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美人だらけのドラッグストアで胃薬が止まらない件  作者: 薬師寺 あかね


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解禁された本気と、怒涛の三つ巴アタック

バックヤードでの宣戦布告を経て、一斉に解禁されたヒロインたちの本気アタック! ほのかの愛妻お弁当、涼香の甘甘デレデレ攻勢、そしてまひろの命がけのサシ飲みディナーおねだりが同時に陣内へ襲いかかる過酷(天国)な修羅場

宣戦布告が交わされた翌日。

白鳥駅前店に足を踏み入れた瞬間、俺――陣内拓海は、店舗全体を包み込む「甘く熱い圧力」に呼吸が止まりそうになった。

(な、なんだこの空気は……!? 本部から戻ってきたばかりだというのに、まるで高気圧と低気圧が同時に衝突して猛烈な嵐が起きているようだ……!)

「あ、陣内さん♪ お帰りなさいませ。午後の店舗ラウンド、お疲れ様でした……♡」

まず仕掛けてきたのは、氷室涼香だった。

普段ならクールな態度で「業務報告はこちらです」と淡々と手渡してくるはずの彼女が、Vネックのニットから覗く美しい鎖骨をほんのり赤く染め、熱を帯びた瞳で俺を見上げてくる。距離が……距離が近すぎる!

「ひ、氷室さん!? 急にそんなに近づかれると……」

「あら、何か不都合でもございますか? 私はただ、大好きな上司のお手伝いをしたいだけですけれど……♪」

(だ、『大好きな上司』って言ったーーーッ!? 誰に何を吹き込まれたんだ薬局長ーーーッ!!)

知的なメガネの奥で甘く揺れる瞳と、ふわりと香る上品な業務支障がない薄い香水の匂いに、俺の理性の防波堤が一瞬で決壊しかける。

――だが、攻撃はこれだけで終わらなかった。

「先輩! お昼まだですよね? 今日も『胃に優しい栄養満点お弁当』作ってきました!」

昼休みに入るやいなや、白石ほのかが可憐な笑顔で巾着袋を抱えて走ってきた。

フタを開けると、今日はさっぱりとした「ささみと蕪の葛煮」に「出汁が効いた柔らかおじや」。胃粘膜を保護しつつタンパク質も摂れる完璧な献立だ。

「わ……今日も美味しそう! いただきます!」

「はいっ! 先輩の胃と健康を守るのが、私の1番の喜びですから……♪ ほら、あーんしてくださいっ!」

「あ、あーん!? しっ白石さん、いくらなんでもそれは……っ!」

「ダメですか……? 私、先輩のために朝早く起きて一生懸命作ったのに……」

潤んだ瞳で上目遣いされたら断れる男などこの世に存在しない。俺が引きつった顔で口を開けようとした、その時だった!

「ちょっと待ったーーーーーッ!!」

バシーンッ! とバックヤードのドアが勢いよく開いた。

登場したのは、親友との作戦会議を経て「ガチ中のガチ」の決意を固めた有栖川まひろだった。

まひろは、いつもの小悪魔チックなあざとさを完全に捨て去り、耳まで真っ赤にしながら俺の前に仁王立ちした。

「ま、まひろちゃん……!?」

「エリア長! ほのかちゃんのお弁当もいいですけど……今夜、私と二人でサシ飲みディナーに行ってくださいッ!!」

「「「ええええええーーーーーッ!?」」」

あまりにストレートで破天荒なおねだりに、ほのかも涼香も、そして俺も同時に声を上げた。

「有栖川さん、いきなり何を言い出すの!?」と涼香が眉をひそめ、「ずるいですまひろさん! 二人きりでサシ飲みなんて……!」とほのかが叫ぶ。

だが、まひろは一歩も引かなかった。胸の前で固く手を握りしめ、必死の思いで俺の目を真っ直ぐに見つめてくる。

「仕事の相談です! 秋のコスメプロモーションの打ち合わせ!……ううん、嘘です! 半分は本当だけど、半分は……私、エリア長と二人きりでお話ししたいんです! 断られたら泣いちゃいますっ!」

駆け引きを一切やめ、素直な好意と緊張で全身を震わせながらアプローチしてくるまひろの姿は、反則的なまでに可愛かった。

右からは、涼香の艶やかな「デレデレ甘々マウント」。

左からは、ほのかの「胃袋&良妻おねだりアタック」。

正面からは、まひろの「決死のサシ飲みディナー直球勝負」。

(あ……あかん……!! 全員可愛すぎて胃だけじゃなくて心臓がもたない……!! 誰の誘いを受けても、誰の誘いを断っても、この店舗の平和が根底から崩壊するーーーっ!!)

限界突破したプレッシャーと甘すぎる幸福感の板挟みになり、俺の思考回路は完全にショートした。

「み、みんな……! 落ち着いてくれ! サシ飲みも、お弁当も、お仕事の相談も……順番に、ちゃんとお話を聞くから……っ!!」

俺は必死に手を振って宥めると、冷や汗を全身から吹き出しながらポケットへ手を伸ばした。

そして、熱狂と嫉妬の火花が激しく散るバックヤードの真ん中で、愛用の『ラベール胃腸薬プレミアム』を取り出すと、悲鳴を上げる胃袋に向けて一気に喉奥へ煽り込むのだった。

「少しでも『面白かった!』『続きが気になる!』と思ってくださったら、下部の【★で評価する】や【ブックマーク】を押していただけると執筆の大きな励みになります!」

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