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美人だらけのドラッグストアで胃薬が止まらない件  作者: 薬師寺 あかね


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酔いどれヒロインと、波乱の自宅訪問争奪戦

居酒屋『よし庵』での一次会を終え、酔いが回ってますます積極的になったヒロインたちが、陣内の自宅訪問権(おうち訪問権)を巡って激しい甘々バトルを繰り広げるドタバタ劇をお楽しみください!

居酒屋『よし庵』での歓迎会も、宴もたけなわ。

……のはずだったのだが、お酒が進んだことでヒロインたちのタガは完全に外れかけていた。

「ふぅ……ちょっとほろ酔いかしら……♪ 拓海さん、お店を出たら……このまま拓海さんのお家に行って、飲み直しませんこと……?」

黒のジャケットを少し崩し、とろけるような笑顔で俺――陣内拓海の腕にすがりついてくる涼香さん。

ほろ酔いの吐息が耳元を掠め、フワリと甘い香水の匂いが鼻腔をくすぐる。

「りっ……涼香さん!? ちょっと待ってくれ、俺の部屋なんて男の一人暮らしで散らかってるし――」

「ダメですーーーッ!! 薬局長だけズルいです!!」

間髪入れずに割り込んできたのは、日本酒のグラスを空けてポッと頬をリンゴのように赤くした白石ほのかだった。

「私……私、今日のために『胃に優しいお夜食』の仕込みもしてあるんです! 拓海先輩のおうちに行って、キッチンをお借りして、夜食を作ってあげますっ! おうちに行かせてくださいっ!」

「ちょっとほのかちゃんもストップストップ!」と叫んだのは、チューハイでご機嫌になった有栖川まひろだ。

「おうちに行くなら私だって負けません〜っ! 拓海さん、私、おうちに行ったらお掃除も洗濯も、拓海さんの肩たたきだってしちゃいますからっ! 拓海さんのおうちの鍵、私に預けてくださいっ!」

「「「拓海さん(先輩)のお家に行くのは、私です(私ですー)ッ!!」」」

「ひぇえええええーーーーーっ!?」

居酒屋の精算を終えて店を出た直後、夜風が吹き抜ける駅前の路上で、まさかの【陣内宅・訪問権争奪戦】が勃発してしまった。

「マジパネェ……三人とも酔っ払ってタガが外れまくってるっしょ(笑)」

あげはがスマホで記念撮影をしながら爆笑している。

「ふおおおっ……! 酔った薬局長の『拓海さん』呼びおねだりからの、おうち訪問バトル……! 尊い……尊すぎて目が眩む……っ!」

新メンバーの小寺結衣は、生唾を飲み込んで大興奮で観戦していた。

「み、みんな……落ち着いてくれ! 俺の部屋は狭いし、こんな夜遅くに女性を家にあげるわけには――」

「嫌です! 拓海さんのお家に、他の女の子だけ行くなんて絶対嫌ですっ!」

まひろが涙目になりながら俺の左腕をぎゅっと抱きしめてくる。スキンシップ禁止なんて言ってる場合ではないのだ!!

「そうです! 先輩、私……私だって、先輩ともっと一緒にいたいんですっ……!」

ほのかも俺の右腕を抱きかかえ、潤んだ瞳で必死におねだりしてくる。

「拓海さん……。私を置いて、他の二人とお家に行くおつもり……? そんなの……泣いちゃうわ……♡」

正面からは、涼香さんが甘い上目遣いで胸元にしがみついてくる。

右腕にほのかの柔らかい感触。

左腕にまひろのしなやかな体温。

正面には涼香さんの艶やかな甘々吐息。

(あ、あかん……!! 居酒屋から出て開放的な夜風に当たったせいで、全員のデレ度がカンストして暴走してるーーーっ!! 三人とも可愛すぎるし、密着度が凄まじすぎて理性のタガが弾け飛びそうだ……!!)

「エリア長ぉ〜! このままじゃ収まりませんよ! いっそのこと全員まとめておうちに連れ込んじゃえばいいんじゃないですかぁ(笑)!?」

あおるように笑うあげは。

「ダメダメダメ! そんなことしたら、白鳥駅前店の人間関係も、俺の社会的な立場も、何もかもが明日の朝には崩壊し逮捕されてしまうっ!!」

ヒロインたちの本気すぎる愛とおねだりの猛攻。そして、誰か一人を選べば他の二人が悲しむという究極の板挟み。

(胃が……! 胃が引きちぎれるほど痛ぇぇぇーーーーっ!!)

極限状態のストレスと甘すぎる幸福感のキャパオーバーにより、俺の脳内アラートが鳴り響いた。

俺は必死の思いで三人の抱きつきをそっと解くと、冷や汗を滝のように流しながら、がくがくと震える手でスーツのポケットへ手を伸ばした。

そして、夜空に月が輝く駅前の路上の隅で、愛用の『ラベール胃腸薬プレミアム』を取り出すと、限界悲鳴を上げる胃袋に向けて一気に喉奥へ煽り込むのだった。(みなさんは適正使用してね♪)

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