ビューティースーパーバイザーシュガーさん
等々力ブロック長の愛妻にして、元人気アイドル&新任ビューティースーパーバイザーの「シュガーさん(等々力環奈)」が勉強会会場に降臨! まひろの「小悪魔ボディタッチ戦略」を「うぶな堅物男子には大警戒されるだけ」と一蹴し、等々力ルートを攻略した生粋の勝者として【フリッカージャブ(弱み見せ・オタク趣味リサーチ・二人だけの秘密作り)】の誠実テクニックを伝授する重要エピソードをお楽しみください
東京都府中市で開催された『化粧品・カウンセリング合同勉強会』。
研修会場に入ると、後方の席に一人だけ異彩を放つ光をまとったイケメン(陣内拓海)が真剣な表情で資料を開いていた。
私は可愛く手を振りながら会場に入る。
周りの各エリアの店長やエリア長たちが「あの子、超可愛くない!?」とザワつきだす。
(フッフッフ……! 流石エブリデイ可愛い有栖川まひろ!! 興味もない人を勝手に好きにさせてしまうなんて……私ったらなんて罪な女なのかしらーッ!! まぁ良いわ! 勉強会が終わり次第、府中サントゥリーのビール工場で拓海さんを恋の沼に叩き落としてやるんだから!!)
ルンルン気分で指定された自分の席に着くと、周りの受講者たちが急にヒソヒソと大きくざわつき始めた。
(ん……? なんで急にこんなにざわついたのかしら……?)
ふと横を見ると、そこには私とあげはちゃんを足して2で割ったような、圧倒的な存在感を放つグラマラスなおっぱいを誇る超絶美女がでかでかと座っていた……!
その美女は、じーっと私の顔を見つめてくる。
そして、あろうことか私のおっぱいをツンツンと指で突っついてきたではないか!
「ふー……可愛い……♪」
「あっ……あのう……? やめてもらえます?」
「嫌よ〜ん♪」
「なっ……なんですか急に!?」
「あなた……有栖川まひろちゃんね……? ふふ、このおっぱいで分かるわ……男の人にくっつき慣れてるわね……?」
「なっ!!?」
「相手は……陣内君よね〜?」
「えっ……えっ!?」
まひろが目を丸くして狼狽していると、その美女は意味深な笑みを浮かべて顔を近づけてきた。
「あなた……このままだと負けちゃうわよ?」
「どういうことよ!?」
「私が……隆弘ちゃん(等々力ブロック長)を落とした方法、教えてあげましょうか?」
「隆弘ちゃん……? えっ! もしかして……シュガーさん!?」
「御名答〜♪」
なんと、彼女こそが等々力ブロック長をワンパンKOで仕留めた伝説の元アイドル・佐藤環奈――改め等々力環奈だったのだ!
「私は隆弘ちゃんのパワーもあるけど、今年から本部の『ビューティースーパーバイザー』にもなったのよ〜。あなたね……このまま安直な小悪魔アピールを続けてたら……あのドスケベ薬局長(涼香)に負けちゃうわぁ……ふふふ」
「なっ……!」
「あぁいう普段お堅いタイプはね……あなたが思ってる倍はエロいのよ!! お姉さんにお話ししてみなさいよぉー!!」(ぐわぁ!!)
「!!?」
シュガーさんはニヤリと小悪魔以上の妖艶な笑みを浮かべた。
「あのね……葵ちゃん(神崎課長)から少し聞いたかもしれないけれど、私はジャブで隆弘ちゃんをワンパンさせたの」
「えっ……ええ……」
「陣内君って……薬学部をトップで卒業したんでしょ〜? 隆弘ちゃんにそっくりだわぁ……。あの手のうぶな勉強おばけ男子はねぇ……下心が見えるボディタッチなんてどストレートを打つとね……身を翻して大警戒するわぁ」
「!!」
(ず……図星だわ……! 確かに拓海さん、私が前かがみになったり手を触ると、露骨に目を逸らして胃薬飲んで大警戒してる……!)
「だからね……ジャブなのよ……」
シュガーさんは細い指を立てて、戦術を説き始めた。
「葵ちゃんの旦那さん(誠さん)は少し女性慣れしてたから、葵ちゃんみたいなグイグイストレート乱発でも落ちたけど……うぶ男子にそれはダメよ? フリッカージャブよ……細かく……そして、絶対に躱されない攻撃をしなさい?」
「ど……どうすればいいのよ……!」
「まずね、何故あのドスケベ薬局長に負けているのか考えなさい……。あの完璧主義が人前で取り乱して『私が彼女だもぉーん!』なんて騒いだでしょう? 今、ヤツ(陣内君)の頭の中は薬局長のことで一杯よ……スケベなこと考えてるわ……」
言葉を失う不憫なまひろに、シュガーさんは直伝の「堅物男子攻略ロジック」を伝授し始めた。
【シュガーさん直伝:堅物うぶ男子攻略の極意】
スキを見せて『ミスれ』!
堅物な人は「自分が批判されること」や「失敗すること」を恐れているわ…。あなた自身が少し抜けたところや失敗談をユーモア交えて話すことで、「この人の前なら弱みを見せても大丈夫だ」と安心させやすくなるの!
プライベートな『オタク趣味』を掘り起こせ!
小さな相談事を持ちかけるか、彼が好きな趣味やプライベートな話題を振ってみなさい。公私の線引きがしっかりしている人ほど、自分から趣味の話などを返してくれる……意外とオタクな一面があるはずよ♪
『二人だけの秘密』を作れ!
今回の府中デートで……二人が他のヒロイン(涼香やほのか)に言えないような『二人だけの秘密』を共有するのよ! 酔った勢いでのアプローチは絶対ダメ!
「いい? 酔った勢いや大暴走はね……普段から勉強おばけのスケベ薬局長がやるからギャップで効くのよ! 私たちみたいなタイプが同じことをやっても無理……!」
シュガーさんはまひろの肩をキュッと抱き寄せた。
「私たちは……誠実な路線で行くのよ……♪」
「……っ!!」
流石は大悪魔・神崎葵の同期であり親友。
修羅場と恋愛の戦場をくぐり抜けてきた「年季の違い」が、そこには圧倒的な説得力として存在していた。
講義が始まっても、シュガーさんから伝授された秘術の衝撃があまりにも凄まじすぎて、まひろは大好きなコスメの勉強会だというのに、頭が真っ白になって訳が分からなくなってしまうのだった。
【会場後方の席・陣内拓海】
「……ん? なんだかまひろちゃん、ビューティースーパーバイザー(スカーフの色でわかる)と凄く熱心に話してるな……流石準優勝者…あんな上の方と議論できるなんて…素晴らしいぞ!!」
真面目にノートを取っていた俺――陣内拓海は、前方のまひろの様子に納得する。
まさかその隣の美女が、等々力ブロック長の愛妻・シュガーさんであり、自分を落とすための「対・陣内用フリッカージャブ作戦」が伝授されているなど知る由もない。
(……ふぅ、今日はお腹の調子も悪くないし、このまま静かに勉強会を終えてビール工場見学へ行けそう……)
俺は胸を撫で下ろし、静かにボールペンを走らせるのだった。
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