、やはりといっては何だが、この平民区というのがこのルイゼンハルトで一番広く設けられており、一番住んでいるのも、やはり平民なんだとか。

 住んでいる人口で言えば、平民>貧民>貴族>王族の順番なんだとか。やはり、その上に立つ人の生活を支えるために、多くなっているのだろう。

 身分が高くなるにつれて、住む区域が中央に寄っていく傾向があるらしいのだが、入り口付近には平民区が設けられるという。

 理由は、治安の安定化を図るため。

 もし、入り口が貧民区だとすれば、入ってきて早々に治安が悪く、街も汚いでは、気分を害するから、ということらしい。


「これからどうするっすか?」


 本日も、ダバルがルシルに押して押して、押しまくっている。

 もうこの質問は、馬車の中で聞き飽きているからか、ルシルの態度は結構そっけないものだった。


「この街を少し見て回ろうかな……フィリーネと」


 そんなぁ、と頭をがくりと落としたダバルを置いて、ルシルはフィリーネの手を取って、人混みへと紛れていってしまう。

 初めて来た街だというのに、なんというチャレンジ精神だろうか。

 まぁ、迷子になっても最悪上空から見降ろせばどうにでもなるから、問題は無いのだろうけれど。


「私たちも行こうか」


「荷物を置いてからな」


 これからどれくらい滞在するか分からないが、遠出用の荷物を持ってきたので、歩き回るには邪魔で仕方ない。

 特に、背中に自分の背丈以上ある盾を背負っているせいか、ルイゼンハルトの住民たちにじろじろと見られて、恥ずかしいったらありゃしない。

 だったら先に宿泊する場所に荷物を置いてきた方が、気持ち的にも楽だ。

 ショックから回復していないダバルを置いて、地図を片手に、リアナと一緒に中央に向かって歩き出す。

 目指すは、魔法学校の学生寮だ。


姉の名前が出ましたが、登場は相当後になりそうです。



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