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美人だらけのドラッグストアで胃薬が止まらない件  作者: 薬師寺 あかね


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ファン1号の電撃着任と、朝礼の密かな誤解

新メンバー・小寺結衣の電撃着任と、彼女の密かな「涼香×陣内(薬局長×エリア長)カップリング推し」の決意、そして朝礼中に謎の違和感と視線を感じ取って胃を痛める陣内のドタバタ劇をお楽しみください!

翌日――本当にマジのいきなりだったが、白鳥駅前店の朝礼に、可愛らしくて真面目そうな小寺結衣がニコニコと満面の笑みで登場した。

「本日より異動してまいりました、薬剤師の小寺結衣です! よろしくお願いいたします!」

ペコリと深々と頭を下げる彼女の姿に、売り場と調剤室の全員が同時に思った。

(((……可愛い……っ!!)))

実習生の涼宮あげはも「マジで可愛い先輩入ってきたっしょ〜」と楽しそうに笑っている。

全員への挨拶をひと通り済ませた小寺さんは、まっすぐ氷室涼香と白石ほのかの元へ駆け寄っていった。

「っ、あの……! 私、ずっと氷室薬局長と一緒に働きたくて……! 木村薬局長のお話(受験サポートによる勤務交代)は前から聞いていたので、神崎課長に直訴したんですっ! 薬局長、よろしくお願いします!!」

「あぁ……神崎課長から聞いたけれど、彼女は氷室さんの大ファンだそうでね」

俺が横から説明を添えると、涼香はメガネの位置をすっと直し、可憐な笑みを浮かべた。

「まぁ、嬉しいわ♪ こちらこそよろしくね、小寺さん」

「はっ……はわわぁぁっ……! 可愛い〜……っ!!」

間近で見る涼香の神々しい美貌に、小寺さんは拝むように両手を合わせて悶絶していた。

(……なんか、神崎課長が言っていた『白鳥駅前店は可愛さが爆盛りでヤバイ』っていう意味が、身をもって理解できたわ……! 恐ろしい店舗……!)

心の中で震え上がる小寺さんだったが、すぐに隣のほのかへ向き直った。

「あっ……白石さん! よろしくね!」

「小寺ちゃん! 同期の薬剤師が近くにいなくて不安だったから、すごく嬉しいな〜! よろしくね小寺ちゃん!」

「うんっ!!」

笑顔で握手を交わす二人。……だったが、小寺さんの脳内では密かな「推し活フィルター」が作動していた。

(でっ……でもごめんねほのかちゃん! 私、エリア長との恋バトルに関しては……絶対に氷室薬局長を全面応援しちゃうから〜! ごめんねぇ〜っ!)

そこへ、まひろが可憐なステップで割り込んできた。

「私はコスメリーダーの有栖川まひろです! 美容やコスメの相談なら私にお任せあれ〜♡」

「あっ、よろしくお願いします! 前に応援で来た時はあまりお話しできなかったですけど、仲良くしてください!」

(うわぁ……この子も超絶可愛い〜……! どうなってるの白鳥駅前店、アイドルの楽屋か何かかしら……!?)

さらに、後ろからあげはが手を振る。

「実習生の涼宮あげはです! 北海薬科大から来ました〜、よろしくお願いしまーす!」

「あっ、指導できるか分からないけど、何でも聞いてね!」

(……ってか、あげはちゃんおっぱい凄すぎる……! しかもギャルなのにちゃんとしてる……!)

強烈なキャラクターと圧倒的女子力の宝庫に圧倒されつつも、小寺さんのテンションは上がりっぱなしだった。

「よし……では白石さん、有栖川さん、氷室薬局長、小寺さん、よろしくお願いします。次に今回の重点キャンペーンですが……」

朝礼の真ん中で、俺は資料を手に淡々と業務説明を始めていた。

だが――説明を聞く小寺さんの瞳は、キラキラと妖しい妄想の光を放っていた。

(フフフ……エリア長、クールに説明してますけど……私、知ってますよ? ほのかちゃんとまひろちゃんのことを『ちゃん付け』で呼び始めたのも……!

そして何より、クールビューティーな美月ちゃんの等身大ボードをかき集めて、薬局長に欲情(?)してることも……! 町田中央店にもわざわざ取りに来てましたもんね、美月ちゃんボード!

美月ちゃん超可愛いですもんね……薬局長に激似の美月ちゃんを好きになるのも仕方のないこと……! エリア長! 薬局長! 私が陰から二人の恋を全力で応援しますからねーーーッ!!)

「……というわけで、今期の『朝までフィット』は全社でも注力商品となっていて――」

真面目に数字と販促計画を語りながらも、俺は強烈な寒気と違和感に襲われていた。

(な、なんだろう……? 新しく入った小寺さんから、なぜか『温かいけれど猛烈に勘違いに満ちた熱視線』が送られてきている気がするぞ……!?)

またしてもヒロインたちの愛と誤解の渦に巻き込まれそうな予感を察知した俺は、朝礼の最中だというのに冷や汗をダラダラと流した。

そして、胸の奥から込み上げる激しい胃痛に耐えかね、朝礼台の陰でこっそりポケットの『ラベール胃腸薬プレミアム』を取り出すと、誰にも気づかれないよう一気に喉奥へ煽り込むのだった。

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