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美人だらけのドラッグストアで胃薬が止まらない件  作者: 薬師寺 あかね


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シュガーさんの開眼と、まひろ突撃兵の卵肌アタック

「秋のからだリセット健康測定会」の最中、シュガーさん(等々力環奈)が目の当たりにした店舗の驚異の真実――それはまさかの「ドスケベパワー」!? 美容ガチ勢の猛者をも優しく落とし込むシュガーさんの圧倒的なカウンセリング技と、それを受けて「薄メイク&卵肌+ドスケベ突貫」で陣内に猛攻をかけるまひろの破壊力抜群のエピソードをお楽しみください!

「どっ……どうしたんですか、シュガーさん……そんなに顔を真っ赤にして……」

肌年齢測定ブースの横で、ビューティースーパーバイザーのシュガーさん(等々力環奈)が、わなわなと両手を震わせていた。

シュガーさんは息を呑み、震撼した声で呟く。

「ドっ……ドスケベすぎるわ……っ!! 氷室薬局長も、あの新人賞の白石ほのかちゃんも……この店のスタッフ全員、表向きは清楚ですまし顔なのに、内面はとんでもないドスケベ……いや、あふれんばかりの『愛の執念』じゃないのーーーっ!!」

「ちょっ、シュガーさん、急に何言ってるんですか!?」

「ちょっと落ち着くために、まひろちゃんのおっぱいツンツンしよ……」

「ちょっと!? 人の胸を触らないでくださいぁーっ!」

羞恥で顔を赤らめる私(有栖川まひろ)をよそに、シュガーさんはハッと何かを悟ったように遠い目をした。

「まひろちゃん……わかったわ。この白鳥駅前店のとんでもない営業実績と快進撃の秘密……その全ての根源が……」

「え……?」

「つまり、『ドスケベパワーよ……っ!!』」

「だから何言ってるんですかーーーっ!!」

シュガーさんは私の腕をグイッと掴むと、店頭の鏡を指さした。

「まひろちゃん! あなた、今日の肌見せコーディネート……ちょっと攻めすぎなんじゃないのーっ!!?」

「えっ……!?」

「見てなさい! 今ちょうど、いかにも美容ガチ勢って感じのおっかない女性客が来たわ……! あの手のお客様をどう落とすか、この私が直接お手本を見せてあげるわよっ!!」

シュガーさんはフワリと優雅な足取りで、来店したばかりの女性客へと近づいていった。

「いらっしゃいませぇ〜♪ お肌の水分量、測ってみませんか?」

シュガーさんが声をかけたのは、鋭い眼光をしたいかにも美意識の高さそうな女性客だった。

女性客は腕を組み、冷たく言い放つ。

「……ちょっと何よ。私はね、成分表を見るのが趣味なの! SNSでバズった海外製の最新コスメは速攻で個人輸入! 美白とアンチエイジングのためなら、顔の皮が剥けようが赤くなろうが、多少の痛みなんて耐え抜く気概があるのよっ!こんな店頭で買うわけ無いでしょ!見てるだけよ!!」

(うーわ……! いきなりガチの猛者に突っ込んでいったわ、シュガーさん……!)

心の中で冷や汗を流す私を尻目に、シュガーさんは微塵も動じず、むしろ天使のような慈愛の笑みを浮かべた。

「まぁ……! 海外製の高濃度レチノール美容液ですの? それじゃあ、お肌の角層にダメージを受けちゃっていませんか?」

「ちょっとくらいピリピリ染みるくらいが、効いてる証拠なのよっ!?」

「いえ……それはお肌が『傷ついて悲鳴を上げている』証拠ですわお姉様」

シュガーさんは優しく、しかし有無を言わせぬ説得力で、その女性客をカウンターへとスルスル誘導した。

手際よくデモンストレーション用のテスターを取り出し、優しく肌になじませる。

「ほらっ……痛くないでしょ♪」

「……っ!? うそ、全然ヒリヒリしない……むしろモチモチして……」

「お肌は無理にいじめるものではなく、慈しむものですの。さぁ、一緒に優しく、優しくケアしてみましょう……♪」

「……っ。じゃあ……試しにこれ、買ってやるわよ! 値段も手頃だしね!!」

「ふふっ……おめでとうございます。これで明日からは『本物の卵肌』ですよ♪」

(なっ……なんだと……っ!?)

美容ガチ勢のプライド劇高ガチ客を、わずか数分で完全に骨抜きにし、さらに敏感肌用ブランドを即決で売り上げてしまった……! さすがは元・国民的アイドルのビューティースーパーバイザー、格が違いすぎる……!!

「……見た……いまの見たわね……?」

ゴクリと喉を鳴らし、私は自分の唾を飲み込んだ。

シュガーさんがスッと私の背後に回り込み、耳元で小悪魔のように囁いたの。

「そうよ、まひろちゃん! あなたに足りなかったのは『足し算』ではなく『引き算(薄さ)』よっ!! あのお勉強系男子(拓海さん)を落とすなら、過度な露出やスキンシップで攻めるのではなく、【ナチュメイク風の儚げな上目遣い】と【あえて触らない絶妙な距離感】で、相手の理性を袋叩きにするのよっ!!」

「な、なるほど……っ!」

「もっと薄くなりなさい! すっぴん風の卵肌で、純愛とドスケベを同時にぶち込む『ドスケベ突貫兵』になりなさいよぉーーーっ!!」

「は、ハァイッ!!!!!」

私はシュガーさんの教えを胸に刻み込み、目の前に並ぶ敏感肌用スキンケアブランド『資彩堂 デュエール』のディスプレイに手を伸ばした。

(うん……! 過度な巻き髪をやめてストレートにし、アイメイクも引き算して……よし、これならどうかしら……!)

後ろでシュガーさんが「よし……まひろ突撃兵、行ってこい……!」とサムズアップして送り出す。

私は深呼吸をひとつすると、イベント統括としてバックヤードから出てきたばかりの彼――陣内拓海に狙いを定め、ふんわりと近づいた。

「拓海さん♪ 今日は『デュエール』仕様の、ナチュラルなまひろちゃんです♪ ……どうです? どうですか……♡」

――攻めすぎないストレートヘア、透き通るような卵肌、そして潤んだ瞳で見上げる、これ以上ないほどの「素の可愛さ」のダイレクトアタック。

「ぐはっ……っ!!」

完璧すぎる引き算の破壊力に、俺――陣内拓海は頭が真っ白になり、その場で盛大に眩暈(めまい)を起こしてフラリとよろめいてしまったのだった。

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