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美人だらけのドラッグストアで胃薬が止まらない件  作者: 薬師寺 あかね


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悪魔たんの策謀と、ハロウィン仮装の宣戦布告

涼香の独走(ボルドーニット&不意打ちキス)に危機感を覚えた悪魔たんこと神崎葵統括課長が、売り上げ爆増とヒロイン争奪戦の再熱を狙って打ち出した『ハロウィンゲキカワ仮装キャンペーン』! 逆転のチャンスに燃え上がるまひろ&ほのか

私、神崎葵。グループ本部の統括課長にして、社内からは恐れと親しみを込めて「本部の悪魔たん」と呼ばれている女だ。

最近の白鳥駅前店の動向を見守っていた私は、少々焦りを感じていた。

『朝までフィット』の100ケース完売とポップコンテスト優勝、そしてスポンサーからの水着パネル獲得を経て……明らかに氷室涼香薬局長が一歩抜け出し、陣内拓海くんを独占しかけているではないか!

(こ……このままじゃ、あのヒロインたちの甘々で激しい拓海くん争奪戦が終わっちゃうじゃないの! そんなのつまらないわっ!!)

もちろん、白鳥駅前店の売り上げは過去最高を更新し続けているから、課長としての成績は最高だ。

でもでも……もっと面白くて、もっと爆発的に売り上げが跳ね上がる方法はないかしら……?

ふと街に目をやると、まだ時期としては少し早いはずなのに、駅前のスーパーや商業施設はすっかりハロウィンムード一色になっていた。

(……はっ!? ハロウィン……!?)

私の頭に電撃が走った。

(ハロウィンなんて……あざと可愛さの天才・有栖川ちゃんと、可憐なコスプレ適性抜群の白石ちゃんの独壇場じゃないのーっ!! あの二人をメインに据えてハロウィンキャンペーンを張ったら……爆売れ確定かつ、白熱の4角関係(修羅場)が再燃すること間違いなしだわ!!)

さすが私……「本部の悪魔たん」の二つ名は伊達じゃないわ!

これで次の幹部会で拓海くんが『最優秀エリアマネージャー賞(ベストパフォーマンス賞)』でも獲ろうものなら、会社としても本人としても大勝利のウィンウィンじゃないの!

「よーし、決まりねっ♪」

バターン!!

その日も白鳥駅前店の事務所の扉が、けたたましい音を立てて開いた。

「な……!?」

事務所でパソコンを叩いていた俺――陣内拓海は、その音だけで「アイツが来た」と察知し、瞬時に胃の奥がキュッと締め付けられるような激痛を感じた。

「はいはいはい! 有栖川ちゃん! 白石ちゃん! カモンカモンカモーンッ!!」

嵐のように突入してきた神崎葵課長が、売り場にいた二人を手招きで呼び寄せる。

「か、課長!? どうされたんですか急に……っ!?」

驚くまひろとほのかに対し、神崎課長は人差し指をビシッと突きつけた。

「課長命令よ! 『白鳥駅前店・秋のハロウィン大感謝キャンペーン』を開催しまーす!!」

「「はぁっ……!? ハロウィン……!?」」

神崎課長はニヤニヤと悪魔のような笑みを浮かべ、バシッと企画書をテーブルに叩きつけた。

「ただのイベントじゃないわ、本格的な超大型販促企画よ! 10月最終週の売り上げを限界突破させるため、全館合同イベントを提案しまーす!」

コスメ売り場(担当:まひろ): ハロウィン限定! 魅惑のプチ仮装&ワンポイントメイク体験

医薬品・日用品売り場(担当:ほのか): 乾燥・風邪対策商品の秋冬準備ビッグフェア

食品売り場: ハロウィンお菓子の特大まとめ買い企画

店頭特設スペース: ゲキカワ仮装スタッフによる限定フォトスポット&購入金額に応じた豪華抽選会!

「そして何より重要な決定事項!! 有栖川ちゃんと白石ちゃんの二人には――本部特製の『ゲキカワハロウィン仮装』の着用を命じまーす!!」

「「「「ええええええええーーーーーっ!?!?」」」」

事務所に居合わせた全員の悲鳴が重なった。

「ふっふっふ……白鳥駅前店の二大看板娘の本気、見せてもらうわよ〜♪」

言い残すなり、神崎課長は風のように去っていった。

嵐の去った室内で、沈黙が流れたのはほんの一瞬だった。

「……まひろちゃん」

「……ほのかちゃん」

顔を見合わせた二人の瞳に、メラメラと凄まじい対抗心と希望の炎が宿った。

ボルドーニットと不意打ちキスで独走していた氷室薬局長に追いつき、追い越す絶好のチャンス! 二人が燃え上がらないわけがなかった。

「拓海さんっ! 私、絶対に世界一可愛いハロウィン仮装になって、拓海さんをドキドキさせて見せますからねッ!!」(まひろ)

「先輩っ! 私も……私の作った風邪予防セットと可愛い仮装で、先輩の心も体も全部癒やしてみせますっ!!」(ほのか)

(((「「「絶対、拓海さん(先輩)のご褒美デート(一番)をゲットするぞーーーーッ!!」」」)))

「え……ええ……? 二人とも、すごい気合いだな……!?」

本業の売り上げ目標達成への意気込みかと思いきや、明らかに俺個人に向けられた猛烈なアピールと熱視線。

さらに調剤室の奥では、涼香さんが「むぅ……ハロウィン仮装ですって……? 私も薬剤師白衣のままではいられませんわ……っ!」と対抗意識を燃やしてメガネを光らせている。

(あ、あかん……! 神崎課長め、またしても余計な大イベントを持ち込んできやがったーーーっ!!)

ハロウィンキャンペーンという名の、さらなる大修羅場とデレデレ猛攻の予感。

頭を抱えた俺は、ダラダラと冷や汗を流しながらポケットの『ラベール胃腸薬プレミアム』を取り出すと、激しく悲鳴を上げる胃袋に向けて一気に喉奥へ煽り込むのだった。

「少しでも『面白かった!』『続きが気になる!』と思ってくださったら、下部の【★で評価する】や【ブックマーク】を押していただけると執筆の大きな励みになります!」

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