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美人だらけのドラッグストアで胃薬が止まらない件  作者: 薬師寺 あかね


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恋のウイルスと、受験生の進路選択

受験生の美園太(18)が、風邪予防と「恋泥棒ウイルス」対策(?)で来店! ほのかの可憐すぎる声援と的確な進路アドバイス(薬学部の魅力と多様なキャリア選択肢)に胸を撃ち抜かれ、帝協大学薬学部への進学を決意する心温まる(胃薬要らずの)エピソード

俺は美園太(みその ふとし)、18歳! 絶賛受験シーズン真っ只中の高校3年生だ。

学校の先生や塾からは「親と同じ帝協大学を目指すのが手堅いぞ」と言われており、実際の判定も悪くない。

両親が共に帝協大学出身ということもあって、家柄的にも親しみがある大学だ。

医学部はさすがに高嶺の花だが……薬学部、理工学部、そして医療技術・臨床検査系の学科は十分に合格圏内!

幸い、両親も「太の好きな学部に行けばいいよ!」と背中を押してくれており、俺の受験ロードはすこぶる順調だぜ!

……だが、「今から本当にやりたいことを見つけろ!」と言われてもなぁ。

どの学部に行ってもそれなりに楽しそうだし、決定打に欠けるんだよな……。

そんなことを考えながら駅前を歩いていると、やたらと華やかで可愛い装飾のドラッグストア『ドラッグラベール白鳥駅前店』の前に到着した。

受験直前のこの大事な時期に、風邪やインフルエンザにかかっては元も子もない。

看板を見ると『秋冬の風邪・乾燥対策キャンペーン開催中!』とある。……なんだか仮装したスタッフがいるようだが、俺は純粋に風邪対策のために入店するのだ! けして思春期特有のやましい気持ちなどではない!

言い聞かせながら自動ドアをくぐった、その瞬間――。

「はっ……はうあっ……!?」

俺の視界に、とんでもない光景が飛び込んできた。

医薬品売り場で、控えめな黒猫耳を頭に乗せた、めちゃくちゃゲキカワな白衣の薬剤師さん(ほのか)が、お客様に笑顔で風邪予防の解説をしているではないか……!?

(か……可憐すぎる……! なんだあの透明感と包容力は……っ!)

呆然と立ち尽くしていると、そのゲキカワ薬剤師さんが俺の存在に気づき、トコトコと歩み寄ってきた!

「あ、お兄さん! 学生さん?」

「はっ……はハイっ! 俺っすか!?」

(そりゃ制服着てるんだから俺しかいないだろ、俺のバカ!)

「ふふっ、今何年生?」

可憐すぎるお姉さんが、目尻をキュッと下げて優しく話しかけてくる。近すぎる! 甘い香りが鼻腔をくすぐる!

「こっ……高3っす!!」

「そっか、受験生だね! 大変な時期だけど頑張ってね! これね、今お店のキャンペーンで無料配布してる風邪予防のハンドジェルと除菌シート! ぜひ使ってね♪ インフルエンザのワクチンはもう受けた? コロナワクチンは?」

「はっ……ハイっ……! 2つともバッチリ受けましたっす!」

「偉いっ! バッチリだね♪ 体調管理をしっかりして、受験頑張らないとね!」

「おっ……俺、帝協大学を目指してて……でも、臨床検査の学科と……理工学部と……薬学部でどれにするか迷ってて……」

緊張のあまり、見知らぬお姉さんに思わず進路の悩みを吐露してしまう俺。

するとお姉さんは、ぱぁっと花が咲くような明るい笑顔を浮かべた。

「ふふっ、自分の将来のために一生懸命頑張ってる学生さんって、すごくカッコいいよ! 帝協大、とっても素敵な大学だよね! オープンキャンパスには行ってみたの?」

「っす! 夏に行きました! 実は両親がふたりとも帝協大学の出身でして……!」

「そうなんだ! ご両親の母校を目指すなんて素敵だなぁ♪ 大学選びはね、将来の就職先とか、どんな勉強をするかをしっかり比較するのが大事だよ。……まー、お姉さんは薬剤師だから、やっぱり『薬学部』が一押しかなっ! 薬学部は確かに勉強も実習もすっごく大変だけど……将来なれる職業の幅がとっても広いの! 病院や薬局だけじゃなくて、製薬企業の研究職、行政の麻薬取締官、学校によっては衛生や理科の教員免許が取れたりもするんだよ♪ ぜひ調べてみてね!」

「っす……! ありがとう御座いますっ!!」

丁寧で温かいアドバイスと応援の言葉に、胸が熱くなった。

俺はドギマギと胸を躍らせながら、店を後にした。

……完全に「恋のウイルス」に重症感染してしまったが、後悔は微塵もない!

(ふっ……薬学部か……すごくいい響きだ! どうやら勉強はめちゃくちゃ大変らしいが……頑張って合格してやるぜ! あんなに可愛くて優しいお姉さんみたいな先輩が、大学や職場にたくさんいるのかもしれないしな……!)

俺の心は決まった。

新しいファン(美園太)は、帝協大学薬学部への合格を第一志望に誓うのだった。

【調剤室の陰】

「ふふっ、ほのかちゃんの進路アドバイス、完璧だったね! 薬学部のキャリアの多様性(病院・薬局・企業・行政・教員)を分かりやすく伝えて、受験生のモチベーションを最高に引き出すなんて……素晴らしいよ!」

陰で見守っていた俺――陣内拓海は、ほのかの成長と心温まる接客に目を細めていた。

「はいっ! 先輩! 受験生の方の不安を少しでも和らげてあげられたなら嬉しいです♪」

ほのかは照れくさそうに、けれど満足そうに微笑んだ。

激甘なおねだり合戦とは一転、未来ある若者を温かく見送る平和で穏やかな調剤室の空気。

(……うん、今日はずっとこんな風に穏やかな時間が続くといいな)

ほのぼのとした会話と受験生の爽やかな決意に包まれ、俺の胃袋は何のプレッシャーも受けることなく至極平和であった。

今日は珍しく俺が胃薬を飲む必要はなかったのである

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