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美人だらけのドラッグストアで胃薬が止まらない件  作者: 薬師寺 あかね


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打倒生駒作戦と、白鳥駅前店クワルテット

私立薬系最強・慶旺大学の優秀卒であり、入社試験トップ(新人生徒代表宣誓)という本物の実力を誇る強敵・生駒遼! 座学での圧倒的不利を覆すべく、結衣やあげはも巻き込んで「症例報告(がん化学療法等の高度臨床)」による逆転勝利作戦が浮上。陣内(拓海)への愛と尊厳のためにメラメラと燃え上がる『打倒生駒作戦』をお楽しみください!

白鳥駅前店の調剤室で始まった、緊急対策会議――題して『打倒生駒作戦』。

秋のオータム新人研修は、単なる筆記試験だけではない。

【座学テスト】【症例報告】【店舗実績評価】の3要素を含めた「総合評価」でトップを獲らなければ、あの生駒遼(いこま りょう)には到底勝てないのだ!

生駒はただ家柄を鼻にかけ、口だけの御曹司では決してない。

大学は私立薬系最強と言ってよい慶旺大学薬学部。しかも学内でも常にトップクラスの優秀な成績を収めていた男だ。

春の合同入社式では、新入社員の代表宣誓にも選ばれていた。

代表宣誓に選ばれたということは、入社試験の総合スコアが全内定者の中で最優秀だったのは紛れもない事実なのだ!

分厚い研修テキストを前に、小寺結衣が頭を抱えて悲鳴を上げた。

「ちょ……ほのかちゃん……! 流石に生駒くんは強すぎるよ……! 相手が悪すぎるってばぁーっ!」

氷室涼香も腕を組み、険しい表情で頷く。

「確かに……座学テスト単体でのアドバンテージは彼にあるわね。慶旺のトップ層なら基礎薬学の知識は完璧でしょうから。いかに座学での差を最小限に縮めるかが課題だわ……」

実習生のあげはが、長い爪でテキストをパラパラとめくりながら溜息をつく。

「卒業して国家試験終わって、いきなりこんな辞書みたいに分厚い研修テキスト渡されたら気が参るっしょ〜!」

「あら? ドラッグラベールでのスキルアップを諦めるのかしら、涼宮さん?」涼香がニヤリと見つめる。

「そ、そうは言ってねーしょ!」あげはが必死に口を尖らせる。

結衣が自分のデスクのテキストを指差しながら、困惑顔でほのかに訴えた。

「でも私も新人研修の対象だから見たけど、これ本当に凄い勉強量だよ!? 毎日の調剤業務や店舗の接客をしながらコレを全部暗記するなんて……!」

「それはそうよ!」涼香が胸を張る。「我がドラッグラベールグループは、地域に根差した『高度専門医療機能薬局』の認定を目指しているのだから、教育レベルが高いのは当然ですわ!」

「くっ……辛すぎる……っ!」

激務と猛勉強の壁に、ほのかが思わず机に突っ伏しかけた。

その時――あげはがポンッと手を叩いた!

「あっ! 良いこと思いついたっしょ! 【症例報告】っしょ!!」

「えっ……症例報告?」ほのかが顔を上げる。

結衣が首を傾げて補足する。

「でも症例報告って、配属された店舗(門前クリニックの科目など)によっては高度な症例が出せない子もいるから、今回の研修では『任意提出』なんだよ? 配点ウェートの一番大きいメインは座学なんだから……座学で慶旺トップに勝つなんて無理だよぅ、ほのかちゃん! 普通にお誘いを断るだけでいいじゃない! 生駒くん、どう見ても女性に困るような顔立ちじゃないんだから!」

「……いいえ! 絶対に負けたくないの!!」

ほのかが瞳に強い炎を灯すと、涼香が「待ちなさい……!」と目を見開いた。

「いや……意外に良い着眼点かもね、涼宮さん! ここ(白鳥駅前店)には、外来がん化学療法や認知症、糖尿病など高度な専門医療の処方箋がたくさん舞い込んでいるわ! そして太正製薬と言えば、栄養ドリンクやOTC物販がメインの企業……! 経営側の御曹司である彼(生駒)は、泥臭い臨床現場での専門的なフォローアップには走らないはずよ! 出し抜けるとすれば……そこ(高度症例報告)だわ! ナイスよ、涼宮さん!!」

「フフン! っしょ!!」と自慢げに胸を張るあげは。

一連のあまりの熱量に呆気にとられていた結衣が、おそるおそる二人に尋ねた。

「あのさぁ……どうしてそんなに生駒君にこだわるのー? ほのかちゃんも、薬局長まで……!」

問いかけられたほのかと涼香は、示し合わせたかのように同時にガッと拳を握りしめ、ハッキリとハモった!

「「拓海さん(先輩)をディスったから!!!!!」」

「「((……ひぇっ……!!))」」

その凄まじすぎる殺気と情熱に、結衣とあげはの二人はただただ唖然として引きつった笑顔を浮かべるのだった……!

【その頃、エリアマネージャーデスクの陣内拓海】

「……はっくしょんっ!!」

店舗の事務所でパソコンに向かっていた俺――陣内拓海は、本日二度目の派手なくしゃみをぶちかました。

(……おかしいな。やっぱり風邪だろうか? なんだか調剤室の方から、凄まじい熱気と『絶対に生駒を潰す』みたいな怨念にも似たプレッシャーを感じるんだが……)

まさか自分が生駒に「ただのドラッグストアの課長格」と煽られたことで、白鳥駅前店の女性スタッフ全員(涼香・ほのか・結衣・あげは)が団結し、高度な症例報告(がん化学療法やFTU指導)を武器にした『打倒生駒・超スパルタ勉強会』が始まろうとしているなど、知る由もない。

俺は首をかしげながら、ポケットの中の『ラベール胃腸薬プレミアム』の袋を優しく撫で下ろし、静かに業務に戻るのだった。

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