コスプレイヤー三木の水虫相談と、ハロウィンサバトの余韻
コミケやイベントで大人気のコスプレイヤー・三木(21)が再来店! 足の痒み(白癬/水虫)に悩まされつつも、覚醒したほのかによる完璧なOTC水虫薬指導(局所麻酔薬・抗ヒスタミン薬配合剤の提案)と、抽選会場で涼香から放たれた謎の神対応に満足して去っていくドタバタ劇をお楽しみください!
私、三木(21)。サブカル系のイベントやコミケで大人気の、コスプレ大好き女子だ。
今日は、以前行きつけの水虫薬を買いに来た『ドラッグラベール白鳥駅前店』へと足を進めていた。
……っていうか、この店はバケモノよ……。
普段からただ白衣やコスメ担当の制服を着ているだけで異常に可愛いヤツらが、ハロウィンの仮装をして物販イベントを仕掛けてるってチラシに書いてあったじゃないの……。つまりどういうことだってばよ……!?
ドラッグストアって、医療施設でもあり商業施設でもあるから、こういうおもしれー企画やおもしれー女が集まる場所なのよね!
……と、考察に浸っている場合じゃないわ。あぁっ、足が痒い!!
(ゲキカワな店員さんに指導されたいわね! こんなサブカル姫たる私に、どこまで親身に優しく対応できるかしら……? 見ものだわ……!)
ちなみに、この前かかった皮膚科の先生によると、水虫(足白癬)の感染に男女比の差なんて一切ないらしいわ! なんとなんと……この私がかかるなんて意外すぎるけれど、可愛いからといって免疫力が上がったり水虫菌を弾いたりするわけじゃないのね……(笑)。
店内に入ってみる。
風邪・乾燥対策の特設コーナーには、とんでもない女がいた。
控えめな黒猫耳を頭に乗せ、風邪予防のアドバイスを撒き散らしながら、手当たり次第に男性客を感染(恋)させているじゃないの……!!
(凄まじい破壊力……少し人だかりが引いてから話しかけようかしら)
お客様が一巡した隙を見計らい、私は勇気を出して白衣の彼女に近づいた。
「あの……はっきり言って、足が痒いんだけどっ!!」
言ってやったわ! さあ、どう出るのかしら!?
すると、猫耳をつけたほのかちゃんは「はい! お任せください♪」と可憐な満面の笑みを浮かべ、OTCの水虫薬コーナーへエスコートしてくれた。
「お客様、水虫薬の棚をご覧になると、同じメーカーでも1,200円前後と2,200円前後の2つの価格帯がありますよね?」
「え、ええ……確かに」
「これ、実は単なる剤形(液体かクリームか)の違いだけではないんです。お求めやすい価格のものは、抗真菌薬(テルビナフィン等)をメインとしたシンプルな処方なのですが、2,000円を超える高価格帯のものには、『局所麻酔成分(ジブカイン等)』や『抗ヒスタミン成分(クロタミトン・ジフェンヒドラミン等)』といった、痒みを速攻で鎮める成分が追加で配合されているんです」
「……っ!」
「お客様、以前はどちらのタイプをお買い求めになられましたか?」
フッ……図星だわ! 以前安さに惹かれてシンプルタイプを買ったら、痒みが酷くて耐えられなかったのよ!(ドヤァ)
ほのかちゃんはニコニコと優しく説明を続ける。
「かゆみがそれほど気にならない時期の継続治療であれば、シンプルなタイプでも十分なのですが……今回のように『今まさに激しい痒みが出ている』状態ですと、痒み止め成分が入っていないタイプは不向きなんです。効かないわけではありませんが、辛いですよね。ですので、少しお高めになりますが、こちらの痒み止め成分配合の複合タイプ(2,200円)をお買い求めいただくのがベストかと思います♪」
フッ……私立のファリス女子大に通うお嬢様の経済力を舐めてもらっては困るわね! 2,200円なんて即決よ!!
「それ、いただくわ!」
レジで支払いを済ませると、噂の特別抽選会の会場へ案内された。
そこには、女優の美月ちゃんバリの美人薬局長(涼香さん)が、小さなミニ魔女帽子を乗せて佇んでいた。
「2000円以上のご購入、またはLINE会員様はこちらで抽選となりますわ♪」
ガラガラ……コロン。白玉。
(あ、外れたわ)
「残念、ハズレですわ♪ でも、お買い上げありがとうございました……♡」
氷室薬局長が、ボルドーのリップを覗かせてフワッと可憐に手を振ってくれた。
(フッ……ハズレ玉だったけれど、あの美人に笑顔で手を振ってもらえたんだから、実質大当たりのようなものね……!)
クールに店を去ろうとする私。
ふと店内を見ると、調剤室の陰からスーツ姿のイケメンエリアマネージャー(陣内拓海)が、胃を押さえながら私(と店内の惨状)を凝視していた。
(おっ……私のファン(妄想)がいるわ! ウインクでも投げておこうかしら)
パチンッとウインクを飛ばしてみる私。
……しかし、イケメンエリアマネージャーは「……!?」と戸惑いの表情を浮かべ、そっと壁の陰に隠れてしまった。
(あら、恥ずかしがっちゃって……可愛いわね)
私は自分の妄想と完璧な薬の接客に大満足し、風を切って白鳥駅前店を後にしたのだった。
【調剤室の陰】
「はぁ……はぁ……っ! ほのかちゃんの完璧なOTC指導は素晴らしいが……あのコスプレのお客さん、なんで俺に向かってウインクしてきたんだ……!?」
店内を埋め尽くすハロウィン仮装の熱気と、次々に訪れる個性的すぎるお客様たち。
そして、ほのかとまひろから同時に放たれた「イタズラしちゃうぞ♡」の激甘アタックの余韻。
俺――陣内拓海は、真っ赤になった顔を隠しながら、カウンターの下で力尽きるようにしゃがみ込んだ。
(あ、あかん……! ハロウィンキャンペーンは大成功で売り上げも過去最高だが……俺の心臓と胃袋がもう持たないーーーっ!!)
俺は冷や汗を滝のように流しながら、震える手でポケットの『ラベール胃腸薬プレミアム』を取り出すと、激しく悲鳴を上げる胃袋に向けて一気に喉奥へ流し込むのだった。
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