くノ一葵ちゃんの暗躍と、悪魔のフェイクニュース
忍者のごとく忍び戻った大悪魔・神崎葵統括課長が、等々力ブロック長に見つかり愛妻家ネタ(同期のアイドル・シュガーちゃんこと環奈さん)で自爆&ブロック長を現場に巻き込む暴走劇! さらに「陣内が有珠(妹)とデート」という事実を悪魔的フェイクでヒロイン3人に吹き込み、血相を変えて昼上がりさせた大悪魔の真骨頂をお楽しみください!
コソコソ……。
「私はくノ一葵ちゃん……フッフッフ、等々力ブロック長はもう帰ったかしら……? 無駄にデカい男だからすぐに分かるわ! 私の『絶』を舐めないで頂戴!!」
調剤室の裏口から恐る恐る足音を殺して近づく神崎葵統括課長。
姿がないことを確認すると、一気にドヤ顔を浮かべた。
「フッ……居ないわ! チョロ〜い! さすが私……!」
そこへ、調剤室から涼香が歩み出てきた。
そろり、そろり……バーン!
「葵ちゃんでーす!!」
「わっ……!? 課長! もっと静かに出てこられないんですか!!」
「フフン! 等々力ブロック長は帰ったかしら?」
涼香の視線の先――調剤室の柱の陰には、まだガッツリと等々力ブロック長が潜んでおり、涼香に向けて「黙っておけ」と合図を送っていた。
「い、居ませんけれど……」
「なら良いわ! 何か言ってた?」
「神崎課長はすごいって褒めてらっしゃいましたよ」
「当然よ! 彼に無いものはだいたい私が持ってるわ! 企画力! 破天荒! 美人使いマスター! フハハ!」
「神崎課長もお勉強は得意じゃないんですか?」
「やれば出来るわ! でもやりたくないもの!!(ドーン!)」
(自慢することじゃない……)と涼香が呆れていると、神崎課長は勝手に関心を進めていく。
「いや〜残念だな〜、葵ちゃんも等々力先生の武勇伝を聞きたかったなぁ〜」
「ご存知ですよね……?」
「そうよ! ああいう超エリートちゃんは、意外と女の子にやられるのも知ってるわ!」
「えっ……奥様はどんな方なんですか?」
「フハハ! 驚くなかれ! 有栖川ちゃんとあげはちゃんを足して2で割ったような子よ! ちょろかったわ〜一発よ一発! バッキューン!!」
(はわわわわ……等々力先生の顔が陰で真っ赤になってらっしゃるわ!!)
「ど、どういうことですか……?」
「葵ちゃんの同期のアイドルちゃんよ! 佐藤環奈ちゃん! 今は等々力環奈ちゃんだね(笑)。可愛すぎてね、みんなから『シュガーちゃん』とか呼ばれてたのよ! 砂糖だけにね! でねでね〜、そのシュガーちゃんが、エリート街道まっしぐらの等々力ブロック長に猛烈アタック……もしないね! ジャブよジャブで一発KO! 勉強ばっかの堅物にいきなり女神降臨みたいな? 私には『化粧が濃いぞ!』とかガミガミ言っておいてさ〜、シュガーちゃんもバッチリメイクで当時一番可愛かっ……え……?」
ぬっと柱の陰から現れた影。
「神崎……貴様……」
「はわわわわ……っ!? ブ、ブロック長!? いつからそこに……っ!?」
「最初からだ……」
「ちょっとヤダ……冗談ですよ……っ!」
汗を滝のように流す神崎課長に、等々力ブロック長は重厚な声で言い放った。
「神崎……ひとつ誤解をしているようだな」
「なっ……何が……」
「『当時一番可愛かった』と言いたかったのか?」
「いやいやいや……あの……」
「『今も一番可愛い』の誤りだ……直せ!!」
「はぁ!? そりゃブロック長の主観でしょー!!」
「煩い! 直せ!!」
(……何の時間なの、この会話……?)と涼香が遠い目になる。
「はいはい! シュガーちゃんが今も一番可愛い! ……って、はっ!? ブロック長、これからお暇?」
「特に予定は無いが……」
「じゃあ手伝って♪」
「なぜだ」
パンパンッ! と神崎課長が豪快に手を叩いた。
「はいはいはい! 全員お集まり〜っ!! 今日は等々力ブロック長が店舗を手伝ってくれます! 涼香ちゃん、まひろちゃん、ほのかちゃん! 三人は昼上がりで帰って良いわよ!!」
「なっ……!? いきなりなんだ!」と驚く等々力ブロック長。
「はー? ブロック長? 白鳥駅前店の現場、一人じゃ自信ないの〜?」
「はぁ!? できらぁ!!」
挑発に乗る等々力ブロック長を横目に、神崎課長はヒロイン3人に向かって悪魔の笑みを浮かべた。
「ちなみに〜、今日の拓海くんだけどさー……『有珠ちゃん』とデートしてるわよ〜?」
「「「!!??????」」」
「ハッハッハ! 3人とも……気になるか! え!?」
「「「ど、どういうことなんですかーーーっ!!???」」」
「葵ちゃんリサーチで、特別に行き先を教えてやろう!見てくるが良いわ!!」
ざわ……っ! 血相を変えた涼香、まひろ、ほのかの3人は、神崎課長からメモを受け取るやいなや、突風のように着替えて昼上がりで飛び出していった!
取り残されたのは、結衣、あげは、等々力ブロック長、そして神崎課長の4人。
「はーい! じゃあ4人で現場頑張るわよ! 今日は近隣の腎臓内科クリニックが休診日だから、処方箋も少なくて余裕よ!!」
あ然としていたあげはが、おそるおそる尋ねた。
「えっ……あの……葵課長……エリア長って彼女いたんすか……?」
「ハッハッハ! 居ないわ!!」
「えっ? じゃあ誰なんですか、有珠ちゃんって?」と結衣。
「拓海くんの妹よ?」
「えっ!?」
「私、嘘ついてないもん! 『有珠ちゃんとデート』としか言ってないじゃない♪」
「人が悪いぞ、神崎……!」等々力ブロック長も呆れ果てる。
「ふっ……あの子らは私の手の中なのよ!! どう反応するか楽しみ〜♪ あとで有珠ちゃんに『なんか変な3人組来なかった?』って聞いてみよっとー!」
大悪魔(神崎葵)の底知れないフェイクニュースと腹黒さに、残された結衣とあげは、そして等々力ブロック長までもがゾッと背筋を凍らせるのだった……。
【その頃、市内のカフェ】
「お兄ちゃん、最近忙しいって言ってたから心配したよー!」
「ははは、有珠。遊びに来てくれてありがとうな」
楽しいパフェタイムが始まる…?
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