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美人だらけのドラッグストアで胃薬が止まらない件  作者: 薬師寺 あかね


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今世の楊貴妃と、北条政子の野望

イベント直前、数々の煩悩(ヒロインたち)の誘惑を断ち切るために「MiLK」の『ラブすぎて滅』を聴いていた陣内! まさかの音漏れから神崎葵の煽りが炸裂し、シュガーさんも巻き込んだ「今世の楊貴妃(世界の絶世の美女)争奪戦」が勃発。全員可愛すぎるヒロインたちの追撃に悶絶・卒倒する陣内と、最後は神崎葵の「北条政子宣言」で大爆笑に包まれるバックヤードのドタバタ劇をお楽しみください!

(あかん……! 今日も今日とて、まひろちゃん、涼香さん、ほのかちゃんという超ド級の煩悩たちに、また鼻の下を伸ばしまくってしまう気がする……っ!)

イベント開始直前の店舗事務所。

俺――陣内拓海は、自らの内に渦巻く邪念と戦っていた。

女性アイドルの曲なんて聴いてしまったら、ヒロインたちの顔がチラついて完全に頭がパニックを起こしてしまう。

(やはりこういう時は……男性人気グループであるMiLKの『ラブ過ぎて滅』でも聴きながら、作業効率とやる気を爆発的に高めるに限る……!)

俺はワイヤレスイヤホンを耳に装着し、MiLKのアップテンポでノリノリなリズムに没頭した。

――だが、俺は集中するあまり、バックヤードに【あの悪魔】が忍び寄ってきたことに全く気づいていなかったのだ。

不敵な笑みを浮かべた神崎葵統括課長が、ぬきあしさしあしで俺の背後に忍び寄る。

「あんた何聴いてんのよ〜ん♪」

「!!????」

ガバッ!! と跳ね起きる俺!

慌ててスマホを操作しようとした瞬間――焦った手元が滑り、イヤホンの接続が切れてスマホのスピーカーから大音量で曲が流れ出してしまった!

シャンシャンシャン♪(ノリノリなイントロ)

『今世に〜生まれ変わった〜♪ 牛若丸〜♪ 楊貴妃〜〜♪』

「「「「!!??????」」」」

事務所内に響き渡るMiLKのキャッチーなメロディ!

その歌詞を聞いた瞬間、居合わせたヒロイン3人が即座に猛反応した!

「チョッ……拓海さん!? 私との『二人だけの秘密』の曲をここで流すなんて〜〜っ!♡」(まひろ)

「いが〜い……っ! 拓海さん、MiLKが好きなんですね♪」(ほのか)

「おっ……覚えなきゃ……! 今日中に全曲プレイリストに入れて歌詞を丸暗記しますわ……!」(涼香)

そこへ、ノリノリの雰囲気を察知したシュガーさん(等々力環奈)までドアを開けて入ってきた。

「あら〜? なんだか楽しそうねぇ〜♪」

曲のフレーズをニヤニヤと反芻していた大悪魔・神崎葵が、突如として大声で叫び出した!

「ちょっと全員注目ーーーっ!! どうやら……歌詞の『牛若丸』とはコイツ(陣内)としてだ……! 今世に生まれ変わった『楊貴妃(絶世の美女)』とは、一体だれのことかしらねぇーーーっ!!」

「「「!!??????」」」

神崎葵の悪魔的な煽り一発で、事務所の空気が一変した。

「我こそが拓海さんにとっての今世の楊貴妃だ!」と言わんばかりに、3人のヒロインによるバチバチの睨み合いが勃発!

シュガーさんも面白がって目を輝かせ、煽りに参戦してくる!

「さぁさぁさぁ! 『可愛すぎてダメですか』で有名なあの大人気アイドル激似のまひろちゃん!」

「ふふんっ♪」(まひろ)

「女優の美月ちゃん激似のクールビューティー涼香ちゃん!」

「私ですわ……っ!」(涼香)

「そして女優の遥ちゃん激似の可憐な白衣の天使ほのかちゃん!」

「負けませんっ!」(ほのか)

シュガーさんは楽しそうに手を叩いた!

「この中で……一体誰が拓海さんにとっての『今世の楊貴妃』なのかしらぁ〜〜♪」

(くっ……! 心頭滅却……心頭滅却……っ! 美人すぎて俺が本気で困っていることに、誰も気づいていないのか……っ!? 胃が痛い……! 選べるわけがない……! 全員可愛すぎるんだよ……! どうにかなりそうだ!!)

3人が一歩踏み出し、俺を詰め寄ってくる!

「「「拓海さん(先輩)! 一体誰なんですかっ!!??」」」

「うっ……! な、なぜ俺をみんなで責めるんだ……っ! ぐっ……全員……全員可愛すぎるんだよバカヤローーッ!! めっ……目眩が……っ!!」

あまりの眼福と甘すぎる圧力に耐えきれず、俺は頭を押さえてその場にフラリと倒れ込んだ!

「「「やったぁっ♪♪(大歓喜)」」」

「全員可愛い」という最高の免罪符(?)を手に入れた3人は、顔を輝かせてガッツポーズ!

そんなカオスな光景を見つめながら、シュガーさんはニヤニヤと神崎葵に向き直った。

「しかし意外ねぇ〜葵ちゃん♪ 『貴様らなんぞ楊貴妃じゃねー!! 今世の楊貴妃は私だオラァ!!』とか言い出すかと思ったじゃないの〜♪」

葵課長はフッ……と鼻で笑い、腕を組んで不敵に言い放った!

「ふっ……甘いわね環奈! 私はトップ(てっぺん)を取る女……! 私は『北条政子』だぁぁぁーーーっ!!」

それを聞いたシュガーさんは、お腹を抱えて大爆笑した!

「あははははっ! じゃあ旦那の誠さん死んじゃうじゃないのよ(笑)!!」

「なっ……なん……だと……!? 誠が……死ぬ……!?」

自分の歴史ボケ(尼将軍=夫の死後)の猛烈な裏目に出た事実に気づき、一瞬で顔面蒼白になる神崎葵!

「「「ハハハハハハッ!!」」」

事務所(バックヤード)内は大爆破のような大爆笑に包まれたのだった。

【調剤室の隅】

「葵課長……歴史の勉強が足りてなさすぎるだろ……」

ドタバタ劇の裏で、俺――陣内拓海だけが一人、激痛に歪む胃袋を押さえて蹲っていた。

全員可愛すぎるヒロインたちの愛のプレッシャーと、MiLKの音漏れ事件、そして葵課長の暴走。

(あ、あかん……! 測定会が始まる前から……俺の胃袋だけが完全にクラッシュしとるーーーっ!!)

俺はダラダラと冷や汗を流しながら、ポケットから取り出した『ラベール胃腸薬プレミアム』を一気に二袋丸ごと喉奥へ流し込み、来るべき「秋のからだリセット健康測定会」の本番に向けて必死に体勢を整えるのだった。

「少しでも『面白かった!』『続きが気になる!』と思ってくださったら、下部の【★で評価する】や【ブックマーク】を押していただけると執筆の大きな励みになります!」

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