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美人だらけのドラッグストアで胃薬が止まらない件  作者: 薬師寺 あかね


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美園太の秋模試と、理科大へのシフトチェンジ

ほのかに一目惚れして薬学部志望へと舵を切った男子高校生・美園太(みその ふとし)が再登場! 秋模試で怒涛の「薬学部オールA判定」を叩き出し、ほのかへの報告と血管年齢測定を通じて、涼香の母校でもある「東京理科大」を目指すことを決意する熱血&コミカルな成長劇と、それを見守り胃を回復させる陣内のほのぼのストーリーをお楽しみください!

俺――高校3年生の美園太(みその ふとし)は、足の向くまま『ドラッグラベール白鳥駅前店』へと向かっていた。

昨日の今日で不審者だと思われるかもしれない……だが! 俺にはあの【女神(白石ほのかさん)】にどうしても報告したい「最高の吉報」があったのだ!

ポケットの中にある、大手予備校の『秋の志望校判定模試結果』を握りしめる。

帝協大学 薬学部 → 【A判定】

帝協平成大学 薬学部 → 【A判定】

湘南薬科大学 薬学部 → 【A判定】

大日本薬科大学 薬学部 → 【A判定】

喜多里大学 薬学部 → 【A判定】

……となんと! 受験した全薬学部で神成績(オールA判定)を残してしまったのだ!!

予備校の担任からは「おい美園! この伸び率は異常だぞ! この勢いなら『桜星薬科大学』や、あの『東京理科学大学(薬学部)』まで狙えるぞ!」と大目玉を丸くして驚かれたほどだ。

不純な動機と言われても仕方がない。

だが、あの女神に店頭で出会って感染予防の指導を受けてからというもの、俺の脳細胞は覚醒し、勉強が楽しくて仕方がないのだ! 志望動機なんて「女神と同じ業界に行きたい」で十分じゃないか!

(……だが待てよ。たかだか2回会っただけの通りすがり高校生ファンが、いきなり模試の成績表を持って押し寄せてきたら相当キモいかもしれん……! だが、嬉しさと女神に会いたい一心で体が動いてしまう……!)

ドギマギしながら店内に足を踏み入れると、店頭では何やら大盛況のイベントが開催されていた。

『秋のからだリセット健康測定会』――。

案内板を見渡すと、【血管年齢測定ブース:白石ほのか】の文字が目に入った!

(あっ……! 女神の名前がある……! 俺はまだ高校生だし体も健康そのものだ……だが、足が勝手に動いてしまう! どうしたんだ俺の体! 足は『随意筋』のはずだろっ……! なぜ脳のコントロールが利かないーーーっ!?)

みるみるうちに血管年齢測定ブースへと近づいてしまう俺。

ふと前を見ると、ブースの椅子に座っていた女神(ほのかさん)が、ニコニコと天使のような笑顔でこちらを見つめていた!

ヤバい……! 緊張で頭が沸騰して蒸発しそうだ!!

「あ、あのっ……!!」

しまった……っ! 緊張のあまり、裏返ったキモい高音が出てしまった!

脳からは「冷静に低音で挨拶しろ」と命令を出したはずなのに!

「ん? あ! 受験生くん! ここ血管測定ブースだよ〜♪ もしかしてもしかして、私のこと見にきてくれたのかなぁ〜?」

ドッピーーーーッ!!(脳内麻薬が噴出する音)

どんだけ可愛いんだこの人はーーーーっ!!??

「あっ……あのっ、秋の模試が返ってきまして……!」

「おっ! 見せて見せて〜♪」

「はっ、はい……っ!」

おそるおそる手渡した成績表を覗き込んだほのかさんが、パッと花が咲いたような笑顔で瞳を輝かせた!

「わっ……! 全部A判定じゃん! スゴーイ!! 受験生くん、すごい努力家なんだね! これならもっと上を目指せるよ!」

「えっ……もっと上……ですか?」

「そうそう! あそこにいるウチの薬局長(涼香さん)は、あの超難関の東京理科学大学薬学部出身で本当にすごいのよ〜!」

ほのかさんが指さす方を見渡すと、骨密度測定ブースでボルドーのスクエアニットを着こなした、とんでもないクール系超絶美女(涼香さん)が、俺に向かって優しく手を振ってくれているではないか!!

(なっ……バグりすぎだろ、このドラッグストア……!!)

「え……り、理科大って、あの私立最強の慶旺に並ぶ超エリートの……!?」

「そうそう! 理科大目を目指してみなよ! 受験生くんなら絶対行けるよ!」

あの美貌で、理科大薬学部卒のエリートだと……!?

日本の薬学部は化け物かっ…!!

恐ろしくなりながらも、測定機に指を乗せて血管年齢と心拍数を測ってもらう。

「ありゃ……? 心拍数がすごく上がってるね……?」

(そりゃあんたらが二人して可愛すぎるからでしょうよ!!)

ブワッと手に尋常じゃない汗が吹き出す俺。

「ん〜、若いうちから塩分の摂りすぎには注意した方がいいかもね! 食事にはこの減塩タイプのお塩(カリウム負荷調整)がおすすめだよ〜♪」

「はっ……ハァイ!! 分かりました! 買っていきます! ありがとうございますっ!!」

減塩塩を手に取ってレジに向かう俺。

すると、骨密度ブースにいた超美人エリート薬局長が、再びフッと優しく微笑んで手を振ってくれた。

「フフッ……可愛い高校生ね……。受験勉強、頑張るのよ……♪」

バキューーーーンッ!!(胸を撃ち抜かれる音)

(父さんすまねぇ……帝協大も父さんのホームで素晴らしいが…俺は志望校を『東京理科学大学薬学部』にシフトチェンジするぜ……!!)

俺は減塩塩を大事に抱え、燃え上がる受験魂を胸にドラッグストアを後にするのだった。


【血管年齢ブース横・陣内拓海】

「……ふふっ。高校生くん、模試でオールA判定を取って理科大を目指すか! 若者の成長を見るのは、本当に微笑ましいなぁ」

一部始終を温かな目で見守っていた俺――陣内拓海は、実に晴れやかな表情で胸を撫で下ろしていた。

いつもなら過剰な恋愛バトルや悪魔の暴走で速攻で胃がクラッシュするところだったが、真面目な高校生の純粋な努力と、それを優しく応援するほのかちゃんと涼香さんの姿に、俺の胃袋はかつてないほど至極健やかに回復していたのだった。

(よし! 胃の調子もすこぶる良いぞ! この勢いで『秋のからだリセット健康測定会』を大成功させるぞーーーっ!)

去っていく美園太の後ろ姿に心の中でエールを送りながら、俺は元気に店舗の指揮を執り続けるのだった。

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