25。
「お礼をしたいんですよ。お願いします、この通りです。神さま、仏さま、隼人さま」
仏頂面に向かって頭を下げると、隼人さんは意外とすんなり、いいぞ、と言ってくれた。
私は、ぱあっと心も明るくなり、さっそくエプロンをつけて腕まくりをする。
「鹿島さん、チョコが好きだって皐月さんも言っていたし、ご自分でもワインと一緒に食べるって言ってたし。ワインに合うっていったらチョコブラウニーがいいかな、って」
「小梅、あまり浮かれるな」
隼人さんの言葉に、ウキウキとした気持ちもしゅんっとこうべを垂れる。
「……はい」
隼人さんが言いたいことはわかっていて、自分が鹿島さんと恋人にでもなれるんじゃないかって、そういう気持ちを持たない方が良いって、真斗さんにも言われてて。
わかってる。
けれど、わかってても、今度の水曜日に会う時間を取ってもらえて、私は嬉しかったし、お礼も言いたかった。
板チョコを、パキンパキンと折っていく。耐熱のボールにふわっとチョコの甘い匂いが広がった。
そして、チョコブラウニーがすごく美味しく出来上がると、やっぱり嬉しくなって、私がよく行く100円ショップで小箱とリボンを買った。
包装して、リボンを掛ける。
鹿島さんに貰ったブレスレットの包装との差に、やっぱり落ち込んだけれど、水曜日まであと二日。
私は、家の壁に掛けてある、モリタで貰ったカレンダーに、赤ペンで花マルを書いた。
本当は、赤ペンでハートを書きたかったけれど、隼人さんの言葉を思い出して、それは止めた。




