奇跡のコンテスト優勝と、限定パネルの衝撃
ミスを逆手に取った(?)まひろの開き直りエントリーがまさかの全社コンテスト全国優勝! 豪華すぎる景品(涼香激似の美月ちゃん水着バージョンパネル!)と金一封がもたらした新たな大カオスと、胃腸を壊す陣内のドタバタ劇をお楽しみください!
有栖川まひろは、頭を抱えて悩んでいた。
本部の『全社ディスプレイ&POPコンテスト』の締め切りが目前に迫っているというのに、提出できる実績が『朝までフィット(夜用生理用品)』の売り場くらいしか残っていなかったからだ。
「もーっ! 生理用品の特設棚でディスプレイコンテストとか、可愛さ満点のポップもクソもないよ〜っ!」
万策尽きたまひろは、スマホを取り出すと親友の相澤玲奈にLINEを飛ばした。
『玲奈〜! 生理用品の桁間違えて100ケース買っちゃったやつ、完売させたんだけど! その売り場写真でコンテスト出すのってどう思う〜!?』
すぐさま玲奈から返信が届く。
『え、売上すごいの?』
『全国ダントツ1位!!』
『じゃあそれでいいじゃん』
『でもでも! 主演女優の美月ちゃんパネル使いまくったやつなの! 薬局長に激似の!!』
画面の向こうで玲奈が深く溜め息をついた気配が伝わってきた。
『はぁ……売上1位なら薬局長でも何でも利用し尽くしなさいよ! エリア長にアピールするんでしょうが!!』
「フッ……私もそれしかないな!とは薄々思ってたわ……! 薬局長でも美月ちゃんでもなんでも利用してやろうじゃないのっ!!」
吹っ切れたまひろは、締切ギリギリでエントリーシートの題名を力強く書き上げた。
『近隣環境(産婦人科)とメーカー販売促進グッズを最大限利用した、超大型売り場作成の提案!!』
(※実際はミスってバカみたいに買った大量の在庫を、かき集めたパネルで誤魔化して売り抜いただけである)
「えぇーい! ままよっ!!」
勢いで本部へ送信完了! 売上全国1位という圧倒的実績があるのだから、なんとかなるはずだ!
そして数日後――。
バターン!!
事務所の扉がけたたましい音を立てて開いた。
「皆ーーーっ! 集合ーーーっ!!」
現れたのは、グループ本部の悪魔たんこと神崎葵統括課長だ。
全員が慌てふためいてバックヤードに集まる。
神崎課長はニヤニヤと笑いながら、パンッと手を叩いた。
「ポップアップコンテスト……白鳥駅前店、優勝でーす!!」
「「「「!?!?」」」」
全員が目玉を飛び出させて固まった。
「えー、メーカーの販売促進品をここまで完璧に活用し、なおかつ売上全国1位を達成したということで、なんとスポンサーのゾフィー様から激推しの推薦がありましたー! パチパチパチ〜!」
神崎課長はドヤ顔で拍手を送ると、後ろから巨大な箱と封筒を取り出した。
「景品として、メーカー様特製の『特別な美月ちゃん等身大パネル(白鳥駅前店限定バージョン)』と、大会本部から有栖川ちゃんへ金一封が出まーす!!」
ドカンと売り場に運び込まれたのは――なんと、【水着姿の美月ちゃん等身大パネル】!!
「「「「ええええええええーーーーーっ!?!?」」」」
金一封と水着パネルをドンと手渡されたまひろは、頭を抱えて叫んだ。
「もぅ……全然嬉しくなーい!! 水着の薬局長パネルなんて追加されたら、また拓海さんが見惚れちゃうじゃないですかぁぁーっ!」
「何やってんのよー、まひろちゃん!! 墓穴掘ってるじゃない!!」
ほのかが顔を真っ赤にして叫ぶ。
一方、パネルのモデル(激似)にされた当事者の氷室涼香は、顔面を真っ赤に沸騰させて両手で顔を覆っていた。
「わ……私の水着姿が……店内に展示されるなんて……っ! やだ……っ、陣内さんに見られちゃいますわ……っ(※水着になっているのは女優の美月ちゃんです)」
その横で、新メンバーの小寺結衣は目を輝かせて拝んでいた。
「可愛い……神々しすぎる……! 課長、あのパネル1枚個人的にください……っ!」
「まひろ先輩、マジパネェっしょ! 爆笑通り越して尊敬するっしょ!」
あげははお腹を抱えて笑い転げている。
――カオス。まさに大パニックとカオスの極致である。
「お、おいまひろちゃん……! 金一封と全国優勝は本当にすごい快挙だけど……この水着パネルは一体どこに飾ればいいんだ……!?」
俺――陣内拓海は、自店舗の快挙と全国1位の成果に心から嬉しい反面、売り場にドカンと君臨した「涼香さん激似の水着パネル」と、ヒロインたちの阿鼻叫喚の嵐に挟まれ、猛烈な頭痛と胃痛に見舞われていた。
(あ、あかん……! 誤発注が解決したと思ったら、もっと破壊力の高い水着パネルが店内に爆誕してしまったーーーっ!!)
喜びと甘すぎるパニックの狭間で冷や汗を滝のように流した俺は、震える手でポケットの『ラベール胃腸薬プレミアム』を取り出すと、激しく悲鳴を上げる胃袋に向けて一気に喉奥へ煽り込むのだった。
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