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美人だらけのドラッグストアで胃薬が止まらない件  作者: 薬師寺 あかね


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痛風の結城さんと、朝までフィットの奇跡

女優・美月ちゃんの大ファンであり、恐妻家の痛風持ち・結城透(30)が来店! 痛風発作の違和感に耐えながら調剤と物販を駆け抜け、まひろの「マジカルステッキ魔法」と涼香(リアル美月ちゃん)の神対応に大歓喜して去っていくドタバタ劇をお楽しみください!

俺は結城透(30)。

知る人ぞ知る、女優・美月ちゃんの大・大・大ファンだ!

あの異常なまでの可愛らしさと甘い声を聞くだけで、俺はどうにかなりそうなのだ。

……まあ、以前部屋に飾っていた美月ちゃんのポスターを、嫉妬した妻が発狂しながら全て粉砕・クラッシュした時は流石に生きた心地がしなかったが……まあ、それも仕方あるまい。俺は根っからの恐妻家なのだ。

妻は少し生理が重い体質で、俺が定期的に夜用生理用品『朝までフィット』を買いに来るのが日課となっている。

しかも、この『ドラッグラベール白鳥駅前店』は俺にとっての聖地だ。

合法的に美月ちゃんの等身大ボードを拝めるだけでなく、女優・美月ちゃんに激似の「リアル美月ちゃん(氷室涼香薬局長)」まで存在するという、恐ろしいほど幸福な店舗なのだから!

……だが、そんな俺にはひとつ大きな悩みの種がある。

実は俺……30歳にして痛風(高尿酸血症)なのだ。

「30で痛風なんて早くない?」と思うかもしれないが、実は痛風の好発年齢は30代男性。どんぴしゃりなのだ。

今朝から足の親指の付け根に不穏な違和感を覚えつつも、俺は足早に白鳥駅前店へと急いだ。

なぜなら、今日は噂のハロウィン大感謝イベント!

リアル美月ちゃん(涼香さん)が一体どんな魅惑の格好をしているのか、気になって気になって夜も眠れなかったのだ!

「はぁ……はぁ……ついたぞ!」

痛風処方(痛風発作予防の『フェブキソスタット20mg』と発作時頓服の『ロキソニン』)の処方箋を握りしめ、調剤室へと駆け込む。

「……い、居ない!?」

カウンターにリアル美月ちゃんの姿はなかった。

代わりにいたのは、清楚で大人しい雰囲気の小柄で可愛い薬剤師さん(小寺結衣)。

「仕方ない……今日はこちらの可愛い子に薬をもらって帰るとするか……」

小寺さんから「結城様、フェブキソスタットは毎日欠かさず服用してくださいね。発作予防の段階でお薬を急にやめたり飲む量を急に変えると、かゆみや発作を誘発することがありますからね!」と完璧な服薬指導を受け、薬を受け取る。

トボトボと帰ろうとした――その時だった!

「〜〜♪」

店頭の特設抽選会コーナーに、黒のミニ魔女帽子を乗せ、ボルドーのリップを引いた【リアル美月ちゃん(涼香さん)】が降臨しているではないか!!

(と……とんでもねーぜ……! 実物の破壊力が凄まじすぎる……!!)

さらに横の看板を見ると『お買い上げ2000円以上で特製ガラガラ抽選!』の文字。

(やるしかない……! やるしかないぞ俺はーーーッ!!)

俺は調剤の領収書を握りしめ、鼻息荒く抽選台の列へ並んだ。

俺の順番が来ると、リアル美月ちゃんは申し訳なさそうに可憐な眉を八の字に下げた。

「申し訳ありません、結城様……。調剤(処方箋)のお会計分では、規約上くじをお引きいただくことができませんの……」

「「「!!??」」」

(り……リアル美月ちゃんが……俺の名前(結城)を覚えていてくれただとーーーーッ!?!?)

脳内で歓喜のファンファーレが鳴り響く!

家には妻のための『朝までフィット』のストックがまだ残っているが、そんなことはどうでもいい! ここは男として買うしかあるまい!!

俺は売り場へ猛ダッシュすると、特設棚の『朝までフィット』をガッと抱えられるだけ掴み取る

そこにすかさずガチ小悪魔仮装の有栖川まひろは、目を輝かせて大感激!

(あの人、100ケースの時も超絶買ってくれたから本当に助けられたのよね〜! よーし、大サービスしちゃおう♪)

「大量ご購入ありがとうございますっ♪ まじかるステッキ……えいっ♡(萌え萌えキュン♪)」

まひろが小さなハロウィンステッキを回して可憐な魔法ポーズを決めると、後ろに並んでいた男性客たちから「うおーっ! 可愛いーっ!」とアイドルライブのような大歓声が巻き起こった。

……だが! 今の俺の瞳には、リアル美月ちゃんしか映っていない!

大量の生理用品を買い込み、足の痛風の違和感に耐える一風怪しい男(俺)は、ついに念願のガラガラ抽選の回し手を握った。

ガラガラ……コロン。白玉。

ハズレ!

……かと思いきや! リアル美月ちゃん(涼香さん)は、ボルドーの唇を微笑ませると、俺に向かって優しくフワリと手を振ってくれたのだ!!

「お買い上げありがとうございました、結城様……♡」

「うおおおおおっ……!! また来るぜ……美月ちゃんっ……!!」

俺は痛風の痛みを忘れるほどの大満足と多幸感に包まれ、足取りも軽く(しかし親指を庇いながら)帰路についたのだった。

【調剤室の陰】

「 結城さんの『朝までフィット』大量買い、相変わらず助かるなぁ……! 痛風の尿酸値コントロール(フェブキソスタット)もバッチリ継続できているみたいだし、良かったよ……」

陰で胸を撫で下ろす俺――陣内拓海。

ハロウィン大感謝キャンペーンは大成功のうちに幕を閉じ、店舗の売上は全社過去最高を更新。

しかし……まひろのアイドル級マジカルステッキ、ほのかの恋泥棒猫耳、そして涼香さんの大人の色気あふれるミニ魔女姿に囲まれた俺の心身は、すでに限界を迎えていた。

(あ、あかん……! イベントは大盛況で終われそうだが、全ヒロインからの甘すぎる愛の猛攻と、売り上げ金を夜間金庫へ運ぶ警護(?)のプレッシャーで、俺の胃袋が完全に悲鳴を上げているーーーっ!!)

限界突破した幸福感と激痛の挟み撃ちに遭った俺は、ダラダラと冷や汗を流しながらポケットの『ラベール胃腸薬プレミアム』を取り出すと、激しく痛む胃袋に向けて一気に喉奥へ煽り込むのだった。

「少しでも『面白かった!』『続きが気になる!』と思ってくださったら、下部の【★で評価する】や【ブックマーク】を押していただけると執筆の大きな励みになります!」

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