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美人だらけのドラッグストアで胃薬が止まらない件  作者: 薬師寺 あかね


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小悪魔の分析と、等々力ルートの真相

薬局長(涼香)の「私が彼女だもん!」という爆弾告白に慄きつつも、親友・相澤玲奈とのやり取りから「薬局長は恋愛免疫ゼロの等々力ルート(ガチ恋ワンパンK.O.)だ!」と分析した有栖川まひろ! ミニスカ前かがみアタックで陣内を動揺させ、自信を取り戻すまひろと、胃薬の倍プッシュで上限に達し脳内処理がパンクする陣内のワンシーン

私、有栖川まひろは慄いていた。

あの氷室薬局長の、あまりにも常軌を逸した暴挙に――。

(『私が彼女だもん!』……だと……っ!? くっ……! まさかあの完璧主義の薬局長が、あんな『見た目とのギャップ萌え』という最強のカードを切ってくるなんて思わなかったわ……!)

ふとリビングを見ると、当の薬局長は拓海さんの綿毛布にすっぽりと包まり、「拓海さんの匂い……♡」と顔をトロンとさせてニコニコと微笑んでいる。

(くそっ……! 悔しいけど、悔しいけど可愛すぎるじゃないのよーーーっ!!)

さっきパニックになって、親友の相澤玲奈(れいな)にLINEで救援を求めたけれど、玲奈からの分析を読んで私の中でかなり合点が言っていた。

何を隠そう、私は自他ともに認める超絶美少女だ。これまで人生でずっと男の人たちからチヤホヤされて生きてきた。

本気の恋は拓海さんが初めてだったけれど、「男扱い」のノウハウは身に染み込んでいる。おそらく隣で出汁巻き卵を焼いているほのかちゃんだって、男受け抜群の人生を送ってきたはずだ。

けれど、玲奈の分析はこうだった。

『薬局長さんって、昔から勉強一筋+意味不明レベルに綺麗すぎる+調剤ミスゼロの完璧主義+近寄りがたいオーラで、絶対に男に免疫ゼロの「恋愛初心者」でしょ!』

(……間違いないわ! 昼間に聞いたあの偉い人(等々力ブロック長)の女版よ! 奧さんのシュガーちゃん(環奈さん)のワンパンで一発KOされたっていう、あのパターンそのものじゃない!!)

ガチ恋になった薬局長には、同じ女として敬意を表さねばなるまい。

あんな人前で恥ずかしげもなくバグり散らかしたのだ。明日から職場でどんな顔をして「氷室薬局長」をやるつもりなのか……。

まあ、仕事となればミスゼロの鉄仮面に戻るのかもしれないけれど、好きすぎるあまり以前のテスト(※ヘルスマスター試験)でも拓海さんのことばかりジロジロ見て、絶対心拍数上がりっぱなしだったはずだわ!

(とにかく……凄まじい脅威だわ! 私の小悪魔アタックより、よっぽど拓海さんに効いちゃってるじゃないの……!)

……はっ? 待てよ……?

等々力ブロック長は、シュガーちゃんのジャブ一発でKOされたのよね?

あんな人前で「青春ビックリ爆弾告白」をぶちかまされたのに、今、自分のアパートで目のやり場に困って挙動不審になっているこの男――陣内拓海。

……この男も、実は薬局長の爆弾ダメージを食らいすぎて、すでにメロメロ状態に追い込まれているのではないかしら!?

ふと視線を感じて横を見ると、ソファの端で妹の有珠ちゃんがニヤニヤしながらこちらを見ていた。

(なんだあの面白そうな目は……! 『誰が私のsister(義理の姉か妹)になるのかしら♪』って品定めしてる目ね!? おもしれぇ……! 私には来週の『サントゥリー武蔵野ブルワリービール工場見学ご褒美デート』が控えているのよ!!)

キッチンのほのかちゃんは、相変わらず胃に優しい料理でアピールする良妻賢母系だ。

でもね! 男なんてどんなに上品ぶってても、根っこはジャンクなものが大好きなのよ!!

私は料理なんて全然できないけれど、玲奈の彼氏だって『ただ肉焼いてタレかけただけ』の料理もどきで大喜びしてたんだから!

(……ん? 拓海さん、さっきから私のミニスカ脚をチラチラ見てない……?)

やはり……! 拓海さん、私に惚れているわ!?

よし、試してやるっ!

私はキッチンのカウンター越しに、少しだけ上半身を【前かがみ】にしてみた。胸元とミニスカの絶対領域が強調される、プロ計算の小悪魔アングル!

ピクッ……! と拓海さんの肩が跳ね上がり、顔を真っ赤にして勢いよく目を逸らした!

(はっ……目を逸らしたわ!! やっぱりそうだ! コイツ、等々力ルート確定だーーーーッ!!)

自信を取り戻すのよ、有栖川まひろ!

薬局長の思考回路がショートしてポヤポヤになっている隙に、一気に捲くし立てて落としてやるんだから!!

【その頃、陣内拓海】

(あ、あかん……! もう脳内の処理が……情報過多で処理が追いつかん……っ!!)

自室の真ん中で、俺(陣内拓海)の脳内CPUは完全に熱暴走を起こしていた。

自分自身、これまで薬学の勉強とエリアマネージャーの業務一筋で生きてきた人間だ。実際、性質としては等々力ブロック長に限りなく近い。

そこへ来て、昼間の涼香さんの涙目「私が彼女だもん!」という直球過ぎる爆弾。

さらに今、目の前でまひろちゃんが挑発的に少し前かがみになり、眩しすぎる谷間と太もものラインをチラつかせてきたのだから、パニックにならない方が無理というものだ!

(刺激が……刺激が強すぎる!! どこを見ても毒だらけだ!!)

しかし、俺はすでにさっきトイレとキッチンで『ラベール胃腸薬プレミアム』を【倍プッシュ(規定量の倍)】で流し込んだばかり。

これ以上の連続服用は、薬剤師としてのプライドと倫理観が許さない!

(胃薬が……これ以上胃薬が飲めねぇぇぇーーーーッ!!)

逃げ場の失われた我が家で、俺はパンク寸前の頭と激痛を上げる胃袋を抱え、ただただ全ヒロインからの甘すぎる情熱と刺激に耐え続けるしかなかったのだった。

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